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クリエイティブ×ファイナンスで日本のビジネスを強くする──博報堂「TEKO」とデロイト トーマツの協業が目指す新しい課題解決の方法

2020.01.24
#クリエイティブ
左から原田(TEKO)、大澤(TEKO)、伊東氏(DTFA)、三宅氏(DTFA)

企業成長をクリエイティブ面で支援する博報堂のグローススタジオ「TEKO」と、日本最大級のビジネスプロフェッショナルグループ、デロイト トーマツのファイナンシャルアドバイザリー部門であるデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社(以下、DTFA)。その二社の協業が2019年11月からスタートしました。ビジネスの方法論もカルチャーも異なる二社が手を結ぶ理由とは何なのでしょうか。そしてその協業がもたらす価値とは──。 コラボレーションのキーパーソンである4人に語ってもらいました。

大澤智規
TEKO
エグゼクティブクリエイティブディレクター

原田 朋
TEKO
クリエイティブディレクター

伊東真史氏
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社
ライフサイエンス・ヘルスケア リードパートナー

三宅洋基氏
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社
コーポレートストラテジーサービス
シニアアナリスト

感性×理性、クリエイティブ×ファイナンス。異なる方法論の掛け算が生むシナジー

──TEKOとDTFAの協業が先日発表されました。まずは、それぞれのチームの概要をお聞かせいただけますか。

大澤(TEKO)
広告で培ったクリエイティブのスキルを広告以外の領域にも活用することで、企業成長を支援できないか──。TEKOは、そんなビジョンを掲げて2年前に立ち上がったチームです。もともとクリエイティブディレクターが中心でしたが、今年になってメンバーを増やし、クライアントのビジネスを成長させる「グローススタジオ」というコンセプトを明確にしました。

原田(TEKO)
「TEKO」というのは、梃子(てこ)の原理の「梃子」のことで、クリエイティブの力でクライアントのビジネスにレバレッジ(日本語で梃子の原理)を掛けるという僕たちの取り組みを端的に表しています。

伊東氏(DTFA)
デロイト トーマツの専門領域は大きくは5つに分けられます。監査・保証業務、リスクアドバイザリー、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、そして税務・法務です。DTFAは、そのうちのM&Aやクライシスマネジメントに関するファイナンシャルアドバイザーの組織です。クライアントの産業別にチームを構成するスタイルをとっていて、私はライフサイエンスとヘルスケア領域を担当しています。

──二社の協業を考えた目的は?

大澤(TEKO)
伊東さんと「何か一緒に新しいことができないか」という話を始めたのは、確か一年くらい前でしたね。

伊東氏(DTFA)
そうでしたね。現在、多くの企業が新しい事業創出を目指していますが、私たちもまた、従前のビジネスの上に胡坐をかかずに、新しいことにチャレンジしていかなければならないと考えていました。しかし、それを自社だけで行うのは簡単ではありません。これまで蓄積してきた自社のビジネス資産を他の資産と掛け合わせれば、これまでできなかったことができるようになるかもしれない。そう考えて、TEKOに声を掛けさせていただきました。

三宅氏(DTFA)
私自身、広告会社での勤務経験もあるため、広告会社とコンサルティングファームは、クライアントの課題解決をビジネスにしている点は共通ですが、その方法には大きな違いがあると感じています。協業の話が持ち上がったとき、全く異なる二つの方法論が結びつくことで大きなシナジーが生まれるに違いないと思いました。

大澤(TEKO)
そう、アプローチが本当に違うんですよね。一緒にやりはじめて、正直驚きました。同じクライアントに対して、こんなにも違うやり方で提案していたのかと。でも、実はTEKOもDTFAもクライアントから受けているオーダーはほとんど同じで、要するに企業成長をどう支援できるかということ。僕たちが一緒に動くことは、クライアントにとってもメリットは大きいはずだと考えました。

