THE CENTRAL DOT

D2Cビジネスにおける「実装」とは ―すべてのタッチポイントを束ね、顧客の反応を起点にピボットまで支援
(連載:D2C支援 キーパーソンが語る Vol.4)

2020.11.18
#D2C#博報堂グループ・D2C統合ソリューションチーム
ECとSNSを活用して成長する「D2C」(Direct to Consumer)ブランドが国内でも次々と登場しています。この新たなブランドビジネスに挑戦する企業を支援する「博報堂グループ・D2C統合ソリューションチーム」のキーパーソンたちが、D2Cブランドビジネス成功のポイントについて語る記事を連載でお届けします。
第4回となる今回は、チームのメンバーである博報堂プロダクツの中井和宏、日本トータルテレマーケティングの大村大、そしてチームリーダーを務める博報堂の荒井が、D2Cビジネスにおける実装のポイントについて語りました。

株式会社博報堂プロダクツ カスタマーリレーション事業本部 ECソリューション部 部長
中井和宏

日本トータルテレマーケティング株式会社 営業本部 営業二部 次長
大村大

博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局 部長 / 博報堂DYグループ・D2Cソリューションチーム チームリーダー
荒井友久

「構想」と「実装」をシームレスにつなげる

──中井さんは博報堂プロダクツでクライアント企業のEC構築に、大村さんは日本トータルテレマーケティング(以下、NTM)でコンタクトセンターなどフルフィルメント(受注から配送までの業務)体制の整備に多様なご経験をお持ちです。博報堂プロダクツとNTMが今回D2C統合ソリューションチームに参画された経緯をお聞かせください。

荒井
D2Cビジネスに求められるのは、戦略立案からフルフィルメントまでのまさに一気通貫のプランニングと実施体制です。企業のD2Cビジネスの全体を支援していくためには、博報堂プロダクツとNTMの知見は欠かせないと考え、声をかけたのがきっかけです。

中井
博報堂プロダクツはこの数年、ECのシステムや運用体制づくりに注力してきました。2018年末にコンタクトセンターやフルフィルメントを手がけるNTMと資本提携し、ECシステムの構築からフルフィルメントまで一気通貫でご提供できる体制を構築しました。

大村
NTMが展開しているコンタクトセンターなどの顧客接点は、生活者のダイレクトな声、いわゆるVOC(Voice of Customer)が集まるところです。私たちNTMがチームに加わることによって、VOCをクライアントのD2Cビジネス支援に有効に活用できることも強みになると思っています。

──博報堂プロダクツとNTMが中心となりD2Cビジネスの実装を支援していくということですね。D2Cビジネスにおける「実装」とは、具体的にどのような機能が含まれるのでしょうか。

荒井
D2Cにおける実装には、システム、業務体制、運用など幅広い内容が含まれます。それを実現するには博報堂プロダクツとNTMが蓄積してきたノウハウが力を発揮すると考えています。

もっとも、私たちは構想と実装がまったくの別物であるとは考えていません。構想と実装とは、簡単に言えば「考えて」「つくる」ということですが、その二つがしっかりつながっていないと、D2Cビジネスは絵に描いた餅になってしまいます。実装に何が必要で、何が実現可能かを考えたうえで構想し、構想の本質を理解したうえで実装をしていく──。そんなシームレスなプロセスが求められます。ですから、実装のプロに構想の段階から関わってもらうことが非常に重要なんです。そのようなフォーメーションをつくれるのがこのチームの強みです。

中井
システムや運用体制を実装する場合、クライアントの課題や事業戦略をしっかり理解していないとピントのずれたものをつくってしまう可能性があるので、実装チームにも構想の視点は必要です。

大村
構想や実装の各プロセスのプロが意見を交換し合うことで、それぞれがプロとしてのスキルを高めていけるという効果もこの座組みにはありますよね。

ピボットに必要なのは顧客の声

──販売戦略やフルフィルメントにおいて、一般的なECビジネスとD2Cビジネスにはどのような違いがあるのでしょうか。

荒井
ECの場合、商品のラインナップや在庫を揃えて、最初から大々的に売るのが一般的な戦略です。一方のD2Cの場合は、小規模なビジネスからスタートし、ファンとの深いつながりを徐々につくりながら、商品展開を段階的に拡大していくという戦略をとることが多いですね。
D2Cでは、ビジネスをローンチしたあとに、ピボット、つまり方向性の転換をくり返しながら、よりよい方向を見極めていくことになります。その転換のもとになるのが顧客の反応です。顧客の反応は、あらゆるタッチポイントから集まってきます。ウェブサイトやSNSだけでなく、先ほど大村さんが言ったようにコンタクトセンターから得られるVOCももちろん重要な顧客の反応ですし、配送時にも顧客との直接的なコミュニケーションが発生します。重要なのは、そのすべてのタッチポイントから得られた顧客の反応を集約する仕組みをつくることです。

