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ヒット習慣予報 vol.172『グリーンインライフ』

2021.06.08
#トレンド

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの山本です。

みなさん、いかがお過ごしでしょうか。
僕はテレワークが続く中、自室を飛び出して、自然の中に身を置きたい気持ちが強くなっていく毎日です。田舎で育ってきた自分にとって、自然と触れることは重要なエネルギー源ですが、皆さんの中にも、外出自粛が続く中、なかなかレジャーや外遊びに出かけられず、悶々とした日々を過ごしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本日は、そんな自然と暮らしについての新習慣「グリーンインライフ」についてお話しします。「グリーンインライフ」とは、観葉植物を自宅で飼育したり、自分で食べる農作物を自分で栽培するなど、『アクセスできる身近な生活圏に自然環境を取り入れたいと考える人が増えている』という話です。

少しデータを見てみましょう。
Googleトレンドで「観葉植物」と検索してみると、コロナ禍になってからの2020年4月から検索数が上昇傾向にあります。ニュースでもコロナの影響による観葉植物の需要増加について取り上げられていたので、ご存じの方も多いかもしれませんが、実際に自宅で観葉植物を育てる人は増えているようです。

出典:Googleトレンド 「観葉植物」で検索

観葉植物だけでなく、自分で食べる農作物をベランダや庭で作る、いわゆる家庭菜園も増えています。ホームセンターの中には、巣ごもり需要の影響で、家庭菜園グッズの売り上げが前年度に比べて2割も増えた店舗もあったそうです。
自分の身近なところでも、最近レモンを飼育し始めた友人がおり、話を聞いてみました。家庭内でのレモンの飼育は比較的難易度が高いようなのですが、だからこそ、育て甲斐があり、在宅ワークの隙間にお世話することが、都市機能であふれた生活にリフレッシュを与えてくれると言っていました。暮らしと自然の距離が大きく離れてしまっている昨今、手の届く自然を身近に置いておきたいという気持ちが高まっているように思います。

ここまでは、在宅時間が増えたことで、家の中で植物を栽培する人が増えているというお話でした。しかし、みんながみんな、家の中で植物を育成できる環境があるわけではありません。植物を育てるには、それ相応の環境が必要になってきますが、特に都心などでは、日当たりのいいベランダや庭のない家庭も多いのが実情です。
そんな中、自宅では生きた自然環境を再現できない、いわゆる「園芸難民」を救うようなサービスも登場し始めているようです。

先日、緑地農園の運営をされている就農者の方に、お話を伺う機会がありました。東京都心とは思えないほど広大な農地を保有しているその方は、ご年齢的に農地を自身で管理できなくなった代わりに、農地を1平方メートルごとに区分したレンタル農地として、近隣住民の方に貸し出す取り組みをされていました。聞くところによると、向こう2年間はレンタル待ちが続くほどの大反響のようです。散歩ついでに、レンタル農園に足を運び、農作物に水や肥料をやることが、利用者の習慣になっているといいます。お話を聞いていて、自宅から少し足を延ばした先に、緑を育てられる自分だけの自然環境があることが、なんだかとてもうらやましく感じました。それと同時に、農作地のような広大な土地を、みんなでシェアして使っていく、「シェアガーデン」とも呼べるこのプラットフォーム自体に大きな可能性も感じました。

実は、このような動きは最近になって、民営企業を中心に社会全体で推進され始めているようです。国内の農生産率の低下、フードロス、食リテラシーの低下など、自然と私たちを取り巻く様々な社会課題を背景に、「自分で食べるものは自分で作る」「農業をもっと楽しく」というコンセプトでサービスを提供する企業が増えています。
ある企業では、使っていない屋上を会員制の畑として利用する取り組みが始まっています。また、別の企業では、1人1人が農業をエンタメのように楽しく実践する「アグリテイメント」を標榜し、マンションの一室を、会員で野菜を育てるコミュニティ型の畑に変えてしまうなど、大胆な取り組みも行われています。

さて、この「グリーンインライフ」の新習慣の背景にある要因としては、これまでご紹介したように、コロナ禍の生活で自然と触れ合う機会が減っていることや、自然を取り巻く社会課題への注目度が上がることで、グリーンインライフを気軽に実践できるサービスが増えていることが挙げられます。

このような動きを俯瞰して捉えると、「グリーンインライフ」の新習慣は、時代の転換点であるいま、次の私たちの生活を考える上で、とても示唆に富むものだと個人的に感じています。身近な生活圏内に自分がアクセスできる自然環境を手に入れたいという「グリーンインライフ」の新しいニーズと、国や社会として取り組んでいくべき自然を取り巻く社会課題の解決を、生活者にとって楽しい!と感じるアイデアや仕組みでうまく接着していくことが、ますます重要な時代になってきていると思いました。

最後に、「グリーンインライフ」をめぐるビジネスチャンスについて考えてみました。

「グリーンインライフ」のビジネスチャンスの例
■ 土や肥料など、1人で使いきれない園芸アイテムをシェアできるプラットフォーム
■ 植物の適切な管理方法が分かる動画プラットフォームやオンライン植物コンサル
■ 使っていない土地をリフォームしてつくられた、自然豊かな会員制の公園

今年の夏こそ、山や海に足を運び自然を大満喫したいと思っている僕ですが、先行きは不透明。ささやかな自然を少しでも身近に置いていくために、グリーンインライフの生活を実践して行きたいと思っています。

山本健太(やまもと・けんた)
生活者エクスペリエンスクリエイティブ局
ヒット習慣メーカーズ メンバー

2017年に博報堂入社以来、ストラテジストとして、企業やブランドの戦略・企画立案に従事。ミレニアル世代/グローバル領域の業務経験多数。写真と音楽とすべてのユースカルチャーをこよなく愛する。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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