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デジタル時代の「新・ブランド論」【第9回】
“無意識的”な検索の広がり-情報の信頼性の拠り所はどこにあるのか?

2025.07.25
SNSなどデジタル環境の変化に伴い、生活者の情報選択・購買・消費行動は大きく変化しています。また、様々なテクノロジーの登場によって、企業の行うデジタルマーケティングも日々進化しています。その一方で、長期的な視点に立った企業と生活者との絆づくりである「ブランド」はどうでしょうか?デジタル時代において、改めてブランドとは、ブランディングとはどうあるべきなのか──そんな問題意識からスタートした「デジタル時代の新・ブランド論」構築プロジェクト。
本連載では、マーケティング、消費者行動論、社会心理学などに精通した研究者と博報堂DYホールディングスのマーケティング・テクノロジー・センターのメンバーによって進められているプロジェクトをご紹介します。
第9回では、博報堂 メディア環境研究所による調査を軸に、生成AIで検索ができるようになった時代の検索行動と消費行動を議論しました。

<プロジェクトメンバー>
(写真左から)
石淵 順也氏
関西学院大学商学部 教授

柿原 正郎氏
東京理科大学経営学部国際デザイン経営学科 教授

澁谷 覚氏
早稲田大学大学院経営管理研究科 教授
本プロジェクト共同代表

杉谷 陽子氏
上智大学経済学部経営学科 教授

米満 良平
博報堂DYホールディングス
マーケティング・テクノロジー・センター GM 上席研究員

西村 啓太
博報堂DYホールディングス
Human-Centered AI Institute 所長補佐

生活者は、AI検索で「検索」しているのか?

西村
今回は、「生成AIと情報探索・買物行動について」をテーマとしました。これまで研究会の中でも生成AIについて何度か議論になったことがありました。また、澁谷先生、柿原先生にはこちらの「有識者と考える〈生成AI〉の未来」(https://seikatsusha-ddm.com/serialization/14125/)でもご協力を頂きました。

米満
ここまでの研究会の調査だけでなく、博報堂のメディア環境研究所(以下、メ環研)のレポート「AI時代の『検索』どうしてる?最前線」の内容なども交えて、ディスカッションを進めていければと思います。まずは、現時点でAIが検索としてどのくらい使われているか、気になりますね。

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博報堂メディア環境研究所「検索サービス利用実態意識調査」
調査概要:全国15~69歳、1317サンプルに対し、2025年1月28日~2月4日に調査
https://mekanken.com/contents/7739/
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西村
全体として「検索行動」は95.6%の人が実施していて、その大半が「検索エンジン」を使っていましたが、動画検索、SNS検索も半数以上の人が実施していました。AI検索は、26.7%(検索実施者ベース)となりました。また、若年層ほど、SNS検索やAI検索など、様々な検索方法が浸透している状況がありました。10-20代だと、AI検索を実施するのは47.4%と半数近くに上っています。

石淵
AIでの検索や質問の投げかけというのは、検索エンジンとは求めるものや使うシーンが異なる印象を持っています。先日、あるAIの研究会で耳にしたのは、子どもに勉強を教えるAIエージェントの話です。単に知りたいことを回答してくれるというより、アドバイザーや執事に近い感じがする、という意見が出ていました。

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