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ヒット習慣予報 vol.161『デジプレ』

2021.03.16
#トレンド

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの山本です。

突然ですが、みなさんは、贈り物についてどう思われますか?「もらったら、返さないといけない感じがする」という否定的な声も聞こえてきそうですが、僕個人としては、贈り物をもらうのも、贈るのも好きで、月並みですが、ギフトを考える時間やその気持ち自体が特別だなと感じます。
いずれにしても、わたしたちが住むこの日本は、贈答文化が豊かです。お中元、お歳暮、お年玉と、一年に、何かと贈り物をする機会があります。(ちなみに日本の贈答文化は、「お互いに採れたものを分け合った」農耕時代にルーツがあり、平安時代にはすでに文化として根付いていたようです。)だからこそ今回、そんなギフトに関する新習慣を探ってみました。

さて、今回ご紹介する習慣は、『デジプレ』です。
デジプレとは、デジタルプレゼントを略した造語で、プレゼントを直接渡すのではなく、ソーシャルギフトサービスの利用やECからの直接発送を通じて、相手と会うことなくギフトを渡す習慣を指しています。

もう少し詳しく見ていきましょう。SNSでの投稿や、デジプレ関連のサービスをリサーチしたところ、デジプレには、3種類ほどパターンがあるようです。

1つ目のパターンは、『プレゼント自体がデジタルで、「贈る」と「受け取る」がデジタル上で完結するパターン』です。
チャットサービスで使えるスタンプや、ソーシャルゲームのアイテム、カフェや飲食店で使えるデジタルクーポンなどが、よくあるギフト例として挙げられます。送り手としても、スマホの数タッチで簡単にプレゼントを贈りやすく、受け手もすぐにプレゼントを使えるという魅力があるようです。

2つ目のパターンは、『ECで支払い済のURLリンクを送り、受け手が住所入力などの手続きをするパターン』です。
このパターンにはさまざまなサービスがあるようで、贈り手がプレゼントの商品を購入の上、住所入力だけ相手にしてもらうものもあれば、一定金額まで支払い済の商品カタログを相手に送り、受け手がギフトを選べるようなサービスもありました。デジタルギフトに限らず、手に取れるモノをプレゼントとして贈れるので、1つ目のパターンよりもギフトの幅が広く、汎用性があります。

3つ目のパターンは、『EC購入時に、受け手の住所を入力し、自宅に商品を届けるパターン』です。
これに関しては、最近に限った話ではなく、オンラインから注文・発送するお中元もこれに該当します。こちらのパターンに関しては、相手に住所を聞くとサプライズにならないとの声もSNSでは見受けられ、特に若年世代では、先述の2つのパターンが人気のようです。

このように、デジプレには、新旧さまざまなタイプがありますが、すべてに共通して言えるのが、直接会わずにプレゼントを渡す習慣であることです。

ところで、なぜいま『デジプレ』なのでしょうか。
グーグルトレンドで「オンラインギフト」と検索してみると、2020年の4月から、検索数が大きく伸びていることが分かります。

出典)Googleトレンド

チャットサービスのオンラインギフト機能が充実してきたことや、電子決済が進み、スマホがお財布化したことは間違いなく追い風ですが、時期から考えると、友人や同僚と会えないコロナ禍の生活がさらに大きく関係しているといえそうです。僕自身も、昨年のコロナ禍での誕生日には、友人たちからデジプレを頂きました。

さらに、デジプレブームの背景にある「人の気持ち」を探るべく、友人の誕生日にデジプレをしたことのある同僚に話を聞いてみました。
面白かったのは、彼がプレゼントを送った相手は、例年贈りあうような特別親しい間柄だったというわけではなく、今回のデジプレをきっかけに初めて誕生日プレゼントを贈った友人だったということです。
詳しく話を聞くと、「SNSで友人が誕生日だと気づいた瞬間に、スマホを数タッチするだけで手軽にプレゼントを贈れる」「デジプレだと気持ち的に、大したものでなくても贈りやすい。コロナで減ったコミュニケーションのきっかけになる」とのことでした。もしかすると、プレゼントを贈るという行為は、心理ハードルが下がり、気軽なコミュニケーションの一手段になっているのかもしれません。

また、SNSでデジプレに関する投稿を検索してみると、「フォロワーさんからオンラインギフトを頂いた!」という投稿も見られ、直接面識のある知人でなくても、オンラインでの繋がりがある相手にデジタル上でプレゼントを贈る習慣が、生まれ始めているように感じました。

こうしたことから僕自身、プレゼントの意味や様式が変わっていることを実感し、「人が人に、何かを贈る」という行為の可能性は、まだまだこれから広がっていくのではないかと感じました。

最後に、「デジプレ」をめぐるビジネスチャンスについて考えてみました。

◎「デジプレ」のビジネスチャンスの例
■購入済・住所未入力のURL発行など、ECでのデジプレ向けオプションの開発
■ギフト特化型商品の開発・強化
■メッセージやボックスデザインなどデジプレ向け演出プランの充実
など。

春も近づきつつあり、出会いと別れの多い時期に差し掛かろうとしています。人と直接会いにくい状況は依然として続きそうですが、これを機にみなさんも、デジプレで贈り物をしてみるのはいかがでしょうか。

山本健太(やまもと・けんた)
統合プラニング局
ヒット習慣メーカーズ メンバー

2017年に博報堂入社以来、ストラテジストとして、企業やブランドの戦略・企画立案に従事。ミレニアル世代/グローバル領域の業務経験多数。写真と音楽とすべてのユースカルチャーをこよなく愛する。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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