大村
それぞれのタッチポイントを適切にマネジメントし、収集した顧客の反応を分析して、顧客データの解像度を上げていくことができれば、クライアントにピボットの方向性を合理的に提案できるようになります。

中井
収集した顧客の反応の分析ができるデータサイエンティストがいることもこのチームの強みです。データを「使える」形にすることができるわけです。

荒井
もう一つ、仮説設定のノウハウがあることも大きいと思います。顧客の反応を理解するデータには定性データも多いのですが、質の高い定性データを集めるには、しっかりした仮説が必要になります。仮説がなければ、どのような声を集めればいいかが不明確になり、のちのち活用できないデータを集めてしまうことになるからです。その仮説づくりにも、博報堂グループの知見が活かされています。

常に全体最適の視点で

──実装の具体的なプロセスを教えてください。

荒井
クライアントのビジネス戦略や課題などをヒアリングしながら、私たちがもっている機能を適宜組み合わせてシステムや運用体制をつくっていくのが基本的な流れです。構想の立案段階から関わることもありますし、すでにできている構想を実装に移すところからお手伝いをすることもあります。重要なのは、実装がゴールではないということです。実装後の運用やピボットの実行まで支援できることがこのチームの特色です。

──本連載の第1回で、D2Cビジネスではブランドのビジョンや世界観が非常に重要であるとおっしゃっていましたが、ビジョンをどのようにして実装につなげていくのでしょうか。

荒井
ビジョンを実現するためのKPIを具体的に設定することが何より大切です。ビジョンが実現されている状態を定量化するということです。成果や課題を定量的に把握することによって、何をすべきかが明確にわかります。設定したKPIを高めるためには何が必要か、という観点から実装を行っていきます。

中井
ブランドのビジョンや世界観は、広告配信の方法、SNSの使い方、ユーザーインターフェースのクリエイティブなどあらゆる実装に影響します。ビジョンを深く理解しているかどうかによって、実装の精度も変わってきますよね。

──それぞれ役割の異なるチームメンバーに対してどのような期待感をもっていますか。

大村
さまざまなタッチポイントでVOCを集めることができるのがNTMの強みですが、各チームメンバーの専門的な知見と合わせて、クライアントへの提案の価値をどう高めていくことができるか。それを一緒に考えていきたいですね。

中井
各種SNSの特性を踏まえた上で、生活者とのコミュニケーションを設計していくことがD2Cビジネスには必須です。SNSによる双方向のコミュニケーションを通して、生活者から共感されるブランドを育成していく。そのようなお手伝いができるようNTMと連携しながら機能強化していきたいと思っています。

荒井
このチームの体制は、運用時にとくに力が発揮されると私は考えています。フルタッチポイントで生活者とコミュニケーションを行い、顧客の反応を見極めながら、迅速なピボットを支援していく。その機動力を皆さんと一緒に磨いていければと思います。

中井
D2Cビジネス全体の構想を作れる博報堂マーケティングシステムコンサルティング局の皆さんが、運用のフェーズにもコミットすることには大きな意味があると思います。従来のECの運用では、CPAなどのデジタル広告の効果に議論が集中しがちでした。しかし、D2Cでは事業全体のパフォーマンスを常に見ながら運用を進めていく必要があります。そのような視点から意見をもらうことは、我々もとても参考になります。

荒井
ひと口に運用といっても、やるべきことはたくさんあります。それぞれの領域を担うプレイヤーがバラバラだと、運用全体を見渡すことができないので、ピボットの方向性を決めることも難しくなります。このチームでは、個々のメンバーが専門領域をもちながらも、常に全体最適の視点で動くことを重視しています。だからこそ、本当に必要な打ち手をクライアントに提案していくことができると考えています。

