
LOCAL BAMBOO INC.
「延岡メンマ」

■課題
拡大する放置竹林問題
日本では竹林面積が年々増えつづけています。竹は最盛期には1日に最大80cmも成長し、森に差し込む日光を遮って木々の成長を妨げるだけでなく、獣害や土砂崩れの原因にもなります。しかし竹林整備には多大な人手と費用が必要なため、全国各地で手を付けられずに放置される状況が相次いでいました。
その解決策のひとつとして注目されてきたのが「メンマ生産」です。発酵食品であるメンマは保存性に優れ、コストや技術面からも比較的始めやすい取り組みです。しかし、消費ニーズが高くないため、一過性で終わってしまう例も少なくありませんでした。
■アイデア
「国産メンマ」から「ご当地クラフトメンマ」へ
従来の“国産メンマ”とは異なり、クラフトビールのように地域ならではのストーリーや付加価値を持たせた“ご当地クラフトメンマ”という新しいカテゴリを構想しました。第一弾として開発したのが、宮崎県延岡市の放置竹林を活かした「延岡メンマ」です。
地域独自の味付けや、土地を象徴するネーミング・ロゴを採用し、パッケージも竹を想起させるデザインにすることで「応援したい」と思ってもらえるブランドに仕立てました。さらに、メンマを“毎日食べてもらえる食材”へと価値転換するため、料理研究家と共に「メンマ丼」「メンマトースト」「メンマカルボナーラ」「メンマアイス」など多彩なレシピを開発。これらのブランドストーリーやレシピを活かし、飲食店・学校・自治体との協業も積極的に提案しました。
■リザルト
①年間26トンの竹林整備を実現(テニスコート93面分に相当)
販売開始後、ECや小売店を通じて15,000個以上を販売。全国の飲食店メニューや13の小学校の給食、ふるさと納税の返礼品、さらには国際線ファーストクラス機内食にも採用されました。1年間で消費されたメンマの量は、26トン分の竹林整備(テニスコート93面分相当)に直結。また、軽作業という特性を活かし、地域の福祉施設5ヶ所と連携して障がい者の雇用も実現しました。さらには地域小学校の課外授業にも導入されています。
②ご当地クラフトメンマの拡大
延岡メンマを成功事例として、「ご当地クラフトメンマ」モデルを全国の放置竹林事業者へ展開。2025年2月までに12の商品開発を支援し、「尾道タケタケ」「伊万里ミライ」「多良木メンマ」「BEPPU CRAFT MENMA」など、各地のブランドが誕生しています。

1989年生まれ。2014年博報堂入社。
クリエイティブ視点で経営課題に並走しながら、長く愛されるブランドを生み出すお手伝いをしています。
好きな醤油は末廣醤油の『淡紫』。

1992年生まれ。2014年博報堂入社。
2022年から中部支社に行き、名古屋飯を食べたりサウナに通ったりして暮らしています。
広告やデザインに興味がない人が見ても楽しめるものを意識して日々制作しています。