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ヒット習慣予報 vol.188『あれこれファスティング』

2021.09.28
#トレンド

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの中川です。

先日健康診断で体重計に乗ったら昨年より結構体重が増えていて驚きました。コロナ禍ですっかり運動不足になってしまい、しかもリモート会議が増えたので体を動かす機会が減ってしまったのが影響しているのでしょう。

今回のテーマは「あれこれファスティング」です。最近よく聞くこのファスティングという言葉、日本語では「断食」ですね。私の周りでもプチ断食をしたという人がちらほら。そんなファスティングという考え方が食以外にも様々な分野に広がっているという話です。まずは、Googleトレンドで「ファスティング」を検索してみると、一回目の緊急事態宣言が発令されたあたりから一気に伸びて、その後も高い検索数を維持しているのがわかります。

〈「ファスティング」に関する検索数の推移〉

出典:Googleトレンド

では、具体的にどんなファスティングが広がっているのでしょうか。まずは、言葉の通り断食の意味のファスティングです。このところ私の周囲でも広がっているのが「16時間断食」です。最後にご飯を食べてから、翌日の最初の食事までの間を16時間空ける断食のこと。ただ一定時間食べないだけで誰でも気軽に実践しやすいということで、ダイエット目的で実践している人が多いようです。Googleトレンドで見ても、今年に入って一気に検索数が高まっていますね。

〈「16時間断食」に関する検索数の推移〉

出典:Googleトレンド

続いては、「肌ファスティング」。実はこの言葉を発見したのがきっかけで今回のコラムを書こうと考えました。たまたまネットニュースで発見したのですが、メイクや基礎化粧品を一時的にやめて、水のみで洗顔するというもの。肌を休ませることで、肌本来の美しさを取り戻す目的なのだとか。SNSで検索してみると、乾燥肌が改善したり、吹き出物が出にくくなったりとコメントしている人が散見されました。

次に、「デジタルファスティング」。これはデジタルデトックスと言われる方が多いですかね。私の友人も週に一日はスマホを家において外出することで、何かに追われることなく目の前のことに集中できるので、とても気分がスッキリすると言っていました。また会社の同僚は、青森の山奥に電気も携帯の電波も届かないランプだけで過ごす宿があって、そこでデジタルを断ったら、かなり心が癒されたと言っていました。デジタルは暮らしになくてはならないものですが、たまに距離を置くことも大事ですね。

最後に、一番驚いたのが「ドーパミンファスティング」です。2年前ほどにシリコンバレーでブームになった考え方なのだとか。意欲や快楽を高める神経伝達物質のドーパミンを一時的に断つ行為のこと。SNS、ゲーム、音楽、映画、激しい運動などドーパミンを放出する行動を一定期間やらず、何もしない時間を楽しむものです。忙しい日々が続くとついついドーパミンのある暮らしを求めがちですが、少し立ち止まってゆったりとした時間を過ごしながら、あらためて自分を見直してみるのもいいかもしれません。

では、なぜいま「あれこれファスティング」が広がりつつあるのでしょうか。
1つは「リセット願望」があるのだと思います。コロナ禍が長くつづき、体がなまってきたり心がモヤモヤしたりする中で、いったん自分の心身をゼロリセットしてスッキリさせたい願望があるのでしょう。また、「引き算の発想」もあると思います。調子が悪かったり、うまくいかなかったりするときに、新たな行動を足すと手間もかかるし面倒くさい。でも、今やっている行動を引いていくと、楽にできるし継続しやすい。やらなくてはいけないことや様々な情報が溢れている中で生まれた、新しい生活の知恵なのでしょう。

このように広がりつつある『あれこれファスティング』ですが、これからも多くの人が実践していくことが予測され、そこには新たなビジネスチャンスが広がっています。

『あれこれファスティング』のビジネスチャンスの例
■ 化粧品ブランドで、定期的な「肌ファスティング」を組み込んだ美容プログラムを開発する。
■ 何もしない「ドーパミンデトックス」を目的とした、余計なものを排除して癒しに特化した新しいカプセルホテルを展開する。
■ リモート会議が連続しないように、スケジューラーにあえて会議を入れない時間を自動的に確保する「リモート会議ファスティング」機能を搭載する。
など

先日、お寺で早朝座禅にチャレンジしてみたのですが、足がしびれてくるし眠気も襲ってくるし考えないようにするほどにいろんなことを考えてしまうし、なかなか頭をからっぽにするのって難しいんだなと痛感しました。少しずつ修業を重ねて、ファスティング力を高めていきたいものです。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

中川悠(なかがわ・ゆう)
生活者エクスペリエンスクリエイティブ局チームリーダー
ヒット習慣メーカーズ リーダー

メーカーの商品開発職を経て、2008年に博報堂中途入社。
戦略CDとして、日々お得意先や社会の課題に向き合っている。最近はタコスにはまっていて、都内にあるタコス屋さんを開拓しては食べ続ける日々をおくる。

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