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ヒット習慣予報 vol.18『民泊ホムパ』

2018.04.03
#トレンド

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの馬場です。
新年度初回のコラムを担当します。

桜全盛の時期ですね。私も先日、お花見を楽しんできました。ところで、桜といえばソメイヨシノですが、実はソメイヨシノでお花見を楽しむことは昔の人にとっては新習慣だったということはご存知でしょうか?元々、日本にある桜は、別の品種がメジャーだったそうです。ところが明治のはじめ頃、江戸郊外の植木屋で新種として売り出されたことがきっかけで、ソメイヨシノが日本中に広がりました。結果、お花見もソメイヨシノで楽しむことが習慣化した、というお話です。100年以上親しまれる習慣のきっかけが1人の植木屋だったことをはげみに、ヒット習慣メーカーズでも永きに渡って楽しまれる習慣を生むべく頑張ろうと思います!

ともあれ、本稿では、まずは習慣を“生む”のではなく“予報”をしていこうと思います。
今回のテーマは「民泊ホムパ」です。最近話題の「民泊」施設を、「ホームパーティー」の会場として利用する習慣を指します。
あえて確認するまでもないかもしれませんが、「民泊」の検索数はここ数年激増しています。
さらに、「ホームパーティー」の検索数も直近2年ほどでじわじわ増加していることが分かります。

※いずれもgoogleトレンドより作成

ちなみに、「民泊」の直近の検索数の急増は、3月15日に民泊新法にもとづく届出申請の受付が開始された影響だと考えられます。このように民泊自体、2020年の東京五輪に向け、国のバックアップのもと、ますます盛りあがっていくと思われます。

さて、話を「民泊ホムパ」に戻します。実はこの民泊ホムパ、感度の高い人たちには既に実践されています。特に多いのはクリスマスなどのパーティーシーズンの利用で、大勢で気兼ねなく盛りあがることができ、なおかつ割安な会場として活用されています。今後は、民泊自体の盛り上がりとともに、クリスマスのような特別な時でなくても、日常的にたこパ(たこ焼きパーティー)や鍋パなどでの利用が増えるのではないかと考えています。

なぜ「民泊ホムパ」が広がるのでしょうか?理由は3つあります。

1つ目は、ホームパーティーへの不満が解消できることです。友人宅でのホームパーティーは、最終的な片づけなどの負担が家主に集中しがちです。また、普通に住んでいる部屋であって、パーティー用ではないので、みんなが集まるにはやや狭いということも多いのではないかと思います。その点、民泊であれば広さは選べますし、ある程度後片付けすれば、残りは気兼ねすることなくオーナーに任せることが出来ます。

2つ目は、物理的な側面以外に、意識の面でも自分の部屋に人を呼びたくないという人が増えていることです。首都圏と関西エリアでの調査にはなりますが、博報堂生活総合研究所の生活定点で見ても、「パーティーを開くなど、友人を家に招くことが好きな方だ」と答えた人はここ10年減少し続けています。(左下図)携帯・スマートフォンの普及でいつでもだれとでもつながるようになって以来、最後のパーソナルスペースとしての自室を守りたいという人が増えているのではないかと思います。

3つ目は、パーティー感の増大です。右下の写真はイメージですが、民泊サイトを見ていただくとこの写真のようなオシャレな部屋が多く掲載されていることがよくわかると思います。友人宅でやるよりも楽に、オシャレな部屋で盛り上がれるのであれば、少しお金がかかっても民泊を選ぶ人が多いのではないかと考えています。

最後に、「民泊ホムパ」のビジネスチャンスについて考えてみました。パーティーの際の民泊利用を継続してもらうためにも、パーティーにかかる労力を最小化するためのサービスを貸し手が提供することが重要だと考えます。

「民泊ホムパ」のビジネスチャンスの例
■民泊施設の貸し手が、メーカーと連携してたこ焼き機などのパーティーに必要な機材や、調味料や小麦粉などのまとめ買いできる食材を提供する。
■同じく民泊施設が昼間にパーティー利用限定の貸し出しをする。(アイドルタイムの活用)
■不動産サイトや民泊サイト運営者がパーティーに使える部屋に絞って検索できる機能を提供する。
など。

楽に気兼ねなく盛り上がれる民泊ホムパ皆さんも試してみてはいかがでしょうか?ただし、部屋の汚しすぎや騒ぎすぎはトラブルの元なので十分ご注意を!

馬場郁実(ばば・いくみ)
データドリブンマーケティング局
ヒット習慣メーカーズ メンバー

2016年 博報堂に入社。
入社以来、データマーケティングに従事。業務で培った知見を活かし、新たな習慣を生み出すべくヒット習慣メーカーズに参画。
桜の季節は通勤時に目黒川の桜が電車から見えるので幸せ。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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