
──現在企業が抱えている「AI活用」の課題とは、どのようなものですか?
土井
近年、生成AIの話題が急速に広まりましたが、企業の多くは「AIをどう導入するか」という表層的な議論に留まっている印象があります。本質は「AIをどう活かせる環境を整えるか」という点にあります。
具体的には、データが分断されていて連携できない、業務が属人的でAIに引き継げない、PDCAが回らずに誤った学習が起きるなど、“AIを導入しても上手く活用できていない”ケースが少なくありません。
私たちが「AI-Ready」という言葉で表現しているのは、こうしたボトルネックを取り除き、データ・業務・組織をAIが機能できる状態に整えること。データ基盤を導入して終わりではなく、それをどう整備・運用し、AIと協働できる状態に持っていくかが問われています。

内海
AIは魔法の杖ではありません。
AIを活かすためには、それを支える「土台」の整備が欠かせません。データの質や更新頻度が整っていなければ、いくら高性能なAIを搭載しても、期待通りのアウトプットは得られません。
また、活用したい業務自体が整理されておらず、属人化していると、AIに適切な役割を与えることすらできません。
私たちは「AIをどう使うか」ではなく「AIを活かせる組織のあり方」を支援していくことに力点を置いています。
棚田
現場では「データはあるけど、どう使っていいか分からない」
「CDPは入れたけど運用が定着しない」といった声が多く聞かれます。
そうした悩みの背景には、業務とデータの接続がなされていないという課題があります。
私たちは、まずクライアントと一緒に「どこにAIを活かす余地があるか」を見極めるアセスメントから始め、業務設計、データ基盤の構築、そしてAI活用まで一貫して支援します。それがAI-Readyの実装プロセスです。
小林
AI-Readyという考え方は、決して特定のテクノロジー導入の話ではありません。「業務の流れが明確か」「データが連携されているか」「PDCAを回す仕組みがあるか」といった、組織の土台全体に関わるテーマです。
この“前提条件の整理”こそが、今後のマーケティング組織にとって不可欠になっていくと感じています。