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マーケティングシステムの今〜マーケティング&ITの実務家集団が語る事業グロースへのヒント【vol.4】AIエージェントが変える、マーケティングの「思考」と「行動」

2025.07.24
マーケティング活動において、データとテクノロジーが果たす役割は年々高まっています。データ基盤整備やCDP(カスタマーデータプラットフォーム)活用、マーケティングオートメーション、AI活用といった言葉は、もはや特別なものではなくなりました。一方で、それらを「実際の事業成長」に結びつけられている企業は、想像以上に少ないのが実情です。本連載では、博報堂マーケティングシステムコンサルティング局(以下、マーシス局)のメンバーが、事業グロースに向けた「生活者発想×データ×テクノロジー」の挑戦について、日々現場で向き合っている知見や視点から発信していきます。
第4回のテーマは、ビジネスシーンで急速に存在感を増す「AIエージェント」が、マーケティング分野にどのような変革をもたらすかについてです。単なる業務効率化ツールを超え、自律的に思考し、行動するAIが、企業のマーケティング活動をどのように深化させ、新たな事業機会を創造するのか。博報堂マーシス局の視点から、その可能性と導入の要点を考察します。

土井 京佑
株式会社博報堂
マーケティングシステムコンサルティング局
データプラットフォーム推進部 部長

「考えるAI」の台頭:AIエージェントがもたらす変革の核心

近年のAI技術の進歩は目覚ましく、特にChatGPTのような生成AIは、自然な文章生成や対話能力で大きな注目を集めました。しかし、これらのAIの多くは、ユーザーからの具体的な指示(プロンプト)があって初めて機能する、いわば「受動的なアシスタント」という位置づけでした。

これに対し、現在ビジネス界で大きな期待が寄せられているのが「AIエージェント」です。AIエージェントは、人間から与えられた最終的な「目標」を理解し、その達成に向けて自律的に計画を立て、必要な情報の収集や分析を行い、さらに外部のツールやシステムと連携しながら、一連のタスクを遂行していく能力を持っています。それはまるで、特定の専門業務を任せられる「自律的なビジネスパートナー」が加わるようなものです。

AIエージェントの登場は、単なる業務の自動化や効率化に留まらず、これまで人間の知的な労働が担ってきた領域に踏み込み、その働き方自体を根本から変える可能性を秘めていると、我々は見ています。

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