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ヒット習慣予報 vol.100 『グランフルエンサー』

2019.12.17
#トレンド

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの中川です。

読者のみなさんの応援のおかげで、ヒット習慣予報の連載も、いよいよ100回を迎えました!ありがとうございます。「この調子で1000回を目指そう!」と調子よく言ったら、いつもネタ探しに苦労しているメンバーたちからとても白い目で見られてしまいました(笑)。あとどの程度つづくかわかりませんが、少しでも長寿連載を目指していきたいと思います。長寿と言えば、「人生100年時代」と言われるようになり、長生きするのが前提の社会になってきました。長い人生、どう生きがいを維持して、楽しく過ごしていくか?に注目が集まっています。

さて、今回のテーマは「グランフルエンサー」です。私たちが生み出した言葉ではなく、海外のメディアが、スマートフォンをフル活用し、SNSで多くのフォロワーを獲得する高齢層をそう名付けました。このグランフルエンサーは、世界中で増え始め、日本でも注目度が高まってきました。Googleトレンドで「granfluencer」と検索すると、まだ検索総量は少ないものの、2019年に入ってから注目度が高まりはじめたことがわかります。

〈「granfluencer」検索数〉

出典:Googleトレンド

このグランフルエンサー、いくつかのタイプがいるようなので、ヒット習慣メーカーズで代表的なタイプを分類してみました。

①『ファッショニスタ型』グランフルエンサー
主に、Instagramで活躍するグランフルエンサーです。Instagramを見ると、年齢相応のカッコよさを追求し、ハイブランドの広告モデルのような、ファッション雑誌から飛び出したような驚きのファッション感覚。実際、60歳を過ぎてもモデルとして活躍するグランフルエンサーも多くいて、世界的なファッションショーに出演したり、日本人のオシャレなご夫婦グランフルエンサーは、百貨店とコラボで商品プロデュースをするなど、ファッション業界での注目度も高まっています。

②『日常生活紹介型』グランフルエンサー
これはいわゆるYouTuberに多くいます。買い物に行ったり、同窓会に行ったり、旅行先の動画を配信したり、高齢者向けのメイク方法を紹介するなど、日常の些細な出来事を紹介しています。コメント欄を見るとわかるのですが、おそらく同年代の人がとても好意的なコメントをよせていて、ネガティブな言葉が少なくないSNSの世界において、前向きなコミュニケーションであふれていて、とても和みます。

③『秘伝レシピ伝授型』グランフルエンサー
これも動画配信が多いですね。高齢者は料理経験が豊富なので、秘伝のレシピを動画で公開し次の世代に伝授するというのが狙いのようです。いわゆる家庭の味や郷土料理など後世に残したい料理レシピがこうして動画で残されていくのは、とても意義がありますよね。香港のカリスマグランフルエンサーは、週に一回ペースでレシピ動画をアップしていて、YouTubeチャンネル登録数は30万人を超えています。

④『ネタ発信型』グランフルエンサー
これは若者のインフルエンサーにも似ていますが、思わず笑ってしまうようなネタを発信するグランフルエンサーです。日本の有名な90歳を超えるアマチュア写真家グランフルエンサーは、車にひかれた風の写真や自分がゴミ袋で捨てられた風の写真など、自虐的で思わず吹き出してしまうような写真を日々公開しています。Instagramのフォロワー数は20万人を超え、若者からの人気もあり、写真展を開催するほどです。

このように、様々なタイプのグランフルエンサーがいて、若者との年齢を超えたつながりも生まれており、新しいコミュニティの可能性を感じました。

ではなぜ「グランフルエンサー」が注目されるようになったのでしょうか?
冒頭にも話しましたが、人生100年時代に突入し、いつまでも楽しく生き生きと過ごしたいという思いがあるのだと思います。二つ目に、高齢者のスマホの普及率が高まっていることもあげられます。スマホを使いこなす人が増え、SNSがもはや若者だけのものではなくなるとともに、撮影をしたり編集ができる人も増えているのでしょう。最後に、企業の期待が高まっていることもあげられます。一緒に商品開発をしたり、プロモーションで活用したりと、活躍するグランフルエンサーが徐々に増えており、それを見て自分もやってみたくなる人が出てきているのではないでしょうか。

このように「グランフルエンサー」が増えていくことで、新たなビジネスチャンスが予想されます。

◎「グランフルエンサー」のビジネスチャンスの例
■『ファッショニスタ型』グランフルエンサーと、人生100年時代に適した新たなアパレルブランドやデザイン家電ブランドをローンチする。
■『ネタ発信型』グランフルエンサーと今までにないユニークであたらしいシニア向け旅行商品を開発する。
■『日常生活紹介型』グランフルエンサーと契約して、トイレタリーメーカーや食品メーカーのプロモーションに活用する。
など。

スマホやSNSが普及したことにより、年齢を問わずあらゆる人に表現をして発信するチャンスが生まれたのは、とてもいいですよね。今後、もっとこの動きは加速するでしょうから、僕が定年を迎えるころには、グランフルエンサーがもはや当たり前の存在になっているかもしれないですね。それまでに、発信できるネタをちゃんと集めておきたいです。

中川悠(なかがわ・ゆう)
統合プラニング局チームリーダー
ヒット習慣メーカーズ リーダー

メーカーの商品開発職を経て、2008年に博報堂中途入社。
クリエイティブストラテジストとして、日々お得意先や社会の課題に向き合っている。飲みながらいろんな業界の人と話をするのが好きだが、気づくとお酒に飲まれている。好きな落語家は五街道雲助師匠。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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