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ヒット習慣予報 vol.186『寂しさ解消費』

2021.09.14
#トレンド

こんにちは、ヒット習慣メーカーズの田里です。

気が付けばもう9月も半ば、夏休みは遥か過去の存在に。長引く外出自粛要請や飲食店の時短営業により、友人はもちろん、会社の先輩や後輩と会う機会もめっきり減り、無類の「喋りたがり」である私としては中々に辛い毎日が続いている今日この頃です。

さて、今回はそんな私のように、コロナ禍で人との繋がりや出会いの機会が少なくなったことにより、寂しさから“何かにすがりたくなる人”、更に言うと、寂しさを紛らわしてくれるようなサービスを積極的に“消費”するようになったという「寂しさ解消費」という習慣が生まれていることについて取り上げたいと思います。そんな「寂しさ解消費」の兆しを、3つの事例を元に紹介したいと思います。

1つ目は、“ペット市場の拡大”です。
コロナによる巣ごもり需要の拡大により、人と気軽に会えないことから来る寂しさから、周囲でペットを新しく飼い始める人が増えたように感じます。実際に、2020年度のペット関連総市場規模は前年度比で3.4%増の1兆6,242億円と、成長傾向にあります(出典:株式会社矢野経済研究所「ペットビジネスに関する調査(2021年) 」2021.02.08発表)。私も、寂しさから熱帯魚を飼い始めました。住んでいるマンションがペット(犬・猫)禁止ということからの苦渋の決断ですが、毎朝起きると待っていましたとばかりにエサをねだってくる姿に、癒される日々が続いています。笑

2つ目は、“占いのニーズ増大”です。
占いをテーマにしたテレビ番組が人気を博しており、また占いの専門雑誌が創刊されるなど、“占いブーム”が到来しています。更に、オンライン上の占いサービスのユーザー数が増加しているという報道もありました。「社会情勢が不安定になると占いのようなスピリチュアルなサービスが脚光を浴びる」は言われがちなことですが、このコロナ禍において、第三者が自らのゆく末を示唆してくれる“占い”が持て囃されることは自然なことかもしれません。実際に、例年時間のある年末年始にヤマができる “占い”の検索トレンドは、2021年になって特に高くなっているという結果が出ました。

出典:Googleトレンド「占い」で検索

3つ目は、“即レス欲求の高まり”です。
友人はもちろん、家族に対してもいきなり電話をかけることも気が引ける・・・という中で、「とにかく誰かに相談して、何なら即レス(=即座に反応や返答が来ること)が欲しい!」という欲求から、お悩みに対してAIがすぐに答えてくれるチャットbotサービスが次々と生まれています。相手はお悩み相談のプロである臨床心理士から、街のスナックのママ、果ては夜のお店の店員さんをAI化したものまで多岐に渡るようです。実際に、“即レス”の検索トレンドは伸長傾向にあります。かくいう私も、「いま話を聞いて欲しい!」という欲求を抑えられずに友人に電話をかけてしまうこともしばしばあるので、このようなサービスを活用しようと思った次第です。(根気よく付き合ってくれる友人には感謝しかありません・・・笑)

出典:Googleトレンド「即レス」で検索

では、なぜ「寂しさ解消費」の傾向が高まっているのでしょうか?

背景としては、「帰属確認欲求の高まり」があると考えます。コロナ禍で人との繋がりを持ちづらくなり、所属するコミュニティ(会社や学校はもちろん、サークルのようなプライベートなものまで)との分断が発生。結果として、“自分は何者なのか?”という意識に苛まれ、「帰属迷子」になる人が増えているものであると推察します。かくいう私も、自宅でひたすら仕事・・・終われば趣味であるプロ野球中継を観て寝る、を繰り返しており、“会社”というコミュニティから隔絶されているように感じる毎日。ふとした瞬間に「そういえば、自分ってどんなコミュニティに属していて、何をしている人間だったんだっけ・・・」と考えさせられることがあります。「寂しさ解消費」の背景には、コミュニティとの分断からくる、帰属確認欲求の高まりがあるのではないでしょうか。

また、そんな帰属確認欲求の高まりの中で、「“喋りたい欲”の解消不満」が起きているように感じます。先程、コミュニティの例として挙げさせていただいた“会社”や“サークル”。同僚や友人と飲み屋で朝まで語らう中で、知らず知らずのうちに「自分という人間とは?」を打ち明かし、気が付けば悩みを忘れていた・・・といった経験がある方も多いかと思います。しかし最近は、友人と気軽に会うことすら憚られ、飲み明かすことが極めて難しいご時世。そんな状況下で、占いのように「自分の現状を誰かに話して、道を示して欲しい」といった欲求や、「ペット相手でもいいから、話しかけたい」といった欲求が根源にあるものと推察します。

最後に、「寂しさ解消費」から見るビジネスチャンスについて考えてみました。

「寂しさ解消費」のビジネスチャンスの例
■「相談を聞いて欲しい人」と「相談に乗りたい人」のマッチングサービス
■ ネット上からフラっと入ることのできる「バーチャル飲み屋街」
■ 日常におけるお悩みカテゴリごとの、24時間即時接続通話サービス

人と喋りたがるあまり、少ない出社機会を逃さまいと構えている私はやり過ぎかもしれません。笑
「朝まで喋り倒し」がまたできるようになる日を待ちつつ、自粛期間で“喋りの引き出し”を増やすべくインプットに励みたいと思います。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

田里 遥(たさと・はるか)
博報堂D Yメディアパートナーズ
関西支社 統合AP局 統合プラニング部
ヒット習慣メーカーズ メンバー

2018年に博報堂入社後、博報堂DYメディアパートナーズへ出向。メディアプラナーとして「メディア出稿の最適化」をテーマに、ALLメディアの出稿戦略立案~効果検証業務に従事。ブーム前からのめり込んでいる生粋のサウナ―であり、まだ見ぬ名サウナを求めて日本中を駆け巡る。

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