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自ら切り抜ける「推進力」の源にあるもの
博報堂人物図鑑 第4回/ビジネスプラナー 黒澤英恵

2023.02.20
上司、先輩に限らず、部下や後輩であっても、「この人のここが素晴らしい!」と、リスペクトしている人が社内には必ずいるもの。本企画は、博報堂社員だからこそ知っているオススメしたい博報堂のスゴイ人をリレー形式で紹介していきます。
第4回の推薦者は、前回登場した博報堂ケトル プラナーの南俊輔。推薦するのはビジネスプラナーの黒澤英恵です。

■南からの推薦文
黒澤さんとはこの一年、あるブランドの立ち上げをご一緒しました。とても2年目とは思えない、素晴らしい才覚とパーソナリティをもった次世代型ビジネスプロデュース職(BP職)だと思い、推薦しました。
まず、その堂々とした姿勢。(2年目とは思えないような)不思議な落ち着きをもっています。先輩に臆することなく、時に反対意見を言ったり、時に鋭い指摘をしたり。何度もプランニングを助けられました。
そして、現役Z世代としての鋭敏な嗅覚と視点。
トレンドを単純に追いかけるのではなく、きちんと分析的な視点をもって世の中を見ている。Z世代については様々な言説がありますが、(偉そうなおじさん達がわかったような口で語るよりも)やはり「現役世代がきちんとリアリティをもって分析する」ものには敵わないのだな、とつくづく思います。
さらに、その推進力。
エグゼキューションに向き合うセンスがいい。力強く同時に繊細に、様々なプレイヤーを巻き込んで物事を前に進める、そんな天性の才能があると思います。
これからの博報堂は、おじさんがでしゃばることなく、こういう若手をどんどん前に出してスターにしていくべきだと思います。博報堂の未来を拓く人材です。
パーソナリティも、なんというか、この人に褒められたい!と思ってしまう不思議な魅力がありますね。黒澤さんに褒められたい!という一心で、こちらも精進していくので今後もいろんな仕事をご一緒できるといいなと思っています。

■入社2年とは思えない堂々とした姿勢

——今回は2021年入社という、博報堂のニューカマー的存在の黒澤さんのご登場です。推薦者である南さんとは入社1年次からお仕事でご一緒されているとのこと。黒澤さんにとって南さんはどのような存在の先輩ですか?

黒澤英恵(以下、黒澤):南さんとは、とあるメーカーの新商品開発のプロジェクトでご一緒しました。南さんご自身はプラナーですが、商品コンセプトからコミュニケーション施策まで1から考えられる、とにかくマルチな方。私にとってとても尊敬する先輩なのですが、この商品がZ世代に向けたものだったということもあり、私に「若手BPでもちゃんと自分の考えを言っていいんだよ」と促してくださったり、年次に関係なく「うんうん」と話を聞いて相談に乗ってくださったり。だからこそ、私自身も1年目とはいえ自分の意見を少しずつでも伝えられるようになったと感じています。なので、南さんには本当に心から感謝しているんです。

——そんな南さんも、推薦文で黒澤さんの「堂々とした姿勢」や「推進力」などを絶賛されています。これらはいつ頃培われたものなのでしょうか。

黒澤:振り返ってみると、大学時代に水球部のマネージャーになったことが大きかったと思います。もともと両親も体育会出身で、私も高校時代にテニス部に所属していたりと、大学でも体育会に所属したい希望はありました。でも大学までは、ずっとマネージャーではなく、プレイヤーとしてやってきていたんです。

——それがなぜ、突然マネージャーに?

黒澤:1度テニスサークルに入った時期もあったのですが、結局紆余曲折あってどこかに入部するタイミングを逃してしまって。そんな時、友人が水球部として大会に出るからと誘われ、初めて水球を見たんです。それが「こんなに熱い人たちと、人生で出会ったことがなかったかもしれない」と感じるほど素晴らしい試合で。その勢いで、あまり深く考えずその日のうちに「マネージャーになりたいです」と挙手していました。

■従来のマネージャー像に囚われない視点が、推進力の源に

——なるほど。とはいえマネージャーというと、表舞台に立つプレイヤーとは真逆の存在ですよね。実際にマネージャーとしてどのような経験を積まれたのでしょうか。

黒澤:いわゆるマネージャーがやるような仕事は、正直あまり自分の性格に合わないと感じていました。だから、従来のマネージャーのイメージに捉われず、私も選手と並んでチームの一員なんだ、というスタンスをなんとか体現できないかと考えたんです。マネージャーはプレイヤーである選手を支える存在…それならばと、選手がより輝けるようにSNSのアカウントや動画を作って情報発信をしてみたり、選手の「海外遠征に行ってみたい」という夢がかなうよう、学校側と折衝したり。振り返ると結構出しゃばったマネージャーでしたね(笑)。

——いえいえ。それこそ、南さんも評価されていた「推進力」の源のようなエピソードだと思います。そうした経験が、今の仕事を志望する理由にもつながっているのでしょうか?

黒澤:そうですね。私が広告会社でBP職、いわゆる営業の仕事をしてみたいと思ったのも、私自身に特別なスキルはないかもしれないけれど、世の中にそういう能力を持っている人たちがいるなら、もっと輝かせてあげたいし、その力を引き出したいと思ったからです。これって、私が今までやってきたことと通じるなと感じて。

——その中でも博報堂を選ばれたのはなぜでしょう。

黒澤:大学のゼミの先輩が社会人になってから話をしに来てくださる機会があって、その中に博報堂の先輩がいらっしゃったんです。仕事内容など真面目な話を一通り聞いた後「社会人、楽しいですか?」と聞くと、「楽しいよ」と即答されて。それまで私の周りには、なかなか一言目に「楽しい」と言ってくれる人がいなかったんです。「しんどいけど、充実はしてるよ」とか「稼げるからね。でも学生の方が楽しい」という人が多かった。なので、その博報堂の先輩の一言が、第一志望の決め手になりました。

■博報堂の人は“チャーミング”だ

——実際に入社されていかがですか?