原田(TEKO)
僕たち広告会社は、事業のビジョンをつくったり、その道筋をビジュアル化するような仕事をいつもしています。感性や情緒的なものを一つの言葉や一つのビジュアルにして、誰もが見えるものにすることを得意とします。一方、DTFAの皆さんは、会計という仕組み、つまり数字によって物事を明確にしていくことを強みにされています。ひと言で言うと、僕たちはクリエイティブのプロで、DTFAはファイナンスのプロということ。「クリエイティブ×ファイナンス」から新しいケミストリーが生まれる、それがこの協業の大きな意味だと思います。

三宅氏(DTFA)
デロイト トーマツ グループの特徴は、常に「事実」と「現状」に立脚していることだと私は考えています。一方で、広告会社には、非連続的な未来を構想していくパワーがありますよね。互いに長所を持ち寄り、足りないところを補い合える関係だなと思っています。

──こういった協業に対して、クライアント側にもニーズがあると思いますか?

伊東氏(DTFA)
最近、経営者の皆さんの意識に、ある変化を感じています。日々膨大な情報を処理しなければならない一方で、意思決定のスピードを上げていくことが求められていて、その中で答えを出すためには、経済合理性だけでなく、ある種の「感性」が必要だと。そう考える方が増えてきていると思うんです。「このビジネスが好き」「この仕事が面白い」「この事業はワクワクする」──。そんな感性です。

原田(TEKO)
経営者としてのパッション、あるいは企業の本質的なパーパス(存在意義)に対する直観力。そういったものを大事にする経営者が増えていると僕も感じます。まさに、「感性」なしでは未来に向かうことができない時代になっていると言えるかもしれませんね。

大澤(TEKO)
企業はもう、連続的な成長は求めていません。非連続的な成長を目指すスタート地点となるのは、あくまで理性的に捉えた「事実」であり「現状」だと思います。そこに想像力が加われば、ビジネスの成長可能性は飛躍的に広がります。DTFAの現状をつかむ力と、TEKOの未来を描く力。今まではおのおのでクライアントのお手伝いをしてきましたが、両方の力を合わせれば、今よりももっと企業成長に貢献できると思っているんです。

クライアントとともに「北極星」を見つける

伊東氏(DTFA)
未来を見通すことが難しくなっている時代だからこそ、いま企業の経営者は、3年後や5年後の“見積れる世界”の話ではなく、もっとその先にある「北極星」を見つけ出さなくてはならないと思うんです。実際に、そういう仕事の依頼も増えています。指標なしに未知の大海原を航海することはできません。

大澤(TEKO)
そうですよね。クライアントとともに北極星を探してくれるパートナーが求められていると僕も感じます。クライアントからすれば、そのパートナーがコンサルティングファームか、広告会社か、あるは別のプレーヤーかというのは、大きな問題ではないと思います。

原田(TEKO)
より大きな北極星、よりはっきり見える北極星をともに見つけられるパートナーがいいパートナーだということですよね。

伊東氏(DTFA)
さらに言えば、ある一社にとっての北極星だけでなく、日本全体の北極星を見つけて、皆さんに提示したい。少子高齢化が進むこれからの日本の課題は、皆で一緒に考えていかないと解決できないはずです。数多くの企業とお付き合いし、企業の課題やニーズを深く理解しているTEKOの皆さんと私たちが力を合わせれば、そういう大きな働きかけもできるのではないかと思っています。

三宅氏(DTFA)
原田さんがこの協業のスローガンとしてつくってくださった「トランスフォーム・ニッポン」には、まさに我々のこの志が表現されていると思います。

今回の協業スローガン「Transform NIPPON.」のロゴマーク。

共創コンソーシアム――企業間の新しいコラボレーションの形

──具体的にはどのような取り組みを行う予定ですか。

大澤(TEKO)
伊東さんも仰っていたように、課題解決に一社だけで取り組むのは難しい時代になっています。まず僕たちの協業が目指すことは、課題やビジョンを共有できる複数の企業が出会う場をつくり、そこでそれぞれの企業が成長していける戦略を描くお手伝いをすること。具体的には、テーマごとの「コンソーシアム」を立ち上げ、そこで複数の企業をつなげていきながら、社会課題と企業課題の解決をはかっていきたいと考えています。

