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【日本タイダン。】第1回ゲスト 藻谷浩介さん(日本総合研究所主席研究員)
日本の地方は宝の山 超達人から見る地方創生

2019.02.06
#ブランディング#地域創生
日本の地域を訪れ、体験や発見をつづる連載コラム「日本トコトコッ」の執筆や地域のまちづくりに関わる、スマート×都市デザイン研究所長・深谷信介が、日本の地域活性について、さまざまな分野のオピニオンリーダーと対談する連載コラムです。

深谷 今日はお会いできて本当に光栄です。じつは以前から藻谷さんの大ファンで、ベストセラーの『里山資本主義』はもちろん、ご著書はほぼすべて読んでいました。
そんな私が4年ほど前から地方創生の仕事に本格的に携わるようになり、藻谷さんのご見識には遥か遠く及ばないものの、自分なりに地方創生の課題が見えてきた部分があります。私が長く携わってきたマーケティングの手法や地方創生の代表的な政策パッケージが、現地でそのまま使えるケースはまずないこと。いわば「不自然」の最たる東京を中心に築かれたビジネスモデルが、「自然」の中にある地域に当てはまるわけがないこと。地方創生に共通解などなく、地域ごとにオリジナルの特殊解を見つけるべきであること。──最近、藻谷さんのご著書を読み返したところ、自分が感じていた疑問をすべて見事に言い当てられていて、改めて感銘を受けました。

藻谷 自分と同じような感覚を持っている方に、そう言っていただけると嬉しいですね。

深谷 今日はぜひいろいろとアドバイスをいただきたいと思っています。
最初にお話ししたかったのが、藻谷さんの「“犬棒”能力」という考え方です。ご著書でも執筆されていますが、藻谷さんは国内・国外問わず、「旅先で何を見るべきか」などをまったく予習しないで、そのときの直感にしたがって歩き、見て回られるそうですね。

藻谷 その通りです。もともと予習するのが子どもの頃から大嫌いで、学校で言われてもやりませんでした。予習したのでは本番で驚きがない。驚きがなくては面白くない。だから頭に残りません。さらに社会人になると、現場を知らない誰かの言っている嘘を、予習してしまう危険にも気づくわけです。目の前にある現実を捉えることが大切なのに、嘘を予習していると、目が曇ってしまう。現場に行くことが「嘘の予習の再確認」でしかなくなってしまって、目の前の現実が世の常識とは違っていても、それに気づくことができない。
ただし私自身、平成合併前の全国3200市町村のすべてを訪れていまして、県単位では一番少ない県でも50回くらいは行っていますから、いわば予習をし尽くした状態です。以前に訪れた際の先入観にとらわれ、新たな変化に気づきにくいということが多々あります。自分の先入観と違う発見に驚き、面白がることができるように、常に自戒していますよ。

深谷 じつは私も、誰かに編集された情報を事前に摂取してからその土地を訪れることに強い違和感を感じるのです。そんな情報を見るぐらいだったら、まず行ってみて、わからないなりにうろうろ歩いてみて、現地でいろいろな情報を自分で感じ取るほうがいいんじゃないかと。

藻谷 その土地のことを予習せずに歩く際に必要なのが、私が名付けた「犬棒能力」です。「犬も歩けば棒に当たる」と言うごとく、驚くこと、面白いことにうまく行き当たる力のことですね。うまく棒に当たるには、単に偶然に任せるのではなく、直感を鍛えることが必要です。その結果、地元の人も気づかないようなその土地の魅力に気づくことができる。
この犬棒能力は、さきほどの「予習しない」とセットになっています。予習したことの再確認に行くのではなく、予習もできない現実に出会いに行くという心構えが大事なのです。

【魅力のない地域などない〜可住地人口密度から見る日本の「地の利」】

藻谷 予習をせず、先入観を排除して見れば、あらゆる地域に独自の大きな魅力があることがわかります。そもそも何かいいことがあるから、人が住み始めたのです。「地元には何もない」と毎日繰り返しボヤいている住民は、その地元を選んだ先祖に失礼ではないでしょうか。

深谷 同感です。私も地域を歩いてみて、魅力がない土地なんてないと確信しています。
そもそも、人々がそこに暮らして生業を興したということは、地形的な有利性・必然性があり、代々そこに暮らしたほうが得だから住んだはず。その土地の地形や地名、歴史、文化を丁寧に読み解いていくと、その土地ならではの価値が必ず見えてくる。過疎化が進んでいると言いますが、もしそこに住むことの良さがなかったら、最初から誰も住んでいなかったはずですから。
つまり、住む人が減っているというのは、その土地の資産や魅力が理解できなくなっているということで、そこが重大な課題の一つですね。我々が地方創生に取り組む上でも、まず最初に地形の特性を前提に人や物がどのように動き、地域の魅力がどう形成されてきたのか、「地形の文法」を読み解くことがとても大切だと感じています。地元の人ですら気づいていない、いわば「非認知の資産」がそこには数多く眠っているからです。

