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事業プラニングが目指す新たな広告会社の姿【vol.1】 生活者発想を起点にした事業を成功させるために

2025.12.05
現在、様々な領域でのデジタルシフトが進み、生活者インターフェース市場が次々と誕生しています。戦略プラニングを手掛ける博報堂のストラテジックプラニング局(以下ストプラ局)では、デジタルシフトの進展を追い風に、これまで地域交通サービス「ノッカル」マイナンバーカードを活用した公共サービスパス「LoCoPi(ロコピ)」など、データやテクノロジーを活用した事業に携わってきました。
そのストプラ局が中心となって2025年春に立ち上げたのが事業プラニングを専門とする組織です。博報堂の持つクリエイティビティ、データ・テクノロジーの知見を活かし、クライアントの事業戦略・事業開発の支援、さらには博報堂の生活者発想に基づいた新事業の立ち上げを目指す新組織です。本連載ではこの事業プラニングを専門とする組織が何を目指し、どのように新事業立ち上げに取り組んでいるのかに迫ります。第一回では、組織の立ち上げを担った4人に、どのような問題意識から生まれたのか、話を聞きました。

野口 圭一郎
博報堂 常務執行役員

寺西 淳
博報堂 ストラテジックプラニング局 局長

堀内 悠
博報堂 ストラテジックプラニング局 局長補佐
兼 事業プラニング一部 部長

松本 洋人
博報堂 ストラテジックプラニング局 事業プラニング二部 部長

「広告投資時代」のプラニングモデル

──事業プラニングという新しい組織が発足したのは、2025年4月でした。発足の経緯をご説明いただけますか。

野口
僕が博報堂グループのグループ会社である博報堂プラニングハウスから博報堂本社に戻ったのは2年前でした。現在は、ストラテジックプラニング局、グロースプラニング局、統合メディアプラニング局の戦略プラニング系3部門を担当しています。

いずれの局にも「プラニング」という言葉がつきますが、その言葉が意味することは部門によって異なります。ストラテジックプラニングとは、クライアントのマーケティング戦略を支援することを意味しますが、最近ではいわゆるマーケティングファネルの前段階において、クライアントの事業自体の戦略やコンセプト、つまり世の中に届ける価値そのものを考える仕事も含まれます。この領域を僕は「プレファネル」と呼んでいます。

一方、グロースプラニングは、ファネルの中のよりコンバージョンに近い領域におけるマーケティング戦略を立案し、マーケティングの効率化を追求する仕事です。さらに、それらの戦略を実行するためのメディア活用を立案するのがメディアプラニングです。

僕の役割は、その3つのプラニング領域を一元化し、既存のコミュニケーションデザイン事業を高度化していくことです。その中で、とくにプレファネル、川上から得意先に並走するべく、具体的な「事業」に取り組むことを目的に立ち上げた新組織が事業プラニングです。

寺西
事業への取り組みには、いくつかの種類があります。クライアントの事業を支援するケース、クライアントとともにJV(ジョイントベンチャー)を組成するケース、博報堂あるいは博報堂DYグループの企業が事業主体となるケース。大きくはその3つが考えられます。

──その動きの背景にあった課題意識をお聞かせください。

野口
世の中のデジタルシフトにともなって、広告費の概念は大きく変化しつつあります。その変化に早急に対応しなければならないという危機感がありました。

従来の広告費は企業にとって一種の「経費」であり、その経費を有効に活用することがこれまでの広告活動でした。経費を使い切ることが目的の、作品的な広告制作が一般的な時代において、そのKPIは不明確で、おおむね認知度や好感度などが基準になっていました。

しかし、デジタルシフトによって広告効果がかなりの部分可視化されるようになったことによって、広告費は経費ではなく「投資」となりました。1億円の広告予算を投資したら、どれくらいのリターンがあるのか。広告活動を支援する広告会社は、それを明確に説明することが求められるようになったわけです。

そのいわば「広告投資時代」のプラニングモデルをつくるには、プレファネルとフルファネルの一元化が必要になります。どのような事業によって、どのような価値を世の中に提供し、それをどう効率的にマネタイズし、ビジネスの継続性と成長性をどう確保していくのか──。そういった、トータルなプラニングが必要になったということです。

そして、そのトータルな連結モデルにおいて重要なのは、モデルの最上流にあたるプレファネルの領域で、事業そのものの方向性や価値構造をしっかりと考えることです。広告の新時代において、ブランディングやコンバージョン効率化だけでなく、広告対象となる事業自体を開発する機能が求められるようになった。それが、事業プラニングという新組織を立ち上げた理由です。

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