中井
全体最適の視点の基礎となるのは、ブランドビジネスへの理解です。一般に、D2Cビジネス支援はECの専門家が中心になって進めることが多いのですが、単にECのスキルだけでD2Cを成功に導くことはできません。必要なのは、ブランド全体を成長させるという視点です。このチームには、ブランドビジネスのプロとECビジネスのプロの両方がいます。それもまた大きな強みと言えると思います。

構想から実装、ピボットの実行まですべてを支援

──今後このチームでクライアントのD2Cビジネスをどのように支援していきたいか、展望をお聞かせください。

中井
D2Cはアメリカから発祥したビジネスモデルですが、アメリカのD2C企業には、巨大なECプラットフォームに対して「ブランドとしての志をもったEC」を展開していきたいという思いがあったと思います。一方日本には、健康食品や化粧品など、ブランドイメージが明確な単品通販型のECモデルが以前からありました。また、低価格で質の高い「D2C的」な商品も少なくありません。そう考えれば、アメリカとはいくぶん異なった、日本ならではのD2Cビジネスをつくっていくこともできるはずです。日本独自の新しいD2Cモデルをつくっていくお手伝いをぜひしていきたいですね。

大村
「小さく始めて、大きな成果を獲得していく」のがD2Cビジネスの基本的な考え方です。先ほど荒井さんも言ったように、「量」の獲得を最初から目指すのではなく、「質」をしっかりつくることによって成長していくモデルと言っていいと思います。その「質」の基礎となるのがVOCです。VOCをクライアントのD2Cビジネスの成長に確実に結びつけていくモデルを確立していきたいと考えています。

荒井
これからD2Cビジネスを立ち上げたいという企業はもちろん、すでにD2Cビジネスを始めていて課題を抱えている企業からもぜひご相談をいただきたいと思っています。従来のECビジネスには、「新規顧客の獲得に伸び悩む時期が必ずやってくる」という課題がありました。その壁にぶつかると、次の打ち手がわからなくなってしまいます。D2Cビジネスにもそのような壁はあります。しかしこのチームなら、そのような壁にぶつかったあとのピボットの方法をご提案することが可能です。ピボットはビジネス戦略レベルのものかもしれないし、ブランドに関わるものかもしれません。それを判断するために必要なのが、多様なタッチポイントから得られる顧客データです。構想、実装、そしてデータを活用しながらのピボット──。そのすべてを支援できる体制を今後さらに強化していきたいと考えています。

中井 和宏(なかい・かずひろ)
株式会社博報堂プロダクツ カスタマーリレーション事業本部 ECソリューション部 部長

2001年に博報堂グループへ入社以来、ダイレクトマーケティング業務に従事。
化粧品、食品、通信、金融、医薬、不動産など幅広い業種のクライアントを担当し、新規顧客獲得施策およびCRM施策の立案と実施を担う。
近年は、海外ECも含めたECの支援業務に注力し、ECを核にしたクライアントのDX戦略を推進。

大村 大(おおむら・だい)
日本トータルテレマーケティング株式会社 営業本部 営業二部 次長

2003年に日本トータルテレマーケティングに入社。BtoB、BtoCのコールセンター業務(電話・メール・チャット)・バックオフィス業務を中心に運用設計・マネジメントを実施。
昨今はチャットボットなど各種ソリューション面でもサポート。デジアナ統合テーマにコンタクトセンターにおける次世代コミュニケーションチャネルの開拓を念頭にDXシフト推進中。博報堂プロダクツと資本提携後、2019年4月より専任営業として活動中。

荒井 友久(あらい・ともひさ)
博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局 部長

2012年博報堂入社。事業戦略・マーケティング戦略から情報システム開発までを一気通貫して支援する、ストラテジックプラニングディレクター。大手SIerの経営企画を経て、大手メディアサービス企業の不動産広告事業における事業企画・営業推進にて、事業を成長させる事の難しさ・泥臭さを最前線で経験する。その後、経営コンサルティングファームにて第三者として事業支援を行った後、クリエイティブとの融合による、新しい事業支援のあり方を作るために博報堂に転身。

博報堂に関する最新記事をSNSでご案内します。ぜひご登録ください。
→ 博報堂広報室 Facebook | Twitter

FACEBOOK
でシェア

TWITTER
でシェア

関連するニュース・記事