マーケティングシステムの今〜マーケティング&ITの実務家集団が語る事業グロースへのヒント【vol.14】マルチエージェントに学ぶ理想の組織と人間の役割
2025.11.17
マーケティング活動において、データとテクノロジーが果たす役割は年々高まっています。データ基盤整備やCDP(カスタマーデータプラットフォーム)活用、マーケティングオートメーション、AI活用といった言葉は、もはや特別なものではなくなりました。一方で、それらを「実際の事業成長」に結びつけられている企業は、想像以上に少ないのが実情です。本連載では、博報堂マーケティングシステムコンサルティング局(以下、マーシス局)のメンバーが、事業グロースに向けた「生活者発想×データ×テクノロジー」の挑戦について、日々現場で向き合っている知見や視点から発信していきます。
第14回は、AIが「チーム」として組織化する今、私たち人間はどんなチームを作るべきか、という問いを立てます。AIチームをうまく機能させるルールは、人間のチームの理想像と類似しています。この事実から、AI活用がチームを磨くプロセスであること、そしてAI時代に人間が価値を発揮すべき「創造的な問い」とは何かを提言します。
※本稿は、AIとともに「AI時代と組織の進化論」について検討した内容です。
園田 悠貴
株式会社博報堂
マーケティングシステムコンサルティング局
システム推進部 Marsys Enterprise Architect™︎
AIが「一人」から「チーム」へ進化する時代
まだまだAIの世界では大きな変化が起き続けています。これまでは一つのAIをいかに賢くするか、という競争が中心でした。しかし今では「個」の性能アップだけでなく、AIたちによる「チーム」の構築が進んでいます。
この変化を象徴するのが「マルチエージェント型」の「AIエージェント」という存在です。これは単なるチャットボットではなく、自ら計画を立て、ツールを使いこなす「自律的に動くAI」です 。特に開発領域のツールでは、「オーケストレーター」と呼ばれる中核AIが「コードレビュー担当」や「デバッグ専門家」といった特定の役割を持つ「サブエージェント」に仕事を割り振る機能が登場しています。まさに、AIが専門家チームとして機能し始めている証拠と言えるでしょう。