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Hakuhodoが世界で選ばれる理由とは? ポスト・コロナ時代に別解を生み出す「グローバル4P」のフレーム / 木村健太郎(連載:「博報堂のグローバルビジネス」Vol.2)

2020.11.25
#クリエイティブ#グローバル#ソリューション#ブランディング
ボーダーレス化する企業活動への対応力の更なる強化のため、海外事業を強化している博報堂。現在、海外19の国と地域、105を超えるオフィスで事業を展開しています。
連載「博報堂のグローバルビジネス」では、博報堂の世界における新しい挑戦について、各領域のリーダーへのインタビューを通じて紐解いてまいります。
第2回は博報堂が世界で選ばれる理由について、博報堂グローバル統合ソリューション局長の木村健太郎に話を聞きました。

Globalize Your Value

──木村さんが局長を務めるグローバル統合ソリューション(GIS)局は、博報堂のグローバルビジネスにおいてどんな役割を果たす組織なのか、改めてお聞かせください。

GIS局はクリエイティブ職、プラニング職、プロデューサー職を中心に、国内外合わせて約60名を擁するグローバルのスペシャリスト集団であり、博報堂を世界で戦えるエージェンシーネットワークに成長させる原動力となっています。

具体的には、我々が担っている役割は3つあります。まずはグローバルビジネスのパートナーとして、海外に進出している日本のクライアントや日本に進出する海外のクライアントに、マーケティングやクリエイティブ、コンサルティングを掛け合わせた統合的なサービスを提供するという役割で、「Globalize Your Value(あなたの価値をグローバル化する)」というコンセプトを掲げています。二つ目は、そのために様々なグローバル分野のソリューションツールを開発し、各国のチームやクライアントに提供する役割です。そして三つ目は、世界19カ国に展開している博報堂のインターナショナルネットワークや欧米を中心としたアライアンスパートナーを、スタッフサイドから有機的に結びつけて、世界中に点在するリソースを面にしていく「グローバルハブ」という役割です。

コロナ禍は、グローバルビジネスを加速させる

──今年、グローバル領域は新型コロナウィルスの流行によって大きな試練を迎えましたね。

そうなんです。昨年までは、私を含めGISのメンバーは世界各国を飛び回っていました。しかし今年は海外出張ができなくなり、社内外のグローバルのイベントもそのほとんどが延期や中止となりました。海外に赴任しているメンバーもしばらく日本にとどまらなければいけなくなりました。このような状況下では、すべての仕事が停滞するのでは、とはじめのうちは悩みました。しかし、実際はその反対でした。今年ほど、多くの国、多くの人々と、毎週のようにオンラインで深い対話ができる年は今まで無かったからです。コロナ禍で世界は確実に小さくなったのを感じます。つまりこれは、博報堂を真のグローバルネットワークにするためのいろいろな施策を一気に進める大きなチャンスに違いないと思い、一気にアクセルを踏むことにしたのです。

生活者発想で「別解」を生み出す力

──博報堂を世界で戦えるエージェンシーネットワークにしていくためには、「博報堂が世界から選ばれる理由」が必要だと思いますが、それは何だとお思いですか?

グローバルで博報堂が選ばれる理由とは、クリエイティビティの力で、生活者発想をベースとした「別解」を提供できることだと考えています。過去の定石セオリーといった「正解」に対し、「別解」とはそれまでの常識を打ち破るような前例のないアイデアのことです。
今回コロナ禍で、「ニュー・ノーマル」という言葉が生まれましたが、それは生活習慣だけではなく、グローバルマーケティングにも当てはまります。今までノーマルとされていたコロナ以前のベストプラクティス、つまりお手本が通用しなくなってきて、世界中の誰もが答えの見えない中で誰もが進むべき新しい道を模索しています。だからこそ、博報堂の「別解」を生み出す力が必要とされているのだと思います。

博報堂がなぜ「別解」を生み出せるのか。それは、生活者発想をフィロソフィーとして徹底して生活者に寄り添ってきたからに他なりません。変化の時代にこそ、常識や前例にとらわれず、生活者の中にあるチャンスとなる変化をいち早く発掘し、そこから発想していくからこそ、我々は独創的な「別解」を生み出しやすいのです。この別解力は、ウィズ・コロナ、ポスト・コロナの時代に博報堂が選ばれる大きな理由になってきているのだと思います。

4つの別解を生むソリューション

──具体的には、博報堂が「別解」を生み出すためにどのような方法があるのでしょうか?

GISでは、この大きな変革期こそグローバルに活用でき、クライアントが求める別解を生み出すためのツールとして、「グローバル4P」というフレームワークを開発しました。博報堂の最先端の作品、グローバルで評価されているキャンペーン、ウィズ・コロナの生活者動向などを統合的に分析して開発した今までにないフレームワークです。
パーパス(Purpose)、ピープル(People)、プロット(Plot)、プログラム(Program)という4つのPの視点から、今求められる別解としてのソリューションを開発していくプランニングツールになっています。

その前に、今までの「正解」であったマーケティングコミュニケーションの定石を考えてみましょう。まず、プロダクト(Product)から競合と差別化できる優位点を発見し、それで獲得できそうなターゲット(Target)に狙いを定め、そのターゲットに対してプロダクトを一番魅力的に伝えるメッセージ(Message)を開発し、そのメッセージを一番効果的に伝える広告(Advertising)を制作する。これが我々のこれまでの「正解」でした。

