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【スパイクスアジア2019 レポート Vol.2】博報堂セミナー:How ASEAN society evolves as technology gets smarter ~新テクノロジーはアセアン生活者をどう変えるのか?~

2019.10.21
#ASEAN#スパイクスアジア
【左から】 博報堂生活総研アセアン:帆刈吾郎、DEE Supataravanich、 博報堂ネットワーク・インドネシア 兼 博報堂生活総研アセアン:Devi Attamimi、 博報堂グループ・ベトナム:EJ Mangahas
9月27日、「スパイクス・アジア2019(シンガポール)」で博報堂セミナーが開催されました。
今年は博報堂生活総研アセアンの研究者たちが”How ASEAN society evolves as technology gets smarter?”というテーマで研究発表を行いました。
スマートフォン市場が活況を呈するアセアン社会において、あえて「スマートフォンの次」にくる技術が、どう生活者を変えるのか、未来の社会と生活者行動を予測し対応することの重要性についての説明と、企業への提言を行いました。

まず博報堂生活総研アセアンの帆刈吾郎がステージに登場、「最も歴史の古い広告会社の一つである博報堂が、今も強みを発揮できている理由は?」という問いからセミナーがスタートしました。
帆刈はその答えの一つとして「生活者発想」という博報堂グループの企業理念を説明した上で、生活者の声と生活者の行動との両方を捉えることが重要であり、その両者間のギャップから生活者の葛藤や矛盾といった人間らしさが見えてくること、そこに新しい機会を発見できることが博報堂の強みであると説明しました。

続いてDevi所長が登壇し、過去10年の間に、生活者行動を大きく変えたのがスマートフォンだったが、これから生活者行動を変える技術は何か? またその技術はどのような新しいメディアを生み出すのか?と会場に問いかけました。

今後、グローバルテクノロジートレンドをけん引するのはIoT(Devi Attamimi)

IoTのデバイス数は2021年に携帯電話の台数を大きく上回ると予測されています。また生活者の技術受容スピードは年々早くなっており、企業側の対応スピードを超えはじめています。各デバイスにおける5千万人ユーザーに到達するまでの期間をみると、テレビが13年、フェイスブックが1年に対して、ポケモンGOはたったの19日しかかかっていません。今はまだ黎明期にあるIoTがあっという間に普及する可能性は十分あるのです。

IoTによって新たに生まれるメディア、アシスティブメディア(Assistive Media)

IoTの普及は次の三つの変化をもたらします。
一つ目は、いつでもどこでも、モノのリモートコントロールを可能にするということです。家電、自動車、街、社会インフラなどを舞台に、いつでもどこからでもモノの制御が可能になります。
二つ目はMe Dataと呼ばれる、ビッグデータの蓄積です。WEB行動履歴だけでなく、IoT化されたモノから集まったあらゆる自分の生活履歴が蓄積されて、Me Dataとして一元管理されます。
三つ目はAIによる最適なソリューション提供です。IoTは単にインターネットに接続されたモノ、Internet of the Things という存在から既に知性を持ったモノ、Intelligence of Thingsに進化しています。この仕組みこそスマートフォン=パーソナライズドメディアの次に生活者の行動を変えていく新しいメディアを生み出すのです。

IoT技術は、従来のコンピューターが提供していたインタラクティブメディア、スマートフォンがもたらしたパーソナライズドメディアを超えて、適切な場面で適切なソリューションを提供し、生活を手助けしてくれるアシスティブメディア(Assistive Media)という新たなメディア形態を生み出すと考えられます。

では、こうした新技術について生活者はどう感じているのでしょうか?生活総研アセアンが独自に実施した定量調査の結果を紹介します。
一言でいえば「新テクノロジーは好きだけれども、少し情報過多に疲れている」、新テクノロジーに対する「LOVE and HATE」な生活者態度が垣間見えます。

生活者は、AI技術についてはどう思っているのでしょうか?
『AI技術はベネフィットか?脅威か?』という質問に対する解答を国別に見ると、ベトナムでは90%が“ベネフィット”とポジティブにとらえているのに対し、シンガポールでは50%にとどまっています。新技術について純粋にベネフィットととらえるか、脅威ととらえるのか、発展ステージや国民性の違いによるものなのか、国によってとらえ方も異なるようです。