黒澤:先輩の言葉通り、「楽しい」の一言に尽きますね。それはきっと、博報堂の“人がいい”からこそだと思います。学生時代のコミュニティって、先輩といっても3〜4歳上が限度ですが、社会に出ると20歳上の方と一緒に仕事をすることになるわけです。入社当初は、いわゆる年功序列的な空気が流れているのかも…と少し心配していたのですが、そんなことはなくて。父と同世代ぐらいの年がずっと上の方でも「自分の父親は、こんなにチャーミングじゃないぞ」と思えるような素敵な方がたくさんいたのは、いい意味でのギャップでした。

——なるほど。確かに「チャーミング」という言葉は、博報堂の人を表すのには一つの特徴的な言葉のように感じます。

黒澤:そうですね。冒頭、南さんとのお仕事でZ世代向けの商品開発に携わったお話をしましたが、その時も「いやいや、僕はおじさんだから…」と言いつつも、当事者である私よりもSNSを見て、誰よりもZ世代の若者のことやトレンドを理解しているのが南さんだったり…。そういうところもチャーミングですし、もちろん年次というベースはありつつも、「みんな同じ仲間だ」という意識も強いんだと思います。隔たりを感じさせない空気感は、博報堂ならではかもしれませんね。

■Z世代のリアルな感覚で、プロジェクトに向き合う

——入社して約2年の黒澤さんですが、仕事を通してすでに多くの学びがあったかと思います。ご自身の中で特に気づきを得たのはどのようなことだったのでしょう。

黒澤:営業としての立ち振る舞いと言いますか、「BP職ってなんでもできるんだ」と気づけたことですね。先述のプロジェクトの話ではありますが、クライアントにとっても初のZ世代向けの商品だったこともあり、前例のない売り方としてインフルエンサーさんを起用した施策をやることになったんです。その施策を任されたのが私だったのですが、当時はまだ制作業務の基本のルーティーンが分かり始めたぐらいの頃だったので、結構プレッシャーも大きかったですし、実務部分で分からないこともたくさんあって。

——確かに、入社早々大きな仕事を担当することになったんですね。

黒澤:誰かが既に前を走っていて、それについて行くのではなく、誰もいない場所を走るのは実際キツくはありました。それでも、ちゃんと作るものを作らないといけないという状況から学んだことは数えきれないほどです。学生時代のマネージャーの経験のように、前例だけ追っていても、BP職って進行役で止まってしまうこともある。でも、自分にできることを探せば、BP職であってもクリエイター的な動きもできるし、プロデューサー的な動きもできる。逆に何でもできるんです。それに気づけたのは大きかったと思います。

——なるほど。ちなみに当時、黒澤さんを奮い立たせたのはどんな思いだったのでしょうか。

黒澤:年次は関係ないとはいえ、やっぱり「このチームの中でインフルエンサーに一番詳しいのは私!」という確信があったからかもしれません(笑)。巨匠的なクリエイターの方々もたくさんいた中で「意見なんか言えないな…」とも思ったんですが、インフルエンサー事情にはやっぱりリアルZ世代の自分が入っていかないと、ズレたアウトプットになってしまいかねない。そこは勇気を出さねばと思えましたし、南さんのように私の意見をしっかり聞いてくださる先輩がいたからこそ、ちゃんと自ら意見できたんだと思います。

■自分にとって飛び抜けて「楽しい!」と思えるものを探したい

——これからたくさんの仕事を通して多くの糧を得て行くことになると思いますが、数年先を見越してどんな社会人になっていたいと思いますか?

黒澤:南さんからこの連載のお話をいただいた時、「まだ何者でもない私でいいんでしょうか」と思ったのですが、“何者か”になって胸を張れるためにも、自分にしかできないことを見つけていきたいです。BP職って、クリエイティブ職の方々と違ってやはりバイネームで指名されることは、なかなかないものだと思います。それでも、「黒澤さんにお任せしたい」「黒澤さんとだったら一緒にやってみたい」と思ってもらえるようになりたいです。

——そうなるために、どんなBP職になればいいか、今まさに考えているところということですね。

黒澤:はい。南さんが言ってくださった「推進力」のようなものだったり、バランスを取る力は なんとか学んでできるようになってきているかなと感じるのですが、その先の何か飛び抜けたものを探したいと思っています。この連載の初回にも登場しているコピーライターの内山奈月さんも、言葉を考えることが好きだから、あんなに素敵なお仕事ができるんだろうなと感心するんです。内山さんともお仕事をご一緒しているのですが、横でその仕事ぶりを見ていて、それをひしひしと感じました。

——ではこれからはますます挑戦の幅を広げて、黒澤さんにとっての飛び抜けた「好き」を探しにいきたい、と。

黒澤:そうですね。配属されてからの1年間は与えられたことを精一杯やる1年だったので、自分でもちょっとコピーを考えてみたり、資料を作ってみたらどうなるんだろうとチャレンジしてみたり。そうした少しずつでも「やってみる」精神で、何が自分が心から楽しいと思えるのかを模索したいと思っています。

<コラム>
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取材・執筆=田代くるみ(Qurumu)、撮影=杉能信介

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