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着地力、調整力を磨き「全方位型のビジネスプロデューサー」に
博報堂人物図鑑 第2回/ビジネスプラナー 鈴木陸矢

2023.01.20
上司、先輩に限らず、部下や後輩であっても、「この人のここが素晴らしい!」と、リスペクトしている人が社内には必ずいるもの。本企画は、博報堂社員だからこそ知っているオススメしたい博報堂のスゴイ人をリレー形式で紹介していきます。
第2回の推薦者は、前回登場したハッピーアワーズ博報堂 コピーライター アクティベーションプラナーの内山奈月。推薦するのはビジネスプラナーの鈴木陸矢です。

■内山からの推薦文
鈴木さんのすごいところは、BX(ブランド・トランスフォーメーション)時代の複雑なクリエイティブ業務の動かし方を、完全マスターされているところです!チームのみんなに「鈴木さんが一緒なら、どんなに難しい業務でも大丈夫!」という信頼感と安心感をいつも与えてくれます。
CM以外のデジタル/アクティベーション施策は、前例がなかったり、関わる人や企業が多かったり、制作物が多かったり、イレギュラーは付き物。企画はできても、理想通り実装するのが難しい場合も多いものです。でも鈴木さんは、いつでもパパッといろんな人を巻き込み、実現させるための最短距離を見つけ出して、ディレクションしてくださいます。世の中やクライアントにベストなアウトプットをするための「クリエイティブで粘った方がいい部分」「一刻も早くGOした方がいい部分」を見極めるバランス感覚が抜群です!
そして何より、出会った誰もが鈴木さんについて行きたくなる&頼りたくなる、圧倒的な人間力をお持ちなのが、すごいと思います。
わたしは、とある業務でご一緒し、全国に3000カ所以上のODM(アウトドアメディア)を掲出したのですが、鈴木さんの仕事ぶりから、クリエイティブの質には「Art&Copy」と同じくらい、「BD&CR(ビジネスデザイン&クリエイティブ)」が重要なのだと改めて気付かされました…!

■関わったものが人の生活にどう反映されるかを体感したい

——「流行禁句大賞」など独自の目線で社会を変えるようなアイデアを提案されている内山さんから、「次回には鈴木さんを、ぜひ!」と推薦いただきました。

鈴木陸矢(以下、鈴木):「僕でいいんでしょうか」と恐縮ではありますが、嬉しいです。実は内山さんとは長い付き合いというわけではなく、お仕事を初めてご一緒したのは2022年6月のこと。内山さんは、自分が「こうしたい」という意志がとても強いクリエイティブなので、仕事を通して僕もすごく刺激を受けましたね。

——内山さんは2018年入社、鈴木さんは2017年入社と、博報堂にジョインした時期も近いと聞いています。入社された理由を教えていただけますか?

鈴木:大学時代の就職活動で、とにかくたくさんの業界・業種を見て、行き着いた先が広告業界だった、という経緯があります。当時はやりたいことがはっきりと決まっていなくて、メーカーや金融、不動産など、どの業界も面白そうだなと見ていました。コンサル会社で少しだけインターンをしてみて、いろんな業界に触れられるのは面白いなと思ったものの、自分の仕事が世の中にどう反映されるか見えにくくて、なかなかピンと来ず。

——つまり、それは裏を返すと…。

鈴木:自分が関わったものが実際に人の生活にどう反映されるのか、それを手応えとして感じたいと思ったんです。そこで、広告の仕事のような、人の生活を動かすことで様々なクライアントに価値提供をするような仕事であれば、インターンをしてみていいなと思った点とピンと来なかった点、どちらも両立できるのでは気づきました。それに、結果的に博報堂を選んだのも、父親が昔メーカーの宣伝部にいて、小さい頃に父がCMの仕事をしているのを「面白そう」となんとなく見ていたのも大きいかもしれませんね。

■ミスをカバーしてくれた先輩の存在が、自分の働き方を大きく変えた

——鈴木さんは入社時から現在に至るまで、ビジネスプロデュース(BP)職として日々奔走されています。入社当時のお話も伺えますか。

鈴木:正直、どんなカオスな職場に配属されるんだろうとソワソワしていたんです(笑)。でも同期は同じチームに僕含めて男3人で、入社直後は毎朝出社してはふざけ合いながらコピー機を整理したり。11歳上のトレーナーの先輩に資料を見ていただいて、的確なアドバイスをしてもらえた時には「先輩、それすごくいい視点ですね」なんて、「誰目線で物を言ってるんだ!」と、今思えば怒られそうな感想を口にしても怒られることもなく。想像より全くカオス感はなかったです。

                初任配属で同じチームとなった同期とは、いまだに仲が良い

——順調な滑り出しだったんですね。

鈴木:そうですね…とは言っても、入社して3年目ぐらいのタイミングで自分の中で結構大きな転換点がありました。言われたことをただこなす、まだ半人前な仕事しかできていなかった当時、ある日連続で大きなミスをしてしまったことがあったんです。もちろん、かなり凹みました。上司・先輩にもきっとすごく叱られるだろうと思ったのですが、全くと言っていいほど怒られなかったんです。それどころか、僕が気づかないうちに全てフォローしてくださっていた。その時「なんて自分は不甲斐ないんだ」と感じてしまいました。

——なるほど。そこからご自身の中でどのような気持ちが芽生えたのでしょう。

鈴木:「この人(先輩)にちゃんと恩返ししたい」という気持ちが強くなって、それが一つの目標になりました。先輩の仕事をどんどん自分ができるようになって、その分先輩は空いた時間で、もっと先輩にしかできない仕事をしてもらいたいと思ったんです。それからは、自覚ができるくらい自分の仕事の仕方が変わったと思います。