IoT技術を駆使したスマートホーム、ユーザー例 (DEE Supataravanich)

次に家庭訪問調査でのIoTユーザーのケースをDEEが紹介しました。

以下の画像は、インドネシアで訪問した最も進んだスマートホームの写真です。このように、一見キレイに片付いているとは言い難い家が、実は16個ものIoTを装備しています。

この家に住むITエンジニアの男性は「キレイな家に住むよりもスマートホームに住みたい」という気持ちを抱いていました。各種家電や水道ポンプをIoTに接続することで、一つ一つの機器の作動状態をいちいち確認しなくてよいので嬉しいといいます。

またこのシンガポールの男性は、下の写真にある美しい妻とのリラックスした生活を手に入れるために
IoTを活用しています。スマートスピーカーを各家電やカーテンと接続し、自作のコマンドを入力したのです。その結果、一言スマートスピーカーに指示を出すだけで、就寝前の煩雑な準備(家電のスイッチオフ、消灯、カーテンを閉める、等)を簡単に済ませることを実現しました。

このように、IoTを取り入れた生活によって、退屈なルーティンを解消し、もっと自分が使いたいことに時間を使う生活者像が見て取れます。

技術は、それ自体を目的にせず、人を豊かにする為にあるべき(EJ Mangahas)

最後にEJより、プレゼン全体の総括として、IoTの普及の進化が生み出した新メディア、Assistive Media (アシスティブメディア)が生活者の購買行動にどのような影響を与えるのか、また、企業やブランドはどう対応すべきかについて説明しました。
生活者は、必要最低限な日用品を購入するという退屈なルーティン作業から解放され、Assistive Media がリコメンドする個人に最適化された商品・サービス選びを楽しむ日々がやってくるということです。

この変化に伴い、企業は未来を自ら創り出す(Future-Forward)姿勢が必要であり、ブランドや企業の役割を、単なる「商品の提供」から「プラットフォームの提供」へとシフトし、ビジネスモデルを「商品販売」から「サブスクリプション型」のモデルへ転換する必要性について説明しました。

また、“新技術の活用”とは、技術自体を目的にすべきではなく、人々がさらに人間らしく生活するために使われるべきもの、と力説し、発表を締めくくりました。

帆刈吾郎(ほかりごろう)
博報堂 シニアストラテジックプラニングディレクター
博報堂生活総研アセアン マネージングダイレクター

1995年博報堂入社。2005年テキーラロンドン、ウルフオリンズへの実務研修出向を経て2013年からバンコク駐在。2014年生活総研アセアンを設立、2017年にタイ現地法人化。東南アジア地域における博報堂グループをマーケティングの視点から支援。2018年、19年APACエフィー賞審査員。

Devi Attamimi(Devi)
博報堂ネットワーク・インドネシア エグゼクティブディレクターオブストラテジー
博報堂生活総研アセアン 所長

2000年インドネシアの大学を卒業後、在インドネシアのグローバル系広告会社のストラテジック・プラニングディレクターを経て、2011年博報堂インドネシアに入社。2015年、エグゼクティブ・ストラテジック・プラニングディレクターに就任。以来、インドネシアの博報堂グループ企業のストラテジックチームの責任者として、企業のマーケティング領域における戦略立案企画などを行う一方、2014年から博報堂生活総合研究所アセアン研究員として参加、生活者視点で調査分析や発表を行う。

DEE Supataravanich(DEE)
博報堂生活総研アセアン シニアストラテジックプラニングスーパーバイザー

立命館アジア太平洋大学(APU)を卒業後、6年間の日本在住を経てタイに帰国。2014年に博報堂グループのプロダクツバンコクに入社。2017年より生活総研アセアンに移籍。
日、英、タイ語の能力を生かしストラテジックプラニングとデータマーケティングの領域でアセアン各国拠点を支援している。

EJ Mangahas(EJ)
博報堂グループ・ベトナム デジタルディレクター

フィリピン出身、フィリピン、シンガポールでの活動を経て現在ベトナムでデジタルマーケティングの推進を担う。3児の父でもあり、休日は子供とレゴで遊ぶことで自身の創造力拡大に役立てている。

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