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データ・クリエイティブ対談【第17弾】
往年の人気ドラマをAIでリメイクする「どてらい」試み ゲスト:関西テレビ放送 駒井有紀子氏、田中健太氏

2026.03.05
広告ビジネスを越えたテクノロジーやデータ活用のあり方について対話する連載「データ・クリエイティブ対談」。今回は、1970年代に人気を集めた連続ドラマ『どてらい男(やつ)』の失われた映像を動画生成AIでリメイクするプロジェクトについて、関西テレビでコンテンツビジネスを手掛けるお二人と語り合いました。

駒井 有紀子氏
関西テレビ放送 コンテンツビジネス局 局長

田中 健太氏
関西テレビ放送 コンテンツビジネス局 東京コンテンツ事業部

篠田 裕之
博報堂
メディアビジネス基盤開発局

「どてらい男」公式サイトはこちら

奇跡的に発見された録画テープ

篠田
駒井さんと田中さんのお二人は、現在、関西テレビのコンテンツビジネス局に所属されています。この部署はどのような仕事を担われているのですか。

駒井
放送番組のマルチ展開から、IP、アニメ、グッズ、国内外配信など多様なコンテンツで収益を生み出し、ビジネスになるものなら何でもチャレンジできる部署です。

篠田
そのコンテンツビジネス局の皆さんが中心となって、ドラマ『どてらい男(やつ)』のAIリメイクプロジェクトを始められたのは、昨年3月でした。このドラマについても解説していただけますか。

駒井
1973年に放送が始まった連続ドラマです。当初はワンクールで終わる予定でしたが、視聴率がよかったので延長を繰り返して、最終的に3年半、181話まで放送されました。大阪の商社・山善の創業者である山本猛夫さんの一代記をもとにした物語で、丁稚時代から始まって、立派な商人に成長していく過程が描かれます。

主人公の山下猛造を西郷輝彦さんが演じているのですが、西郷さんがバラエティ番組などに出演される際に、このドラマの映像を貸してほしいという要望が非常に多く、それで私もこのドラマのことを知りました。

田中
2013年に『半沢直樹』というドラマが一大ブームになったことがありました。
その時に、「『半沢直樹』は平成版の『どてらい男』だ」といった投稿がSNSで散見されました。確かに、『半沢直樹』が好きな人なら絶対楽しめるドラマだと思います。

篠田
どちらも、主人公が大きな力に立ち向かいながら、道を切り拓いていく物語ですよね。しかしこの作品の映像は、関西テレビには初回と最終回の2話しか残っていなかった。
それがこのプロジェクトのそもそもの発端だったとお聞きしています。

駒井
昔のビデオテープはとても高価だったので、一度使ったものに何度も重ねて録画していくのが普通でした。ですから、1970年代までの番組は局にもほとんど残っていないわけです。ところが、『どてらい男』の100話を超える放送の録画テープが、ある企業に残っていることがわかりました。物語のモデルとなった山善です。

きっかけは、山善から、「ホームページで「『どてらい男』ミュージアム」を開設したいので、写真を貸してほしい」という連絡があったことです。そのやり取りの過程で、山善に『どてらい男』の録画テープが大量に保管されていると知らされました。内容を確認したところ、7話から129話までが完全な形で録画されていました。

篠田
どんなビデオテープだったのですか。

駒井
Uマチックのテープです。なぜ山善さんに保管されていたのかはほんとにわかりません。

篠田
奇跡的な発見でしたね。

駒井
本当にそう思います。ただし、2話から6話が見つからず、その後、「捜索プロジェクト」を立ち上げ、不明の話数を探していたところ、ある視聴者から3話目のビデオがあるという連絡をいただきました。家庭用のベータのビデオデッキが発売されたのは1975年です。ドラマのスタートが1973年ですから、大半の回は録画できなかったはずです。しかし調べてみたところ、1975年の後半から一度だけ再放送されていることが判明しました。どうやら、その再放送回を録画したようです。
初回のテープは局にあったので、前半の欠番は2話、4話、5話、6話の4回分ということになりました。その欠けている回をAIによって復活させたい。そう考えたのが、このプロジェクトの始まりでした。

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