■無限に自分を拡張していける「BP職」という可能性

——周囲からの鈴木さんへの印象にも変化があったのではないでしょうか。

鈴木:そうですね。仕事を巻き取っていくスタイルに変えてから、チームのメンバーにありがたがられることも増えました。それに伴って、ビジネスプロデュース(以下、BP)職、いわゆる営業職って、無限に自分の仕事を拡張していける職種だということに気づいたんです。

——それは具体的に言うとどういうことでしょうか。

鈴木:BP職って、ともすれば特に若い時は、スタッフや協力会社におんぶに抱っこになってしまう職種でもあると思います。でも、やっぱり僕はそうなりすぎるのも嫌だなと。もちろん、専門的なことをプロにお願いするのはまた別の話です。でも、自分でできることはもっとあるはずで、手や頭を動かして、「これもできるんじゃないか」とどんどんやってみる。実際、内山さんと一緒にやっていた案件では、50種類以上のグラフィックの制作業務をする一方で、細々したメディアのプランニングもやってみたり、営業ではあるけれど、メディアとクリエイティブを行き来するような動き方をしていました。

——内山さんからも「BX時代の複雑なクリエイティブ業務の動かし方を、完全マスターされている」と称賛の声が届いています。それは、そうした鈴木さんの働き方が故の評価のように感じます。

鈴木:BX(ブランド・トランスフォーメーション)は、単なるメディアを使った一方通行のコミュニケーションではなく、新しいブランド体験から事業そのものの変革をおこなっていくという取り組みなのではと思います。例えば内山さんと一緒にした業務でしたような、地方のバス停や飲食店のポスターだったり、本来媒体価値がそこまで高くないものでも、ちょっとしたユーザーアクションを組み合わせることで、新しいブランド体験を創出できたりしたようなイメージですね。内山さんはきっと、そうした前例のない領域で僕がカメレオンのようにその場その場に合わせて縦横無尽にいろいろと動いていたから、そう見てくれたのかもしれません。

■カメレオンのように、合気道的に働く

——確かに「カメレオン」という表現は、鈴木さんの働き方を体現していますね。

鈴木:自分自身でも、時と場合、コミュニティや役割に応じて変わりやすいタイプの人間だと思っているので、自分を一言で表すなら「カメレオン」と答えたりしています。悪く言えば芯がないということになるんですが、良く言えば柔軟というか。内山さんのように「私、こういうことをしたいんです」というパッションがある人に合わせて合気道的に動くのが得意かもしれません。

——なるほど。とはいえ、相手に合わせつつも仕事をする上で譲れないポイントもあるのではないでしょうか。

鈴木:それはもちろんあります。クライアントの成果が絶対だからこそ、チームメンバーがそれぞれ「これがいい」「あれがやりたい」と意見が出ても、ちゃんと着地させないといけない。これは絶対譲れないところですね。どんなにいいアイデアを出せたとしても、それが予算を大幅にオーバーさせたものだったり、納期がずっと遅れてしまったりするのであれば本末転倒。クライアントの方向性と、みんなのやりたいことを合致する落とし所を探すのは、BPである僕がやらねばならない仕事だと思っています。

■アクシデントは必ず起きるからこそ、アジャイルできると考える

——クライアントの期待に応える着地力と同時にチームメンバーの「こうしたい」も叶える調整力、加えてご自身もクリエイティブやメディアの仕事もこなす…鈴木さんの仕事ぶりを伺っていると、そのマルチな働き方はどんな頭の使い方をすれば実現するのだろうと驚いてしまいます。

鈴木:いえいえ、そんなに計算しつくして仕事をしているわけではないですよ。もちろん、「これはここまでに終わらせないと」とか「すぐに動いた方がいいな」とか、そうした逆算的な考え方もしていますが、2〜3割は行き当たりばったりでも仕方ないとも思っていて。予期せぬことが起こるのがこの仕事の常なので、そういった心構えでいます。だからかもしれませんが、何かアクシデントが起きた時も「本当に焦らないよね」と最近は良く言われますね(笑)。

——どっしりと構えられるのは、何か理由があるのでしょうか。

鈴木:実は最近結婚して、妻が看護師をしているんです。妻から仕事の話を聞いていると、看護師という生死に向き合う仕事がいかに大変なものか改めて気づかされます。1回の失敗がリカバリーできない看護師のような仕事がある一方、この仕事は失敗があっても粘り強く復帰していく、アジャイルできる仕事です。妻の仕事と比較しているわけではなく、そうした捉え方をすると、博報堂の仕事はブラッシュアップして最終的にいいところに着地できれば、どんなに途中でつまずいても良いと考えられるようになりました。

——なるほど。最後に、鈴木さんがこれから博報堂でどんな存在を目指していきたいか、お聞かせいただけますか。

鈴木:先ほどの話にも通じる話ですが、全方位型の人間を目指していきたいですね。「制作領域は得意だけど、メディアはわからないんだよね」「企画をスタッフと練るのは得意だけど、戦略とか考えたりするのは苦手だ」とか、そんな偏ったBPではなく、「あの人に頼めば何とかなるね」という存在になっていけたらいいなと思います。

<コラム>
▼仕事のモチベーションが高まる「リフレッシュ法」教えてください!

高校から続けているランニングです。10キロ、20キロと距離で考えると最初は「本当に走り切れるだろうか」と不安になりますが、走り出せば一歩一歩進んでいくと、いつか必ずゴールが来るもの。分かりやすく達成感を味わえるので、続けています。隅田川の近くを走っていると、景色も楽しめていいリフレッシュになりますね。

取材・執筆=田代くるみ(Qurumu)、撮影=杉能信介

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