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ヒット習慣予報 vol.67 『ながらンドリー』

2019.04.09
#トレンド

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの中川です。

今からもう19年も前に地元から上京して、私の大学生活がはじまりました。その頃、たまりにたまった洗濯物をゴミ袋に入れて持っていきコインランドリーに通っていたのを思い出します。当時はかなり狭い空間で薄暗く、お客さんの多くが(おそらく)一人暮らしの男性だった印象があります。洗濯物を放り込んで早々に出かけて忘れた頃に取りに来る。そんな思い出のコインランドリーも今では随分と様変わりしたようです。

今回のテーマは「ながらンドリー」です。
コインランドリーが、「洗濯するだけの場所」から「ゆっくり滞在する場所」へと進化しています。
まず、「洗濯」というワードを元に、“テキスト情報解析AIエンジンQuid※”を用いて2018年後半のYahoo!の記事を振り返ってみました。すると、次のような結果が見られました。

出典)Quidを用いたYahoo!記事検索より集計(2018年後半の「洗濯」に関する記事を分析)

子育て、一人暮らし、収納、洗濯方法などのキーワードにまじって、コインランドリーという区分が出現しました。このコインランドリーという区分の記事数が徐々に増加しており、注目度が高まっていることが見て取れます。

出典)Quidを用いたYahoo!記事検索より集計(2018年後半の「洗濯」に関する記事を分析)

増加しているコインランドリーの記事を眺めてみると、「ゆっくり滞在する場所」としての新しいコインランドリー像が見えてきました。

例えば、カフェやバー併設のコインランドリー。店内もオシャレで清潔感にあふれているので、コーヒーやビール片手に、本を読んだり、スマホをいじったり、と思い思いの時間を過ごす人が増えています。Wi-Fi、電源完備のコインランドリーもあるので、大学生が勉強に来たり、社会人がパソコンで資料づくりをしたりと、集中力を高めたい時の絶好の場所になりつつあります。
カラフルな熱帯魚が泳ぐ水槽があったり、ネイルサロンが併設されていたり、なんとペットを洗うシャンプー台完備のところなど、今までの想定を超えた楽しさを提案する場所も増えています。共有スペースが充実していて、そこに地域の人が集い、パーティー、音楽イベント、ワークショップを開催することで、新しいコミュニティと化している場所もあります。
また、Instagramを眺めてみると「#コインランドリーガール」というハッシュタグと共に、洗濯機の前でしゃがみこむなどのポーズを決めて写真を撮る女子も増えているのだとか。
コインランドリーのあり方が進化し、人気を集めていることもあり、コインランドリー投資も注目されています。不動産投資のようにコインランドリーに投資するというのだから驚きです。

このように「ゆっくり滞在する場所」として洗濯しつつも、勉強、仕事、それ以外の楽しみをする「ながらンドリー」が増えている大きな要因は、女性の利用の増加です。私が上京したての頃は、独身男性がお客さんのほとんどでしたが、今は多くが女性客なのだとか。共働きなどで忙しくなった女性が、パワフルなコインランドリーの洗濯機や乾燥機で、洗濯の時間をぐっと短縮しているようです。こうして男性客から女性客へとシフトしているので、コインランドリーがどんどんオシャレになり、居心地がよくなったこともあり、そこでの時間を有意義で楽しいものにする様々な工夫が発展してきたのでしょう。

このような「ながらンドリー」が拡がることで、新たなビジネスチャンスが予想されます。

◎「ながらンドリー」のビジネスチャンスの例
■本屋さんに、コインランドリーを併設する。
■スポーツジムに、コインランドリーを併設する。
■コインランドリーに持っていく携帯用の洗剤や柔軟剤を開発する。
など。

日々、仕事に家事に子育てに、いろんなことに忙殺されている人も多いと思います。そんなときはのんびりカフェに行くように、のんびりコインランドリーに行ってもいいかもしれません。洗濯物を洗いながらホッと一息コーヒーでも飲むことで、くたびれた心も一緒に洗ってくれるような気がしませんか?

※米国Quid社が開発した、AIを用いたテキスト情報解析・視覚化プラットフォーム。日本国内では、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社が提供している。

中川悠(なかがわ・ゆう)
統合プラニング局チームリーダー
ヒット習慣メーカーズ リーダー

メーカーの商品開発職を経て、2008年に博報堂中途入社。
マーケティング職として、日々お得意先や社会の課題に向き合っている。折りたたみ椅子を持ち歩き、気になる景色を楽しむチェアリングを実践中。好きな落語家は五街道雲助師匠。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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