藻谷 「天の時、地の利、人の和」という言葉があるでしょう。日本は「人の和」の国だと思っている人が多いけど、そうではない。まずもって「地の利」の国なんです。私は現在までに海外105カ国のさまざまな街角を歩いてきましたが、歩けば歩くほど感じるのは、人が住むに適した場所がいかに少ないかということです。水がない、木が生えない、土が痩せている、年中暑すぎる、寒すぎる、そういうところに人類の多くが住んでいる。どこにでも清流のある「地の利」の宝庫のような日本で、何を文句言っているのだ? ということです。
そのあたりを客観的に示したのが、可住地人口密度です。可住地、つまり山や湖沼を除いて人が住むことが可能な土地1キロ四方に、どれぐらいの数が住んでいるかを示したものです。可住地人口密度が高い国ほど、自然が豊かで養える人口が多いわけです。
可住地人口密度が高いのは、もちろん世界共通で大都市部です。たとえば東京都は9500人、大阪府や神奈川県が6000人超ですが、大都市は、「地の利」の参考にはなりません。比較すべきなのはいわゆる「地方」です。たとえば北海道の248人という数字は、都道府県では最低ですが、中国の180人や英国の154人よりは格段に高い。米国は64人、ロシアに至っては17人ですからね。
国内では北海道の次に密度の薄い秋田県、岩手県が、人口が欧州最大のドイツと同水準。都市国家以外では欧州で最も可住地人口密度が高いオランダが、日本で39位の島根県と同等です。だから日本では、よほどの「地方」でも24時間営業の店が成り立つし、救急車も来る。
ちなみに、水と緑に恵まれた日本の人口が多いのは昔からのことであり、つい最近メキシコに抜かれるまでは、常に世界の国の人口ベストテンに入っていました。「日本は小国」、「田舎は人がいないので寂しい」、いずれも日本オンリーの常識であり、世界の非常識です。

深谷 なるほど。私も東京目線で語られる過疎化の議論にずっと違和感を感じていました。こうした確かな数字に由来した客観的な事実を見せられると、問題がより明確になりますね。

藻谷 そうです。過疎化論などというのは東京の価値観で語っているだけで、一顧だにする価値がない。世界的に見ても東京が明らかに異様なのであって、地方の人々がその価値観に惑わされるべきではないのです。
<文中、可住地人口密度の数値は、総務省統計局「社会・人口統計体系 / 統計でみる都道府県のすがた2018」より>

【地方創生の具体事例① 島根県奥出雲町「雲州算盤(そろばん)産業再生プロジェクト」】

深谷 私が取り組んできた地方創生の仕事について、少しお話しさせてください。
内閣府が進める地方創生事業の一つに「地方創生人材支援制度」があります。私はこの制度で参与を拝命し、行政サイドの立場でいくつかの市町村の地方創生業務を推進してきました。具体的には茨城県桜川市、つくばみらい市、鳥取県日野町ですが、それ以外で最初に関わったのが島根県の奥出雲町と江津市、富山県富山市などでした。「過疎」という言葉の発祥地と言われるほど早くから人口減少に直面してきた島根県で、私の地方創生の仕事を始めることができたのは大きな財産で、幸運だったなと思っています。

藻谷 具体的に、どんな活動をされたのですか?

深谷 奥出雲町では地方創生加速化交付金の事業である「雲州算盤(そろばん)産業再生プロジェクト」の立ち上げをお手伝いすることになりました。私が広告会社の人間だということで、最初は奥出雲町と地元産業である「雲州そろばん」をPRする事業を依頼されたのですが、それだけで終わっては地域に何も残らない。
そこで、そろばんの技術を転用した新製品開発をPR事業とセットで提案。最終的には、島根リハビリテーション学院と島根大学という地元2校の学生たちと一緒に、「そろばん」と「リハビリテーション」の2つの要素を備えた新商品を開発して「Tokyo Design Week 世界学校作品展」への出展を目指すという、大きなプロジェクトに転換しました。
完成したのは、リハビリ機能を備えたそろばん珠のアート作品です。すだれに取り付けた数十個のそろばんの珠を上下に動かして自由に絵を描くことができ、しかも指を使うことで認知機能の向上などに貢献するという実用的機能を備えたもの。患者の方にとってリハビリは現在でも孤独で辛い作業ですが、健常者と一緒に楽しみながら知らず知らずにリハビリができるというこの作品の機能が高く評価され、2016年のTokyo Design Weekの学生賞部門で最高賞であるグランプリを受賞しました。

