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マーケティングシステムの今〜マーケティング&ITの実務家集団が語る事業グロースへのヒント【vol.5】事業グロースの鍵は「データ基盤」と「組織」。顧客データ活用を成果へ導くプロセスとは?

2025.07.31
マーケティング活動において、データとテクノロジーが果たす役割は年々高まっています。データ基盤整備やCDP(カスタマーデータプラットフォーム)活用、マーケティングオートメーション、AI活用といった言葉は、もはや特別なものではなくなりました。一方で、それらを「実際の事業成長」に結びつけられている企業は、想像以上に少ないのが実情です。本連載では、博報堂マーケティングシステムコンサルティング局(以下、マーシス局)のメンバーが、事業グロースに向けた「生活者発想×データ×テクノロジー」の挑戦について、日々現場で向き合っている知見や視点から発信していきます。
第5回のテーマは事業グロースの鍵となる「顧客データ基盤」と、それを最大限に活かす「データ活用組織」の重要性についてです。近年、ビジネス環境は目まぐるしく変化し、生活者の行動も多様化しています。
しかし、多くの企業では、顧客データが様々なシステムに分散しており、統合的な分析や活用が難しいという課題に直面しています。また、新たな技術やツールが次々と登場する中で、「どれを選べば良いのか」「どう活用すれば効果を最大化できるのか」といった戸惑いの声も少なくありません。そして、その背景には、データ基盤を使いこなし、成果へと繋げるための「組織体制」や「運用プロセス」が確立されていないという、より根深い課題が存在していると我々は考えています。本稿では、理想的な顧客データ活用の姿と、それを実現するためのデータ基盤の考え方、そして何よりも重要な「組織」と「推進プロセス」について、我々の知見と実践を交えてお伝えします。

小林 昂平
株式会社博報堂
マーケティングシステムコンサルティング局
データプラットフォーム推進部 データストラテジスト

今、企業が直面するデータ活用の課題

現在の市場では、顧客に関する膨大なデータが日々生成されています。ウェブサイトの閲覧履歴、購買履歴、問い合わせ内容、さらには実店舗での行動データなど、その種類は多岐にわたります。これらのデータを個別に分析するだけでは、顧客の全体像を把握することは困難です。

また、データ活用を推進しようと、多機能なツールを導入したものの、その機能のほんの一部しか使えておらず、高額な運用コストだけがかさむというケースも少なくありません。一方で、既存のシステムでは機能的な限界があり、本来実現したかった仕組みが構築できないために、複雑な応急処置を施した結果、コストが膨らんでしまうという課題も散見されます。

図1:ツールの機能を一部しか活用できておらず無駄なコストになっている

このような状況を打破し、データ活用の真の価値を引き出すためには、単にツールを導入するだけでなく、「何のためにデータを活用するのか」という目的を明確にし、それに基づいた最適な戦略と仕組みを構築することが不可欠です。

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