三宅氏(DTFA)
DTFAはこれまで数多くのM&Aを手がけてきています。企業と企業を物理的に引き合わせることは最も得意な領域と言えます。

原田(TEKO)
逆にTEKOは、企業と企業を精神的につなげるスキルを持っています。広告会社は、企業の合併のような、異なるカルチャーや歴史をもった企業同士が一体となって動き出すためのスローガンや行動規範を作るような仕事を数多く手がけてきました。この両者のスキルを組み合わせることで、新しい企業間コラボレーションの形を作っていけるのではないかと思っています。

大澤(TEKO)
最初に立ち上げるコンソーシアムのテーマに設定したのが「健康」と「地域」です。伊東さんの専門領域であるということもありますが、それ以上に、この二つの課題への取り組みなしには日本の未来はないと考えるからです。

伊東氏(DTFA)
「健康」と「地域」にまったく無縁の企業はありません。あらゆるビジネステーマがそこに結びつきますし、つまり、あらゆる企業のビジネスチャンスがそこにあるわけです。でも、どこも上手く行っているとは言いづらい。今は各社個別に取り組んでいますが、このペースで進めていても日本は健康にならないでしょう。そこで企業が集まって、皆で一気にこの問題を解決していこうよという提案です。

──コンソーシアム運営のポイントは。

原田(TEKO)
今後、さまざまな企業にお声がけをしていくことになると思うのですが、BtoBかBtoCかに関わらず「生活者」の視点をすべての参加企業と共有していく必要があると考えています。BtoBビジネスの先にも常に生活者がいて、ビジネスを具体化していく局面では、生活者がどう感じ、何を求めているかを捉えることが欠かせないからです。博報堂が一貫してこだわってきた「生活者発想」が、コンソーシアム運営でも生きてくると思います。

伊東氏(DTFA)
コンソーシアムの持続可能性という点でも、生活者発想は欠かせませんね。生活者が必要とする価値を提供して、お金をもらっていく仕組みを作れないと、継続的な取り組みにはなりません。ぜひ、その部分でもTEKOさんの力を発揮していただきたいですね。

いずれ誰かがやるなら、自分たちでやろう

──今後に向けた意気込みをお聞かせください。

原田(TEKO)
TEKOとDTFAは、企業文化も発想法も課題に対する答えの出し方も異なります。その二社がシナジーを生み出すために必要なのは、お互いへのリスペクトだと僕は考えています。広告会社とコンサルティング会社は、場合によっては競合になる関係です。その二者が手を結んだ成功例を、リスペクトを基盤にしてつくっていきたい。そう思っています。

三宅氏(DTFA)
私自身、広告会社とコンサルティング会社の両方を知っているので、その協業が実現することにとてもワクワクしています。異なる組織が協業する場合、スピード感が課題になるケースが少なくありません。意思決定の仕組みを最適化して、スピードで勝負できるチームにしていきたいですね。

伊東氏(DTFA)
私たちがやろうとしていることは現在の日本に必要とされていることで、私たちがやらなければ誰かがきっとやるはずです。誰かがやるなら、自分たちでやろう。それが私の率直な気持ちです。100メートル走で10秒の壁を初めて破ったカール・ルイスは、「いずれ誰かが10秒を切るなら自分がその人になりたい」と言っていたと思いますが、まさに、カール・ルイスと同じ気持ちです(笑)。

大澤(TEKO)
僕は多くの人が本当に必要とするものを、この協業によって生み出していきたいと思っています。「こうなったらいいな」ではなく「これが絶対に必要」というものを生み出せるかどうか。それによってこの協業の価値は決まるはずです。クライアントの皆さんとともに、このチャレンジをぜひ成功させましょう!

■協業についてのWEBサイト
http://teko-leverage.com/nippon/

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