写真1)集合写真 Go-con2017 島根県江津市ビジネスプランコンテスト(2016) 写真2)そろばん写真 島根県奥出雲町そろばん

藻谷 相当ご苦労されたのだろうけど、すごくいい話ですね。

深谷 グランプリを受賞したことはもちろんですが、プロジェクトを進める中で、地元の学生たちが目に見えて成長していくのを実感できたのが大きな収穫でした。彼らが何か新しい価値を生み出そうと頑張っていると、大人もそれを夢中でサポートしたくなる。そのようなモーメンタムが機能していくのを感じました。
ちなみに島根リハビリテーション学院は専門職大学化を目指しています。近い将来、この地域の活性化に貢献してくれるような若い世代が毎年百人単位でやってくるようになります。これもテコにして、新たな地域資産がさらなる生まれ磨かれていくのではないかと期待しています。

藻谷 滅多にないほど、よい循環がうまれていますね。地元は単にPRだけを考えていたのでしょうが、東京の広告会社がもっと本質的なビジョンを持ち、人材育成にまで踏み込んだ。深谷さんの意識と行動力に敬服します。地元の学生や学校関係者の中にも本質のわかる人たちがいたのでしょう。奥出雲町ぐらい小さな町だと、効果も大きいはずです。

深谷 ただ、外部の立場の我々ができるのはここまでです。今後、その地域の方々自身がどれだけ持続的な活動として維持できるかが重要なのではないかと思っています。

【地方創生の具体事例② 島根県江津市「GO GOTSU! 山陰の『創造力特区』へ」】

深谷 ほぼ同時期に携わったのが、江津市の地方創生プロジェクトでした。製造業で栄えた地域ですが、その製造業が苦境に陥ったのを機に人口減少に直面。地元の行政は早くから移住定住促進に取り組みましたが、成功と失敗を何度も繰り返したそうです。
この経験を糧としその後、移住定住しようとする若者の仕事を具体的に創出するためにビジネスプランコンテストを企画。しかも、起業支援とその後の事業サポートをかなりしっかりやっていて、成果を上げていました。
私たちが依頼されたのは、移住定住促進策を核とした総合戦略の立案サポートでした。私は、それまでの起業家の発掘・支援活動をベースにして、移住定住促進策に江津のオリジナリティを発揮させたいと考えました。そこで、「GO GOTSU!山陰の『創造力特区』へ。」というブランドスローガンを策定。新たな産業創出の起爆剤となるユニークな若手起業家にターゲットを絞って、UIターンの誘致促進を大々的に進めることにしたのです。「東京なんて、フっちゃえば?展」と題したPRイベントを東京・渋谷で開催し、江津で活躍するクリエイターと世界で活躍するクリエイターによるパネルディスカッションなどを実施したりしました。おかげさまで好評でした。その後グローバルで活躍される事業家も輩出されています。

藻谷 とはいえ、江津市は起業を誘致するといっても立地的には決して有利とは言えない場所ですね。そもそも平地がほとんどない。いわゆる企業城下町だったために、人の出入りが昔から多く、なかなか人が定着しにくい風土があったはずです。

深谷 はい。しかしその半面、外来者をすぐに受け入れる地域性は優れた特徴だと思いました。他の地域でもよくあることですが、その土地を一度離れて都会に出たら、再び地元に戻るのがなかなか難しい面があります。そんな中で、島根県内のこのエリアで比較的戻りやすいのが江津市なんですね。Uターンしたい周辺市町村出身の若者が江津に移住定住することを、私はそれを「ほぼU(ほぼUターン)」と呼んで推進してきました。これも成果が出て、江津市は社会人口増に転じています。

藻谷 実に素晴らしい仕事をされていますね。江津が社会増になるとは、私も数字を見るまで予想もしていませんでした。しかも江津ではもっとすごいことも起きています。
これは少し前、2010年と2015年の「国勢調査」の比較ですが、島根県内の19市町村のうち、0〜4歳の子どもが増えた市町村が9つもあって、その中に江津も入っているんです。19分の9という比率は、沖縄に次いで全国2位の高さです。親世代の人口が減っているので、よほどの努力がないと子どもが増えることはあり得ない。若者を集めても、なかなか結婚して子どもを産むまでには至らないのが普通です。普通ではないことを成し遂げましたね。
日本の唯一最大の危機は少子化です。これほど地の利に恵まれた国でありながら、社会がなくなりかねない勢いで人口が減っている。9市町村で子どもが増え始めた島根県に学んでいかねばならない。江津にできるなら他でもできるはずです。

