THE CENTRAL DOT

博報堂のソーシャルアクション
Vol.1 国連クリエイティブボランティア

2019.11.14
#CSR#SDGs

SDGsのアイコンの日本語キャッチコピーと、「やめようプラスチック汚染」のロゴを開発。

SDGsの日本語キャッチコピーは、SDGs普及・啓発を担う国連広報センターと博報堂によって、わかりやすい表現でアクションにつながるよう、国連関係機関、NGO、企業、JICA、外務省と協議を重ねて2016年に制作されました。2018年には、日本における「Beat Plastic Pollution」の普及・啓発を目的として、国連広報センターと協力し、日本語ロゴとステートメントを博報堂が制作しました。

左:井口雄大/博報堂 第二クリエイティブ局 右:根本かおる/国連広報センター所長

SDGsは、全世界で決めた「未来への意志」。

― まず、SDGsのアイコンの日本語キャッチコピー開発について伺います。

根本(国連): 2015年にSDGsが採択され、いよいよ実施という中、私たちはベタな直訳の日本語のキャッチコピーを使っていました。それをご覧になった博報堂の方が、これでは伝わりませんね、とおっしゃってくださったんです。そこから始まりました。 SDGsは、全人類共通の財産です。ですから国連広報センターだけ、あるいは国連諸機関だけで決めるのではなくて、市民社会や民間部門、加盟国政府である日本政府。そういった方々に諮りながら、その上で日本語のキャッチコピーを確定する、という壮大な計画を博報堂の皆さんと一緒に成し遂げたわけです。

― 井口(博報堂)からの提案はいかがでしたか。

根本: 特に印象深かったのは12番でした。原案は「持続可能な消費と生産」ですよね。それを「つくる責任 つかう責任」。 皆さんコミュニケーションのプロでいらっしゃるので、複雑でややこしい、あるいは硬い概念を柔らかく伝えてくださる。そういった意味で非常に大きな協力をして頂いたと思いました。

― 井口から言うとどんなプレゼンを?

井口: 根本さんには最初にお話ししたのですが、こうした目標が僕の子どもの頃とあまり変わってないように思えたのです。そこにすごく驚いて。だからSDGsを今そのまま伝えても人はなんとも思わないだろうと思っていました。 でもしばらくして、SDGsとは全世界で決めた「未来への意志」なんだ、ということに気付いた時、すごくやりがいとやる気が湧いてきたのです。

根本: 最初に指摘を受けたのは、私たちの使用していた直訳調のものはメッセージ性がない、何をしてほしいのかわからないということですね。今見ると、全て単に名詞が貼り付けてあるだけで、これをどうしてほしいとか何も書いてない。 受け手へのメッセージを乗せてくださったのです。

それは、「誰も置き去りにしない」目標。

― 根本さん個人や、国連広報センターに届いた生の声、反響があればお聞かせください。

根本: 様々な場でSDGsについてお話ししますが、一番よくお聞きするのは、「“誰も置き去りにしない”“ 誰一人取り残さない”という原則に感激した」あるいは、「自分もこの世界目標の一員なんだって思えた」という声です。 特に障害のある方々、あるいはマジョリティとの力関係の中でこぼれ落ちてしまいがちな少数者の方々の中からそういう声を掛けていただくことが多いです。

井口: 僕も“誰も置き去りにしない”という言葉を聞いた時に、国連とは何というか母のような、そういう深い愛情というものからこの世界を見つめている組織なのだなと感じました。日々普通に生活していると、国連の意義ってなかなか見えてこないですけど、その言葉を聞いた時に、はっきりとこの世界に必要な大切な役割を果たしていることがよくわかりました。

― UNICEF親善大使である黒柳徹子さんからのメッセージ動画も作られました。

根本: 2016年5月に伊勢志摩で開催されたG7サミットは、SDGsが採択され、実施が始まって最初のG7でした。またSDGsが初めてG7の議題に取り上げられることになっていました。 このタイミングを逃さず、アピールの動画を制作し、公開したいと思ったのです。ダメ元で黒柳さんにお願いして、もちろん井口さんにご協力頂き、G7直前に完成しました。 あの動画の最後で、黒柳さんが「私はこれ」って、SDGsの中でご自分が大切だと思っているものを選んでいただきました。 黒柳さんは子ども時代に戦争でひもじい体験をされています。それでゴール2の「飢餓をゼロに」を選ばれたのです。

井口: 何ひとつ演出を加えずに、シンプルに黒柳さんからのメッセージを頂戴しました。黒柳さん個人としてお話しくださり、とても説得力がありました。

UNICEF親善大使の黒柳徹子さんが出演するSDGs公共広告映像。
https://www.unic.or.jp/news_press/info/18982/

SDGsへ次々と、「ついつい楽しく」取り組みたい。

― 次にプラスチック汚染のお話を。

根本: 2018年にカナダのG7で「海洋プラスチック憲章」が採択されましたが、2カ国は署名をしませんでした。それがアメリカと日本だったのです。これは国の内外から大きなショックをもって受け止められました。日本は四方を海に囲まれて海と共にある国なのに…。同じ頃に使い捨てのプラスチック製ストローをやめよう!など様々な動きが海外から伝わってきて。消費者も関心を持つようになった。企業も重い腰を上げるようになった。マスコミも沢山書くようになった。そうした流れの中、2018年6月の「世界海洋デー」に、さかなクンをお呼びして国連大学ビルで大きなシンポジウムを開くことにしました。シンポジウムにタイミングを合わせる形で、「やめよう、プラスチック汚染」の日本語ロゴとステートメントを作って頂いたのです。その後、見事に動きが広がっていきました。(詳細はhttps://www.unic.or.jp)

― これからの取り組みは?

根本: 例えばファッション。勉強して驚いたのですが、アパレル産業は世界のCO2排出の約1割を占めていると言うのです。さらに汚染水の排出は全世界の2割がアパレル産業から出ていると。地球への負荷の高い産業なんですね。今、私たちは15年前と比べて6割多くの洋服を買いますが、その反面着用期間は半分に減っている。また日本では年に10億着の衣服が捨てられていると言います。やはり良いものを正当な対価で買い、長く大切に着て、着終わったらそれにまた新たな付加価値を付けてアップサイクリングする。そういう動きがあるべきだろうと考え、「ファッションチャレンジ」という取り組みを立ち上げました。SDGsの様々な取り組みを長続きさせるためには義務感でやっても駄目だと思います。「ついつい楽しく」やっていけたらいいと思います。これも博報堂の方に教えて頂いたんですよ。

井口: ご相談頂ければ、「ついつい楽しく」ご協力します(笑)

こちらのインタビューの他、博報堂DYグループの事例を「新しい幸せをみんなでつくろう! Hakuhodo DY Group SDGs Collaboration Book 2019」に多数掲載しております。ぜひ、上のリンクよりご覧ください!

FACEBOOK
でシェア

X
でシェア

関連するニュース・記事