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【人形工房 左京】思い出を重ね着するひな人形 きおくひとえ

2025.09.01
#クリエイティブ#広告賞

クライアント・商品/サービス

人形工房 左京
思い出を重ね着するひな人形 きおくひとえ

作品概要

■背景
平安時代から続く雛人形はもともと、性別も年齢も関係なく、家族の未来の幸せを願う象徴でした。しかし、ライフスタイルや価値観の変化に伴い、そんな象徴としての価値が薄れ、買うべき理由が見出されなくなったのか、雛人形市場は、ここ30年で約1/5にまで市場規模が縮小。少子化の倍以上の勢いで衰退しています(※)。創業100年の静岡の雛人形工房「左京」も、生活者とのあらたな接点をつくることが求められていました。
※1990年~2020年で、雛人形市場は78%減。(出生数は32%減。)

■アイデア
注目したのは、「子どもの思い出は親にとっての宝物」という、今も昔も変わらない普遍的なインサイト。あっという間にサイズアウトしてしまったものの、誰かにあげるには傷みすぎているし、かんたんに処分するのも忍びない。そんな子ども服を、人形の衣装に。家族の思い出そのものがぎゅっと詰まった、過去と未来に思いを馳せる雛人形の制作サービスを開発しました。100年の歴史が培った職人たちの技術によって、どんな服でも世界にひとつだけの上質な雛人形に。通常の雛人形では使うことのない配色や柄も、お子様の「個性」として積極的に取り入れられます。

■結果
SNS上で子どもを持つ親を起点に情報が大拡散。テレビや新聞をはじめとして、多くのメディアにも取り上げられました。その結果、既存商品の2.5倍の価格設定にも関わらず、予定受注数の2倍の注文を受け、2年待ちのお客さんも発生。初年度にして全社の事業規模を1.3倍に押し上げるサービスに。既存の商品ではほとんど注文のなかった、初節句で雛人形を買いそびれた方々からの注文が大半を占め、男の子の親や、大人による自分向けの注文もあり、客層の裾野も拡大され、雛人形の本来の意味を取り戻すきっかけにもなりました。

◇担当者プロフィール

青沼 克哉(あおぬま かつや)
博報堂 アクティベーションディレクター

2014年入社。グループ会社であるソウルドアウトにもクリエイティブディレクターとして所属。広告からブランディング、商品開発まで、インサイトを捉えた強いコアアイデアを軸にしたクリエイティブ開発を心がけています。

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