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ヒット習慣予報 vol.29 『ワンハンドグルメ』

2018.06.26
#トレンド

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの中川です。

先日の土曜、大好きな浅草に繰り出しまして、ホッピー通りで軽く飲んだ後、以前から気になっていた東京で一番古いおにぎり専門店へ。“あみ”という小さなえびのおにぎりを注文。カウンター越しの女将さんが手際よく握ってくれた出来立てのおにぎりを勢いよく頬張ったら、、、、、、う、うまい、うますぎる。今まで食べたおにぎりを凌駕する異次元のうまさに大感激したのでした。

さて、今回のテーマは「ワンハンドグルメ」。
おにぎりやサンドイッチなど、片手で食べられるけど、今まで以上に美味しくて満足度も高いグルメを食べる機会が増えてきているというお話です。

例えば、最近、コッペパン競争が激化しているのをご存知でしょうか?
昔からあるコッペパンですが、総菜、ジャム、フルーツなどスタンダードなものにとどまらず、ステーキ、汁なし坦々麺、ソフトシェル、燻製したサバなどあらゆるものが挟まった商品が続々と生み出されています。パン屋さんのみならずカフェや専門店も人気を集めており、大手コンビニチェーンでも個性的なコッペパンを競い合うように。Googleのコッペパンの検索数もここ数年で増加傾向にあります。

「コッペパン」検索推移

出典:Googleトレンド

高級ハンバーガーも増えていますね。
海外からオシャレで高級感の溢れるハンバーガーチェーンが進出してきていますが、国内生まれの高級ハンバーガー店も増えているように感じます。1000円以上するものも多く、食べ応えも抜群です。高級ハンバーガーの影響もあってか、博報堂生活総研のレポートでは、ハンバーガーが好きなシニア層が増えているそうです。

博報堂生活総合研究所「生活定点2016」調査より

それ以外にも、ランチをサラダチキンで軽くすませたり、ニューヨークで話題のパスタをドーナツ形に成型して焼いた「スパゲッティ ドーナツ」を真似してつくる人がいたり、ポテサラ、ハンバーグ、ニラ玉など溢れんばかりの具で握った「ごちそうおにぎり」がレシピサイトやSNSで話題になっていたりと、ワンハンドグルメの拡がりが見られます。

では、なぜ今、ワンハンドグルメが拡がってきているのでしょうか?
ひとつは、昼食時間がコンパクトになってきていることがあげられます。新生銀行の「サラリーマンのお小遣い調査」によるとサラリーマンの平均昼食時間は、1983年に33分だったのに対し、2017年は22分と大幅に減少しています。社内でヒヤリングしても、昼食時間はコンパクトに抑えて、早く仕事を終わらせて早く帰るようにしているという声も聞かれました。そんな中、サクッと食べることができて、かつ、作業をしながらでも食べられるワンハンドグルメが求められているのでしょう。また、サラリーマンだけではなく、育児中のママやパパも片手ですませられるのは随分と助かるようです。
また、いろんな具材がぎっしり詰まっているので、フォトジェニックなものが多く、SNSで拡がりやすいということも挙げられます。Instagramでコッペパンやおにぎりを検索すると実に多彩なラインナップです。
さらに、周囲にヒヤリングをしてみると「ひとくちでいろんな味を味わえる」「食感が好き」など声が聞かれ、今までとは違う食体験ができることも要因のひとつと考えられます。

このように「ワンハンドグルメ」は今後ますます拡がっていくことが考えられ、様々なビジネスチャンスがあるのではないでしょうか。

「ワンハンドグルメ」のビジネスチャンスの例
■スパゲッティドーナツの発想で、ワンハンド牛丼をつくる。
■レストランチェーンが、ワンハンドグルメ販売ゾーンをオフィスに設置する。
■いろいろなものをワンハンドで食べることができる容器を開発する。
など

夕食前でとてもお腹が空いているせいもあるのですが、この記事を書いていたら、いろんな種類のコッペパンを試してみたくなりました。そう考えるとワンハンドグルメは、様々な具材のものを食べることによるコレクション欲求を満たす役割も担っているのかもしれませんね。

中川悠(なかがわ・ゆう)
統合プラニング局チームリーダー
ヒット習慣メーカーズ リーダー

メーカーの商品開発職を経て、2008年に博報堂中途入社。
マーケティング職として、日々お得意先や社会の課題に向き合っている。飲みながらいろんな業界の人と話をするのが好きだが、気づくとお酒に飲まれている。好きな落語家は五街道雲助師匠。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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