深谷 おっしゃる通りですね。「真の地方創生なくして日本創生なし」……とよく言われますが、私もそう信じています。人口減を食い止めるだけにとどまらず、日本がグローバル競争の中で勝ち残り、サスティナブルな成長をしていく上でも欠かせないと思うからです。グローバル競争で武器になるのは日本の固有価値であり、それは大都市ではなく、地方にこそ多く眠っている。地域と真剣に向き合えば向き合うほど、そう感じるのです。地域ごとの余りある資源を魅力化し、それを互いにWin-Winとなるように結びつける事実という地に足のついた次代のエコシステムをどう構築していけるかがカギになるのではないかと思っています。

【広告ビジネスと地方創生の関係性】

深谷 私のように広告ビジネスに携わる立場で、実際に現地に何度も足を運んで地方創生の仕事に深く関わっている人間は、博報堂だけでなく、業界全体で少しずつ増えています。広い意味での広告ビジネスと地方創生の関係性について、藻谷さんはどうお考えですか?

藻谷 私はよく「地域づくりは鍋物だ」と言っています。まずもって必要なのが肉・魚と野菜、つまりその土地のメインコンテンツです。先ほども言ったように、日本は「地の利」の国で、どの地方にも必ず独自の魅力があります。でも、それだけでは鍋物にならない。「水」が必要です。メインコンテンツを地方創生に結びつける場を提供し、活躍を支えるもの。地方に行って見ると、「彼は地域づくりにとっての水だ」という人がいますね。できれば地方行政に水の役割を担ってもらえるのが一番いいと思っています。
そしてもう一つ欠かせないのが「塩」です。メインコンテンツではないが、その魅力を最大限に引き出すもの。しかも入れすぎても駄目で、加減がとても重要です。広告やマーケティングは、地方創生における「塩」である可能性があります。それだけで何か価値が生み出せるわけではないが、それが無いととても食えないという存在です。

深谷 外部の立場で関わる場合、たしかにさじ加減は極めて重要ですね。東京の広告会社が、何か大々的な広告をすれば地方創生につながると思っている人が少なくありませんが、そういうことではないですね。

藻谷 私に言わせれば、東京の大企業が地方創生に参画すると、むしろ塩を入れすぎて食えなくなるというのがほとんど。一方で、地方の人々も塩加減をわかっていないことが多い。深谷さんのような人がさじ加減をしてあげる必要がありますね。
その一方で、地域のメインコンテンツになれるような意欲のある若者は東京にもたくさんいます。彼らのIターンを促して地域でどんどん活躍してもらえばいい。そういうことを期待しています。

深谷 私が意識して取り組んでいるのは、地域の資産を見える化することです。まだ誰も見つけていない資産を含め魅力化し、それを最も相応しい方法で伝える。広告ビジネスに携わっている我々は、ほかの誰よりも長けていると思うのです。

藻谷 それと同時に、見える化した資産を他の地域の人々がどのように評価しているか、地元にフィードバックすることが大切ですね。それが地元の人々に勇気を与えることにもつながる。地域にPR=パブリックリレーションズを構築することは非常に重要な役割です。
深谷さんご自身は、地方におけるご自分の役割をどう捉えていますか。私の印象では、おそらく「コーチング」を担っているのではないでしょうか。ランナーと一緒に帆走して成果を出していく人。地域に寄り添って、そこに最も求められる人材を育成できているとすれば、それは地方創生において明らかに重要なメインコンテンツの一つです。企業でも、地域でも、「人を育てる人」が非常に重要です。

深谷 たしかに人を育てることは意識していますね。ただ、誰もがすぐに育つというわけではありません。私は常々、地方創生には「前向きな危機感」が欠かせないと感じていました。若い学生でも、あるいは年配の方でも、自分の土地に前向きな危機感を感じて、私たちの意見を真摯に聞く姿勢を持っている方々は圧倒的に吸収力が高い。もちろん、私たち外部の人間ができることは限られていますが、少なくとも前向きな一歩を踏み出してもらい、さらに二歩、三歩と歩くところまで帆走できれば、あとはその人達自身が地域を引っ張っていけると感じます。そのことを通じて、私も常に地域に学ばせていただいています。
最後に、私を含め地方創生に携わる人々にアドバイスをお聞かせいただけますか。

