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ヒット習慣予報 vol.187『ととのう土いじり』

2021.09.21
#トレンド

こんにちは、ヒット習慣メーカーズの中林です。

本年度新卒で入社し、7月よりチームメンバーに参画しました。
本稿にて初めてコラム執筆を担当させて頂いております。拙い文章で恐縮ですが、最後までご一読頂けたら幸いです!!

九月半ば、日が沈むのがすっかり早くなり、気付けばもう季節はすっかり夏から秋ですね。
秋といえば、芸術の秋、読書の秋、スポーツの秋、などなど、夏名残の感傷に浸る暇もなくやることが盛りだくさんな季節。うだるような暑さが去って過ごしやすい気候になると、身体的ストレスが少なくなることで心への負担が減り、余暇を楽しむゆとりができるのだとか。
と、博識ぶって書いてみたものの、やはり一番は食欲の秋!ということで、秋の夜長にむしゃむしゃと鯖寿司を頬張りながらこのコラムを綴っている次第です。(鯖は、この季節のものが一番脂が乗っていて最高です!)

さて、そんな盛りだくさんな秋にぴったりなテーマとして今回ご紹介したいのが「ととのう土いじり」。私はふらふらと色々な街をさまようのが好きなのですが、最近住宅街や駅ビルの屋上などで畑を発見することが増え、農業や土いじりをはじめる人が増えているなと感じました。

まず、「農業」というキーワードについて調べてみると、ここ数年で興味を持っている人がじわじわと増えていることが分かりました。

出典:Googleトレンド 「農業」で検索

そしてこの農業が都会の真ん中でも楽しめるサービスも話題です。例えば山手線沿線の駅直結ビルの屋上には一面畑が広がっていて、畑をレンタルできるようになっています。年間利用料は10~15万円とそこまで安くないのにもかかわらず、コロナ禍を経て抽選倍率は1.5倍から5倍へと跳ね上がったそうです。

また、もともと畑用地だった場所を小さく分けて貸し出す、「シェア畑」というサービスも話題です。とあるシェア畑には野菜作りマスターである菜園アドバイザーが週4〜6日駐在しており、土の耕し方から苗の植え方、害虫対策など全てサポートサービスが充実しており、プロの技を間近で学べると人気だそうです。「シェア畑」も「農業」同様、ここ数年で検索数が伸びていました。

出典:Googleトレンド 検索ワード”シェア畑” 2016/9~2021/9

ここで、なぜいま「ととのう土いじり」が注目を集めているのか。その理由について考えてみました。

1点目は、3密回避レジャーであるという点。畑はオープン空間で開放感抜群なので、密閉・密集・密接の心配もありません。リモートワークの運動不足解消だったり、子供への食農教育だったり畑の利用目的は様々ですが、屋外で密にならずに楽しむことができるので家族ぐるみでも安心です。
2点目は、サウナや滝行などがブームの昨今、「次世代ととのう」として土いじりの需要があるという点。終わらない自粛生活で息が詰まりがちですが、太陽の光を浴びながら体を動かし、自分で育てた美味しい野菜をいただく一連の流れが日々の暮らしの中の「ととのう」時間、として心を落ち着けてくれるのではないでしょうか。
3点目は、コロナ禍で少なくなった、四季を感じられるという点。家にこもっていると季節の香りに触れる機会が減り、なんだかあっという間に季節が移り変わっているな、と感じる瞬間があります。気温以外の、例えば雲の形や咲いている花、旬の野菜のおいしさなどから季節を感じることができるのは魅力的です。

コロナ禍であらゆることが変化しましたが、外出自粛によって余暇時間が増えた人も多いようです。時間があるから健康に目を向けてみたり、デジタルデトックスを意識したり、今まで気に留めていなかった部分を丁寧にととのえたい、という気持ちが芽生えてきたのだと思います。
ずっと忙しく過ごしている現代人だからこそ、素手で土に触れたときの気持ちよさや、無農薬野菜の健康的でまっすぐなおいしさに触れたとき、生きていると実感し気持ちがととのうのかもしれません。

以上、「ととのう土いじり」についてのお話でしたが、コロナが収束し遠出できるようになっても土いじり需要は変わらずに残るでしょう。そんな「ととのう土いじり」の可能性について、考えてみました。

「ととのう土いじり」に関するビジネスチャンスの例
■ 頻繁に畑に行けない人のために、途中経過をタイムラプスで撮って記録してくれる動画サイトを開発する。マイ野菜への愛着を深めてくれる。
■ 家族向け食農教育プランとして、子供が苦手な野菜(苦味の強いゴーヤなど)を食べやすく改良した品種を提供する。
■ レストランと提携して、収穫した野菜を持っていくと1番美味しく食べられる方法で調理してくれるサービスを作る。
など

最後に、私の好きな映画のセリフをご紹介して締めようと思います。
「どんなに恐ろしい武器を持っても、たくさんの可哀想なロボットを操っても、土から離れては生きられないのよ」(天空の城ラピュタより)
高層ビルがひしめき合っている東京は一見土から離れているように思えますが、実は屋上というスペースに土は増え続けています。このままどんどん畑が増えれば、飛行機から見た東京は一面土色の畑、なんてことも近い将来起こるかもしれません。
煌びやかな東京のネオンも素敵ですが、上から見たら土だらけというのも、それはそれで素敵ですね。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

中林 磨美(なかばやし まみ)
博報堂 生活者エクスペリエンスクリエイティブ局
ヒット習慣メーカーズ メンバー

2021年に博報堂に入社。マーケティングプラナーとして一人前になるために、現在毎日修行中の身。しめ鯖とまち歩きが好きで、「野生に戻る」をテーマに地方の島などによく行きます。

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