このProduct、Target、Message、Advertisingという伝統的なフレームに変わる新しい「別解」を生み出すフレームが、Purpose、People、Plot、Programなのです。

──4つの別解ソリューションについて簡単に説明してください。

まずはPurpose。今日、競合ブランドとどう差別化するかという「プロダクト発想」から、どのように社会における意味を見つけるかという「パーパス発想」へのシフトが求められています。
コロナ禍で世の中が分断されてしまった中で、社会の一員として、改めて社会とつながりたい、貢献したいという欲求は全世界で、そしてクライアントの間でも高まっています。この社会的存在価値からブランドアクトを発想していきます。

次にPeople。製品に反応する顧客を短期的に獲得しようという従来型のターゲット発想から、ブランドのパーパスに共感するファン(=ピープル)と息の長い関係を築くべきだという考え方へのシフトです。この考え方を推進するために、ブランドのファンコミュニティを構築し運営するための様々な生活者発想のツールを開発しています。

三番目はPlot。企業から一方的に発信するメッセージより、顧客が自ら語りたくなる筋書き(=プロット)を最適な形のコンテンツに乗せて届けるという考え方です。我々は、プロット発想で作られた新しい成功コンテンツキャンペーンを多数生み出しています。

そして、Program。メッセージを伝えるための広告を超えて、ブランドのプロットを体験するための仕組みのことを私たちは広くプログラムと呼んでいます。サービスやコンテンツやコミュニティのプラットフォームを作ることもあります。

このフレームワークは、特にグローバルブランドで必要になってきています。従来型のプロダクト差別化発想で考えると、経済や競合は国ごとに違うため、別々のターゲットを設定し、バラバラなメッセージで、国ごとに違う広告を作るので、なかなか統一したグローバルブランドを育てにくいというのが我々のクライアントの共通の悩みでした。しかし、商品の機能やベネフィットでなく、企業やブランドのパーパスから発想すると、ターゲットでなく統一のピープルで規定し、企業発のメッセージでなく長期間語りつがれていくプロットを持つことができ、伝える広告でなく体験するプログラムを作ることができるのです。

前述のように、グローバル4Pは、すでに様々なクライアントで活用していただいており、ポスト・コロナ時代の顧客ニーズに応える別解を発想するフレームとして手応えを感じています。今後はさらに構想から実装までソリューションのメニューを充実させていく予定です。

ネットワークの血流を太くする

──では、このような博報堂の「別解」提案力を、世界中のネットワーク全体で共有し、強化するためにどのようなことに取り組んでいますか?

まずはナレッジの血流を太くすることを考えました。これからのポスト・コロナのナレッジマネジメントは、世界中の仲間たちが、必要な人が必要な時にいつでもどこでも学べるオンライン動画コンテンツという形が一番いいのではないかと発想しました。そこで、2020年8月に、社内の企画として、リモート時代のグローバルナレッジプラットフォーム「GIS Creativity Lab」をローンチしました。

博報堂グループ内でのナレッジを共有するこのオンラインプラットフォームは、クライアントが必要とする多様な「別解」を構想し、実装し、運用していくための、4Pを含むソリューションツールやそれを習得するマーケティングやクリエイティブの様々な研修が英語で動画化されています。他にも、最新のキャンペーン事例の紹介、グループ会社の突撃取材やヤングカンヌ体験記のような気楽に楽しめるものまで、毎月3〜4本のペースで、GISの局員中心に撮影、編集、番組化して、十数ヶ国で各国の運営担当者が配信しています。今年中に二十数本がアーカイブされ、今後は英語以外の中国語などでの展開も進めて、ナレッジのグローバリゼーションを進めていきます。

さらにナレッジだけではなく、人的なネットワークの血流を太くすることにも取り組んでいます。ここ数年で、M&Aで新しくHakuhodo International にジョインした仲間や新しく提携したアライアンスの仲間が急激に増えました。直接会うことができなくても常につながっている関係性を築き、さらにリーダー人材を育成するために、各社のケイパビリティ、アワード受賞作品などをシェアしあうオンラインミーティングを定期的に開催しています。

このような取り組みを通じて、文化や専門性の違いを乗り越えて、多種多様な仲間たちがオンラインでひとつにつながる一体感が生まれ始めています。そして、ハブであるGISと各国の拠点がコラボするプロジェクトが増えてきています。コロナ禍の今だからこそ、ネットワークの力をスピーディにフレキシブルに結集して、ますます多様化するクライアントのグローバル課題に応えていきたいと思っています。

木村 健太郎(きむら けんたろう)
株式会社博報堂 グローバル統合ソリューション局長
兼 株式会社博報堂ケトル 取締役 エグゼクティブクリエイティブディレクター

1992年に博報堂入社後、ストラテジーからクリエイティブ、デジタル、PRまで職種領域を越境したスタイルを確立し、2006年、従来の広告手法やプロセスにとらわれない「手口ニュートラル」をコンセプトに博報堂ケトルを設立。
NYフェス グランプリ、カンヌライオンズ 銀、D&ADイエローペンシル、ワンショウ 金、スパイクスアジア グランプリ、アドフェスト グランプリなど多数の受賞歴を持ち、国際広告賞の審査経験(審査員長含む)は25回を超える。海外講演の依頼も多く、2013年から5回に渡りカンヌライオンズ公式スピーカーを務めた。
現在は、Hakuhodo International チーフクリエイティブオフィサー兼、博報堂ケトルの取締役も兼務する。

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