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「母の日」変化球な贈り物は?(連載:デジノグラフィで読み解く〇〇vol.5)

2022.11.17
#デジノグラフィ#トレンド#生活総研
ネット上には多様な生活者の声があふれています。中でも、ブラウザ検索のキーワードとして打ち込まれた文字列には、生活者自身の思考が素直に投影されています。あの細長い検索窓には、生活者が疑問に思っていること、分からないこと、悩んでいることが、時として検索ワードというより心情を吐露する文章になって打ち込まれているのです。
本連載では、そんな検索ビッグデータに現れた生活者の移ろいゆく心を様々な博報堂社員の視点でご紹介していきます。ベースになっているのは、博報堂生活総合研究所が提唱する、デジタル上のビッグデータをエスノグラフィ(行動観察)の視点で分析する手法「デジノグラフィ(https://seikatsusoken.jp/diginography/)」の考え方です。
ビッグデータ分析、というとなんだか肩に力が入ってしまっていけません。リラックスした気分で、データの向こう側にある現代社会を生きる生活者の日々に思いを馳せられる半分エッセイのようなコラムを連載でお届けします。
※本コラムは、Webメディア「NewsPicks」の「トピックス」に掲載された記事の転載です。

酒井 崇匡
博報堂生活総合研究所 上席研究員

「母の日」
家族のために尽くしてくれる「お母さん」をねぎらい、感謝の気持ちを表す日。毎年、5月2週目の日曜日とされている。(コトバンクより 参照:2022.11.14)
https://kotobank.jp/word/%E6%AF%8D%E3%81%AE%E6%97%A5-115947

皆さんは母の日や誕生日に、お母さんに何かプレゼントをされていますか?
検索データを見てみると、実は「母の日 プレゼント」を検索する人は近年増加傾向にあります。先ごろ最新の2022年調査結果が公開された「生活定点」調査で、直近の「母の日」に贈り物をした人の率(https://seikatsusoken.jp/teiten/answer/889.html)を見てみると、全体ではそこまで大きな変動はないものの、40~50代で上昇傾向にあります。平均寿命が延びた結果、親子関係も長期化し、40~50代でも母の日や誕生日にプレゼントを贈る人が増えているのでしょう。
ただそれだけに、毎年何を贈るか悩みますよね。そこでヤフー株式会社が提供するデータ分析ツール「DS.INSIGHT」を使って、2021年1年間の「母の日」を含む検索データから、誕生日のプレゼントにも使えそうで、私が「おっ!」と思ったものを抜き出してみました。
※「DS.INSIGHT」では統計化されたデータのみを扱っており、個人を識別可能な情報は含まれません。

皆さんのプレゼント選びの参考になるものはあるでしょうか。

花の変化球は、ハーバリウム、ソープフラワー

まず、母の日では定番のお花ではありつつ、ちょっと変化球なものとして、最近人気のハーバリウムや、ソープフラワーなどが検索されていました。ハーバリウムは自分で作れる体験教室も多く開かれているので、お子さんと一緒に行ってみるのも良いかもしれません。

お父さん用にも使えそうなファッションの変化球

続いてはファッション関連の変化球。普通の洋服だと好みやサイズ選びに悩みそうですが、「パジャマ」というのはなるほどと思いました。そこまでサイズや好みが細分化されておらず、かつちょっと良いものを贈ってもらえると嬉しい実用的なプレゼントです。これはお父さんの誕生日や父の日用としても使えそうですね。他の衣料品ですと、「エプロン」や「ストール」も上位に入っていました。

お子さんからの?「折り紙」

「折り紙」もランクインしていました。検索するとカーネーションの折り方などが出てきます。「母の日 製作」といったワードもランクインしていたので、保育園や幼稚園での製作用なのかもしれません。自分の手で、という点では、メッセージも忘れずに添えたいですよね。

なんだかんだで、「肉」

食べ物ではお菓子類が定番かと思いますが、「さくらんぼ」というのも季節感があって良さそうです。そして、私がデータを見ていて一番元気が出たのは、「母の日 肉」という検索。やっぱ肉、幾つになっても美味しいですよね!

参考になるものはありましたか?

ちなみに、コトバンクによると、母の日の由来は「1907年、アメリカに住んでいた女性、アンナ・ジャービスが、苦労の末、自分を懸命に育ててくれた母の死を悼み、母親が好きだった白いカーネーションを教会に飾ったのが発端とされている。」そうです。(諸説あり。)

お互いが健在だからこそ贈れるもの、過ごせる時間を大切にしたいですね。

酒井 崇匡
博報堂生活総合研究所 上席研究員

2005年博報堂入社。マーケティングプラナーを経て、12年より現職。 デジタル空間上のビッグデータを活用した生活者研究の新領域「デジノグラフィ」を様々なデータホルダーとの共同研究で推進中。 行動や生声あるいは生体情報など、可視化されつつある生活者のデータを元にした発見と洞察を行っている。 新刊に『デジノグラフィ インサイト発見のためのビッグデータ分析』(共著) https://www.amazon.co.jp/dp/4883355101/ その他の著書に『自分のデータは自分で使う マイビッグデータの衝撃』(星海社新書)がある。 2018年1月よりNewsPicks Pro Picker。NewsPicks内特集では『コロナ後の世界』、『イノベーターズ・トーク 消費の次』、『ProPickers NOTE』などで寄稿。

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