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ヒット習慣予報 vol.123 『野餐@中国』

2020.06.09
#トレンド

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの江です。

4月から始まったステイホームの生活があっという間に3か月目に突入して、そろそろ梅雨の足音も聞こえ始める時期になりました。2週間前に緊急事態宣言が解除され、自粛生活に疲れた人たちが海や山へ繰り出す動きが見られるようになりましたね。

中国では、日本より一足早くコロナの収束に向かっており、本格的な経済活動の再開でこれまで買い物を自粛していた人たちのいわゆる「リベンジ消費」の動きが一部見られ、新型コロナウイルスに警戒しつつ、自分の住んでいる都市やその周辺を旅行することが増えてきています。5月初めの労働節(メーデー)5連休の旅行者数が、昨年同時期の3連休の1億9500万人を下回るものの、延べ1億1500万人となったほど、徐々に活況を取り戻しつつあります。

そんな中で、今回は、中国の若者の中でにわかに人気を集めている「野餐(=ピクニック)」というテーマに注目しました。ちなみに、中国語の「野餐」はフリガナをつけると「野(イェ)餐(ツァン)」と発音します。
「野餐」は、フランスやイギリスをはじめ、ヨーロッパ発祥の文化で、自然豊かな場所に出かけて、あらかじめ手編みバスケットに詰めて運んだ食べ物をそこで食べることですが、ここまで、温かい食事や飲み物を好むという中国の食文化に馴染まず、市民権を得ることができませんでした。
ここでBaidu指数をみると、コロナ収束の兆しが見え始めた今年の3月頃から、「野餐に何を持っていくか」の検索数が一気に増え始め、5月初めのピークに達した後も、高い水準を維持しているように見えます。

出典:Baidu指数(中国)

2020年はインターネット上で「中国野餐元年」と呼ばれています。中国で大人気の口コミECアプリにおいても、今年5月の「野餐」関連の投稿が同期比で13.6倍に増えたそうです。直近1か月のユーザー投稿をのぞいてみると、一枚の格子柄のピクニッククロス、田園風ピクニックバスケット、冷たいけど写真映えする軽食やデザート、シャンパングラスに装飾用バルーン、・・・といったような既視感のある投稿写真が目に留まることがいつも以上に多い印象です。外出規制が緩和された後、大自然に囲まれた、開放感あふれる環境の中で家族や友人と楽しいひと時を過ごす人もいれば、ライブ配信の場面を室内スタジオから「野餐」のワンシーンに移し、各種商品の販売をリアルタイムに行う人もいて、「野餐」の目的もまちまちです。

(※写真はイメージです)

では、なぜ今まで鳴かず飛ばずだった「野餐」が広がっているのか、中国の若者の心理を捉えた大きな背景要因が二つあると考えます。
一つは、アウトドアブーム人気の高まりです。中国では、数年前から空前のアウトドアブームが続いているといわれています。生活に余裕がある80後や90後世代(1980年代後半〜1990年代生まれの20〜30代)を中心に、ストレス社会からの解放を求め、非日常の大自然を満喫できる登山やBBQ、釣りなどのアウトドアを楽しむ人が増えてきています。そして、未だに省をまたぐ移動の制限が続く中、「野餐」は現実的な選択肢になり、その手軽さにより習慣として定着する可能性が高いかもしれませんね。

もう一つの要因は、中国の若者が重要視している「儀式感(=セレモニー感)」と経済性との兼ね合いです。コロナの影響で収入減少に苦しみながらSNS上だけでも優越感に浸りたい中国の若者が多数います。SNS上の発信に対して多くの「いいね」を得るために、ひと工夫で非日常的な儀式感をいくらでも演出できることから、「野餐」は、コスパの良い休日の過ごし方として選ばれるわけです。

最後に、「野餐」のシーンを想定したビジネスチャンスについて、少し具体的に考えてみました。

◎「野餐」のビジネスチャンスの例
■野餐に必要な備品や食事の準備から後片付けまでを一手に引き受けてくれるオンライン予約サービスを提供する。
■オフィスビルの屋上庭園を活用し、デジタルアートの演出を加えて疑似野餐体験ができるサービスを推進する。
■野餐の時間をより楽しく過ごすための音楽や動画などのライブ配信コンテンツを開発する。
など。

2か月以上続いてきたステイホーム中心の生活にそろそろ限界を感じています。これからいろんな人と画面越しでなく実際に会いたいし、大自然とも触れ合いたいし、宮沢賢治の言葉を借りると、コロナにも負けず、梅雨にも負けず、みんなと「野餐」に行ける日が待ち遠しいです。

江源(こう・げん)
統合プラニング局
ヒット習慣メーカーズ メンバー

2017 年博報堂に中途入社。
近いようで遠い中国のヒット習慣から仕事のヒントを探す日々。
中国で一番辛いと言われる故郷の湖南料理をこよなく愛する、生粋の「辛党」。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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