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ヒット習慣予報 vol.50 『リモート繋がりっぱ』

2018.11.27
#トレンド

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの荒井です。

本コラムを毎週出し続け、なんと今回が50回目になりました!
当初は10回目くらいでネタが尽きるのでは?という声もありましたが、なんとか続いています。
50回目ということは、コラムを始めて1年経つということです。今までの予報が当たったのか、振り返りをしないといけませんね。

さて、今週のテーマは、「リモート繋がりっぱ」です。
みなさんはビデオ通話を利用していますか?
最近は、ビデオ通話を使って、あたかも同居しているような、またはあたかも同じ部屋で一緒に遊んでいるような状態を作っている人が見られるようになりました。

「ビデオ通話」でGoogleトレンドを調べてみると、上昇傾向になっています。

出典:Googleトレンドにて「ビデオ通話」で検索

ではどのような使われ方をしているのでしょうか。

例えば、ある一人暮らしの女性は、まず自宅に帰ったら、遠くで暮らす仲の良いお姉さんとスマートフォンのビデオ通話をかけ、繋がります。そして、スマートフォンを持ち歩いたり、テーブルに立てかけながら、テレビを見たり、食事をしたりしています。お風呂に入るときもビデオ通話をしながら入っているらしいです。日によっては、自宅に帰ってから、寝る直前まで、通話しています。
特にずっと会話をしているわけではなく、あたかも、一緒に暮らしているような状態が作れているというわけです。むしろ一緒に住んでいた時よりも、話す時間が増えた一方で、ケンカは減り、以前よりも仲良くなったようです。

また、ある小学生の男の子は、仲の良かったお友達がお父さんの事情で海外で暮らすことになり、よく一緒に遊んでいたカードゲームができなくなってしまいました。
そこで、ビデオ通話を使って海外にいるお友達と繋がり、日本で一緒にやっていたカードゲーム対戦を行っています。お互いの画面で映すのは、顔ではなく、自分がもっているカードです。トランプの大富豪をビデオ通話でやっているようなイメージで想像していただくとわかりやすいかもしれません。
また、小中学生の間では勉強をビデオ通話で一緒にやることもあるようです。わからないことなどをその場で簡単に聞ける等のメリットもあるようです。
このように、あたかも、これまでと変わらずお友達の家で、一緒に遊んでいるような状態が作れているのです。

これまでの2つは、自分と誰かという1対1のやりとりでしたが、グループでのビデオ通話も使われています。
ある30代の社会人男性は、友人何名かとグループでビデオ通話を行い、飲み会を行っています。他の出席者に気を使わずに、疲れたら離脱できる、終電時間を気にすることなく飲める、帰宅の面倒がなく、そのまますぐに寝れるというのがメリットです。
このように、あたかも普通に集まって飲み会をしているというより、それ以上に気楽に飲み会を楽しめている状態が作れているのです。

実際、Twitterを見てみると、学校を病欠した時に休み時間に同級生がビデオ通話でお見舞いしてくれたり、グループで鍋パーティーをしている際に海外で暮らす友人がビデオ通話で参加したりと、4~5時間繋がりっぱなしでいるケースが散見されました。

これまでの通話では音声のみのコミュニケーションであったため、用事を済ますことを目的として行われていたものが、音声&映像になったことで、何かをしながら緩く繋がっている状態が作れるようになっています。

みなさんの中にも、家に帰ったらとにかくテレビをつけて過ごすという人もいるかと思います。それって、自宅という一人の空間において、緩く外と繋がっている為の手法だったのではないかと思います。それが、デジタル化によって、ビデオ通話という手法も利用されるようになってきたということだと思います。

このようにビデオ通話を利用して、緩く誰かと繋がる『リモート繋がりっぱ』が利用されるようになった背景には、もちろんそのようなサービスの登場もありますが、「誰かと緩く繋がっていたい、一方で、繋がりすぎるのは逆に面倒」といった程よい距離感で繋がるニーズがあるのだと思います。SNSやチャットでメッセージのやり取りをするより、ちょっと強い繋がり、しかし、何かをしながら自分のペースで繋がることができるというのが受け入れられているのかもしれません。

さて、今までのヒット習慣予報と同様に、「リモート繋がりっぱ」にも色々なビジネスチャンスがあると考えます。

◎「リモート繋がりっぱ」のビジネスチャンスの例
■リアルでないとできなかった複数でやることをビデオ通話でできるサービスを提供する(ボードゲーム、飲み会、ファッションチェック など)
■ビデオ通話をしながら、ECの商品をレコメンドできるような機能を提供する
■施設内でリモートで繋がるサービスを提供する(スポーツジムで自宅の家族と繋がりながら運動ができる など)
など

私も、リモート飲み会をやってみようと思います。飲み会ですぐに眠くなってしまう私にとっては、飲み会のまま朝まで寝落ちという夢のような体験ができそうです。

荒井 友久(あらい・ともひさ)
マーケティングシステムコンサルティング局
ヒット習慣メーカーズ メンバー

SIer、メディアサービス企業、経営コンサルティングファームにて、事業企画に当事者・第三者として関与。これまで培ったビジネス視点に生活者視点を融合すべく博報堂へ転職。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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