

2025年5月17日(土)と18日(日)に行われた大会には、2日間で延べ9000人超の来場者が参加し、感動と熱気に包まれたのちに幕を閉じました。
イベントではコスプレイヤーと写真を撮ったり、推しのチームブースでグッズを購入したり、美味しい料理を味わったりと、多彩なコンテンツが来場者を楽しませていました。スポンサーブースにも多くの来場者が訪れるなど、賑わいを見せていました。
こうしたeスポーツ関連のイベントの盛り上がりは、単に市場規模の拡大のみならず、“エンタメ”としての楽しさや生活者を巻き込む一種の“メディア”として機能する「新たなビジネスチャンス」につながっていくのではないでしょうか。
本稿では、VALORANT Challengers Japanを主催するライアットゲームズ の泉氏に、eスポーツにおけるオフライン大会の魅力や伝統的なスポーツにはない「ファンと選手の距離感の近さ」について、大会運営に携わった博報堂 オーディエンスアクションビジネス局の笠置淳行が話を聞きました。
泉 航平氏
合同会社ライアットゲームズ
VALORANT Esports Japan プロデューサー
── まずはじめに、泉さんの自己紹介とライアットゲームズの会社概要を教えてください。
私がライアットゲームズへ入社する前は、7〜8年ほどゲーム開発の現場で主にモバイルゲームのプロデューサーやディレクターを担当していました。
人気アニメ・漫画を原作としたアクションゲームを手がけたり、運営側としてイベントを企画してユーザーの皆さんに楽しさを届ける仕事をしてきました。
一方で、プレイヤーとしてもeスポーツに深くのめり込んだ経緯があります。
特に、5対5で拠点を取り合うリアルタイム戦略ゲーム(MOBA)に熱中していて、毎月開催される20〜30人規模の大会には2年間欠かさず出場していたんですよ。ただ、相手が強すぎていつも初戦で敗退していました(笑)。通常の試合時間は20分くらいなのですが、10分間持ちこたえるのがやっとでしたね。

それでも、会社が終わった後にミーティングルームに集まり、「まずは一勝」を掲げて仲間と練習に打ち込んでいました。こうしたeスポーツに対する原体験がきっかけになって、2021年にライアットゲームズへ入社し、プロデューサーとして「VALORANT Challengers Japan」の立ち上げ初期から携わっています。
── 立ち上げ当初と今を比べたときに、大会の盛り上がり方の違いは何か感じますか?
私がライアットゲームズに入社した頃はコロナ禍の真っ只中で、eスポーツ大会のオフラインイベントが軒並み中止となっていたことから、目に見える形でのeスポーツの盛り上がりは一旦収束していた状況でした。
しかし、この状況が結果的に“逆風”ではなく“転機”になったとも感じています。
ちょうどその頃から「eスポーツをオンラインで視聴する文化」がインフルエンサーを中心に広がり始めていて。公式配信を観るだけではなく、インフルエンサーが公式配信を観ている様子をファンが一緒に観て盛り上がる「ウォッチパーティ」というスタイルが徐々に定着し始めていたんです。
今でこそ配信者(ストリーマー)やインフルエンサーによるウォッチパーティは当たり前になっていますが、その原型ができ始めたのが、2021〜2022年くらいのコロナ禍の時期だったと思います。