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ヒット習慣予報 vol.89 『秋バテ温活』

2019.09.24
#トレンド

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの中川です。

今年は梅雨明けが遅かったため、立ち上がりが遅れたものの、結果的にとても暑い夏になりましたね。Googleトレンドで「暑い」というキーワードで検索すると、歴史的な酷暑となった昨年に比べると劣るものの、今年の検索数もかなり多かったようです。6月のコラム「ひんやりモバイル」で予報を出していましたが、たしかに、まちを見渡すとモバイル扇風機を持つ人が増えてきた印象があります。そんな暑い夏もだいぶ落ち着いてきて、涼しい過ごしやすい季節がやってきます。しかし、気を付けてください。みなさんは「秋バテ」という言葉をご存知でしょうか?

〈「暑い」検索数〉

出典:Googleトレンド

「秋バテ」。
こちらもGoogleトレンドで見てみましょう。
2013年にいきなり大きく立ち上がり、その後少し落ち着きますが、昨年からまた徐々に増えてきた印象があります。調べてみると、2013年にあるトイレタリーメーカーが「秋バテ」をキーワードに情報発信しはじめたのが、この言葉が拡がったきっかけのようです。この「秋バテ」、まだ聞きなれない言葉ではありますが、夏に冷たいものを食べすぎたり、冷房の効きすぎた部屋ですごしたりすることによる体の冷えが原因で自律神経のバランスが乱れ、秋になると疲れやだるさ、食欲の低下などの不調があらわれる現象のようです。根本的な原因が夏の生活習慣による冷えなので、対策はシンプル。体を温めてあげることが体の調子を整えてくれるようです。ということで、今回のコラムのテーマ「秋バテ温活」につながるわけです。

〈「秋バテ」検索数〉

出典:Googleトレンド

「秋バテ対策」でTwitterのつぶやきを検索してみると、「お風呂」「温湿布」「食材」など体を外と内から温めることに関連するつぶやきが多く見られます。

〈「秋バテ 対策」つぶやきの内容〉
(Topic Finder:Twitter投稿を分析、期間は2017.9.19~2019.9.18)

それぞれどんなことがつぶやかれているか見てみましょう。「お風呂」に関しては、「ぬるめのお風呂で温まる」「ゆっくりつかる」など長風呂で芯から体を温める人が多いようです。続いて「温湿布」。体を温めつつ、コリやすい首、肩、腰などに貼って血のめぐりをよくするのだとか。また「食材」というキーワードですが、秋バテ対策の食事も話題になっています。朝起きたらまず白湯を飲む人、生姜、根菜、きのこなどの旬の食材を鍋などの温かい料理と食べる人、またお茶、スープなど温かい飲み物をとるように心がけている人などがいます。またInstagramで秋バテと検索するとカレーがよく出てきます。香辛料の力で体を温める人も。このように、人それぞれの「秋バテ温活」を行っている様子がうかがえます。

ではなぜ「秋バテ温活」が注目されるようになったのでしょうか?
最大の要因は、昨年から続く夏の猛暑でしょう。あまりの暑さで体を冷やしすぎた反動で体がついていかず、秋にどっと疲れが出てしまっているようです。
また、Googleトレンドで「疲れ」というキーワードを検索すると年々増加傾向にあります。この原因は定かではありませんが、酷暑など気候の変動や、ネットの普及による情報過多など、社会環境の変化によって日本全体の疲労度が増しているのかもしれません。

〈「疲れ」検索数〉

出典:Googleトレンド

このように「秋バテ温活」が拡がることで、新たなビジネスチャンスが予想されます。

◎「秋バテ温活」のビジネスチャンスの例
■ 冷たいお酒をいっぱい飲みがちな居酒屋で、体を中から温めてくれる秋バテ対策メニューを提供する。
■ 寝ている間にほどよく体を温めてくれる秋バテ対策用の寝巻を開発する。
■ スープブランドが、生姜を足してスープを飲むなど秋バテ対策の提案をするキャンペーンを展開する。
など。

とはいえ、食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋など心も体も満たされる季節なので、しっかり体調を整えて思い切り楽しみたいものですね。僕もさっそく昨日からコンビニで温かいお茶を買い始めました。なんか、ほっとしますよね。みなさんも「秋バテ温活」ぜひ実践してみてください。

中川悠(なかがわ・ゆう)
統合プラニング局チームリーダー
ヒット習慣メーカーズ リーダー

メーカーの商品開発職を経て、2008年に博報堂中途入社。
マーケティング職として、日々お得意先や社会の課題に向き合っている。折りたたみ椅子を持ち歩き、気になる景色を楽しむチェアリングを実践中。好きな落語家は五街道雲助師匠。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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