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「強制発想スーツ」から夢世界旅行まで。独創的なアイデアの数々が誕生。
Foresight Project “Future of Luxury”、ワークショップレポート

2019.05.10
#グローバル#ブランディング#博報堂ブランド・イノベーションデザイン
東京大学生産技術研究所(RCA-IIS Tokyo Design Lab)、博報堂BID(ブランド・イノベーションデザイン)そしてSEEDATAのコラボレーションによって2018年6月からスタートしているデザイン・リサーチ・プロジェクト「Foresight Project “Future of Luxury”(未来の贅沢)」。2018年12月に、複数の企業からもご参加頂いた、オープンワークショップを開催しました。
このプロジェクトのミッションは「デザインの力によってイノベーティブな『未来の贅沢』を構想し、社会実装する」こと。今回のワークショップでは、企業からの参加者とともに、「未来の贅沢」の具体的なアイデアを考えることを目的としました。
このレポートでは、ワークショップの全体と、プロジェクト独自のワークショップメソッド、そしてアイデアの結果発表までを報告します。

【未来の「ケーススタディ」を提示】

ワークショップ序盤では、「未来の贅沢」が模索される、まさにその未来にはどのような世界観があり、贅沢とはどのようなものとして定義されるのか、私たちの考えを参加メンバーに共有しました。

私たちは事前に世界各地の先進事例のリサーチを行い、「未来の贅沢」を考える上で必要な3つのアイデア設計の方向性(=デザインストラテジー)を定義しました。それが「INSTANT TRANS(瞬間的な異世界への移動)」「NARRATIVE TECH(テクノロジーによるストーリー性の拡張)」、「ENHANCE POTENTIAL(「潜在不可能性」の排除)」です。

まず、現代の事例による調査報告「未来の兆し」について紹介を行いました。
たとえばアメリカのペンシルベニア州、ピッツバーグにある「紛争レストラン(Conflict Kitchen)」を紹介。物騒な名前ですが、そのコンセプトは「現在アメリカと紛争関係にある国の料理しか出さない」というもの。これまでにイラン、アフガニスタン、北朝鮮などの料理が提供されています。紛争関係にある国のカルチャーに触れることは、当事国に住まう人々にとっては非日常と言えます。
それが街の中にあるレストランのドアをくぐるだけで可能になる紛争レストランは、私たちのデザインストラテジーではINSTANT TRANS(瞬間的な異世界への移動)に当てはまります。

このように、現代にすでに存在する、未来の贅沢を考えさせるような兆しを紹介しながら、デザインストラテジーに分類し、どのように読み解いていくのか、インプットセッションを行いました。

続いて、私たちプロジェクトメンバーで考えた「未来のケーススタディ」を発表しました。このケーススタディでは、未来において「あり得るかもしれない」サービスやプロダクトを”未来のケーススタディ”として構想しました。
そして私たちは、ただ構想したアイデアを説明するだけではなく、アイデアのビジュアライズを行いました。プロダクトやサービスが実際にどのような形になるのかをイラスト化し、会場に掲示したのです。イラストレーションを担当したのはデザインエンジニアの佐藤翔一氏。デザインの観点から、未来のケーススタディに形を与えました。
デザイナーがビジュアライズを行う際に用いる情報には、デザイナーが見ている未来の世界観に関する情報が多分に含まれています。参加者がそうした情報に触れることで、まだ世の中に存在しないものであっても、未来の世界観をより具体的に獲得できるようになると考えました。たとえば「OriGENE Cuisine Spoon」では、革新的なテクノロジーを持ったスプーンそのものの他に一皿の食事が描かれていますが、この食事、よく見ると現代には存在していないものであることが分かります。

共通のイメージをもちながら、世界観が深く考察されてこそ、より良いアイデアが生まれます。その一助として、ビジュアライズの効果は非常に大きいと考え、導入したメソッドでした。

これらの”未来のケーススタディ”は一見今の世の中からは遠いものに思われますが、その兆しとなる技術は既に研究されています。今回ご紹介したアイデアについても、東大生産技術研究所で既にどんな関連技術が研究・開発されているかも合わせて、ご紹介しました。

後編では、東大×RCA流の「アイデアのつくりかた」をご紹介します。

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