藻谷 地方行政の人々に対して言っておきたいのは、その町の1000年、2000年の歴史に責任を持つべきだということです。せいぜい50年、100年単位で物事を考えるなら企業に勤めればいい。しかしこれまで1000年続いてきた町は、これからの1000年も存在し続けなくてはならない。100年続いたら老舗と言われる企業社会とは重みが全く違う。その責任を負う覚悟のある人でなければ、自分たちの土地の魅力に気づくことはできないのです。それだけの責任を背負って地方創生に取り組んでいる人たちを私も各地で見てきました。
民間企業の人々に対しては、「ぜひ儲からないことをやってほしい」ということですね。せっかく、これほど豊かな時代に生まれたのです。単に「喰うために生きる」なんてことを言うのは辞めて、目先は儲からなくも未来に続くことを、少しは手掛けた方がいい。
たとえ仕事で大きな業績を上げて企業内で評価されたといっても、それはごく短い時間軸での出来事です。あのビル・ゲイツも、経営を退いてからは地域貢献・国際社会貢献に関わるような活動を熱心にやっている。「あなたの名前は記憶されないかもしれない。しかしあなたが残した功績は1000年後もこの地に残ります」と。そんな歴史に長く残ることを人間は本来やりたいはずなんです。
もし企業の枠組みを飛び越えて地方創生に本気で取り組もうとする社員が現れたら、「うちの会社から、なかなか面白い人間が出てきたぞ」と、企業側もその活躍を温かく見守ってほしい。日本企業もそんな懐のデカさを持ってはいかがですかと。これが私の考えです。

深谷 地方創生に携わるあらゆる人々の心に刺さる深いメッセージをいただきました。本日は本当にありがとうございました。

対談を終えて | 博報堂 深谷信介

どうしてもお会いしたかった。
この企画が決まったとき、まず藻谷さんが頭に浮かびました。

珍しく緊張感が走るのが、わかりました。
本の話から、顔を見ていただき
足で稼ぐ話で、目が合い
地の利で、握手を交わすことに。
忘れることのない、ほんとうに嬉しかった瞬間です。

課題先進県から解決先進県へ踏み出している島根の話に花が咲き、
書き記せない宝のお話を、しっかりと丹田で受け止められることができました。
ここ何年かで一番幸せな時。
同時に、自分の恥ずかしいほどの未熟さを痛感した時間でもありました。

ホントウを示す
ホンネで語る
特殊解を新たな事実にする
広告が、マーケティングが、本来担うべきことを、導いていただきました。

帰納法を愚直にすすめ、
五感で感じ
第六感の赴くままに
事実という真の資産を追い続ける。

それぞれの多彩な鍋料理の
唯一無二なる最適な塩になれるよう、これからも犬棒を続けたい。

快晴の山口・美東の空の下で、
漆黒の茨城・真壁の闇の中で、
今一度、我を呼び覚ますことができました

藻谷浩介さま、ほんとうにありがとうございました。

氏名の漢字が半分も一緒であることを誇りに感じながら、
今年も、
これからも、
行くぜ、日本!

プロフィール

藻谷浩介氏
日本総合研究所主席研究員/『里山資本主義』『世界まちかど地政学』著者

山口県生まれ。平成合併前の3200市町村のすべて、海外72か国をほぼ私費で訪問し、地域特性を多面的に把握。2000年頃より、地域振興や人口成熟問題に関し精力的に研究・著作・講演を行う。2012年より現職。近著に『デフレの正体』、第七回新書大賞を受賞した『里山資本主義』(共に角川Oneテーマ21)、『金融緩和の罠』(集英社新書)、『しなやかな日本列島のつくりかた』(新潮社、7名の方との対談集)。

深谷 信介
スマート×都市デザイン研究所長 / 博報堂ブランドデザイン副代表 / 博報堂ソーシャルデザイン副代表

事業戦略・新商品開発・コミュニケーション戦略等のマーケティング・コンサルティング・クリエイティブ業務やソーシャルテーマ型ビジネス開発に携わり、 近年都市やまちのブランディング・イノベーションに関しても研究・実践を行う。主な公的活動に環境省/環境対応車普及方策検討会委員 総務省/地域人材ネット外部専門家メンバー、富山県富山市政策参与などのほか、茨城県桜川市・つくばみらい市・鳥取県日野町など内閣府/地方創生人材支援制度による派遣業務も請け負う。

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