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販売チャネルから事業のハブへ ECで成功確率を上げるために知っておくべき失敗の理由【MarkeZine Day 2025 Spring 登壇レポート】

2025.06.18
#生活者インターフェース市場
購買行動の多様化やプレイヤーの新規参入により、ECを軸としたビジネスは年々成功確率が下がってきています。ハードな市場を勝ち抜くためには、失敗の理由を正しく把握する必要があるでしょう。MarkeZine Day 2025 Springでは、博報堂DYグループの専門組織「HAKUHODO EC+」から桑嶋と澤田が登壇。『EC起点の事業変革 博報堂式 ECから始める、これからのマーケティング』(翔泳社)を上梓した著者でもある2名が、EC起点のビジネスで失敗する理由と、成功するためのポイントを語りました。本稿ではその内容をレポートします。

成長スピードが鈍化しつつある日本のEC市場

日本のEC市場は、ここ10年で目覚ましい成長を遂げた。経済産業省が実施した「令和5年度電子商取引に関する市場調査」によると、国内のEC化率は2014年から2023年までの間で2倍以上伸長している。特に新型コロナウイルスが蔓延し始めた2020年、ECに取り組む企業が増加したことは想像に難くない。

では、2025年現在のEC市場はどうか。HAKUHODO EC+の桑嶋は「成長スピードがやや鈍化傾向にある」と指摘。その背景を示す目的で、市場の変遷をEC黎明期から四つのフェーズに分けて振り返る。

博報堂 HAKUHODO EC+ ビジネスコンサルタント・地域DXソリューションリーダー/コマースコンサルティング局 イノベーションプラニングディレクター 桑嶋剛史

第一次フェーズにあたる1990年代~2000年代、楽天市場の登場とともにEC市場が誕生した。この頃のECは「通販企業の1チャネルだった」と桑嶋。通販企業が深夜帯の受注の受け皿として、ECを利用していたためだ。“インターネットで物を買う”という行為が徐々に浸透し始めたフェーズと言って良いだろう。

第二次フェーズは2010年代からコロナ禍直前までを指す。Amazonが日本での活動を本格化させ、楽天市場との競争を繰り広げた時代だ。

「この頃から、メーカー各社が楽天市場やAmazonを活用するようになりました。その結果、ECは実店舗など他の販売チャネルと横並びで考えられるようになったのです」(桑嶋)

桑嶋は第三次フェーズとして、2020年から2022年までの期間を指定。コロナ禍の影響で多くの企業がECへと参入した時期であり、直前に北米で急激に伸びたD2Cブランド各社の成功事例が研究され、日本での導入が進んだ時期でもある。

「D2Cの利点は、顧客と直接つながることで1st Party Dataを収集できる点にあります。ブランド各社が運用を通じて、その可能性に気付き始めたのです。こうしてECは単なる販売チャネルから『マーケティングチャネルの一つ』として捉えられるようになりました」(桑嶋)

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