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「IPは守るものから広げるものへ」。カルビー発の音楽レーベル『じゃがレコード』が目指す未来

2025.06.13
博報堂キースリーは、カルビーの新規事業を担う「Calbee Future Labo」と共に、2023年からカルビー商品のデザインやキャラクターIPを活用した、「NFTチップス」や「WEB3 GAME FES」、「はぴウェル応援団」といったさまざまなweb3キャンペーンを実施してきました。
2025年4月には二次創作における外部クリエイターの与信管理やライセンス業務を簡素化し、IP事業の課題解決を目指すIP管理プラットフォーム『かるれっと』 を発表しました。さらに、この取り組みを進化させるため、カルビー商品のタベオト(食べる際に生まれる音)をIPととらえて、タベオトを使った楽曲を創作する音楽レーベル『じゃがレコード』 を共同で設立しています。
本取り組みの背景や目指す未来について、Calbee Future Labo ディレクター
の松本 知之氏、第一弾楽曲「DAHA」を制作したクリエイターユニット、niKuのコンポーザーChinozo氏、博報堂キースリーの佐野の3名に話を聞きました。

(写真右から)
松本 知之氏
カルビー株式会社
Calbee Future Labo ディレクター

Chinozo氏
niKu コンポーザー
兼 ボカロP

佐野 拓海
株式会社博報堂キースリー 取締役 兼 博報堂 オープンインキュベーション局
チーフプロデューサー

web3はあくまで手段。どのようにマーケティングへ活かすかが重要

── はじめに、2025年4月にカルビー初のブロックチェーン技術を活用したIP管理プラットフォーム「かるれっと」を発表した経緯を教えてください。

松本
カルビーでは以前から、デジタルネイティブ世代に向けたマーケティングへシフトしていく必要性を感じていました。Calbee Future Laboが新規事業を検討する際も、既存ブランドがお客様の生活にさらに浸透していく領域にこそ、多くのチャンスがあると考えていたのです。
その一環として、NFTを活用したキャンペーンや、農業体験ゲーム「Astar Farm」とのコラボ企画など、web3領域での取り組みを積極的、能動的に実施してきました。個人的には、「web3やNFTとは一体何なのか」というところからスタートしたのですが、博報堂キースリーからweb3事業者の方々をご紹介いただき、実際にお客様からの反応が見えたことが大きな転換点になりました。

重要なのは「web3はあくまで手段であり、どうマーケティングに活かしていくか」という点です。そうしたなかで、カルビーの各ブランドや企業のブランドを、食べること以外の形で生活者であるお客様に価値を感じてもらうためには、ブランドをリデザインしたり、二次創作を促進したりすることが重要だと考えるようになりました。
その際に課題となるのが、ブランド利用に関する与信管理や権利管理です。これらを透明かつ効率的に進めるために、ブロックチェーン技術を活用した「かるれっと」という仕組みを開発しました。
「かるれっと」を通じて様々な創作活動が生まれ、究極的には一般のクリエイターがカルビーのブランドを自由に活用し、多様な作品を生み出していただけるような世界を目指して設計しています。

── そのようなお考えに至ったのは、どのような背景があるのでしょうか?

松本
従来、商品はメーカーが作るもので、中身の設計からパッケージデザインまでを手がけるのが当たり前でした。しかし、現代は個人のSNSや動画配信サービスなどを通じた創作活動が盛んに行われています。
そのため、メーカーとして「この商品をぜひ食べてください」という提案の姿勢は変わりませんが、マーケティングのあり方ももっとお客様に寄り添い、企業活動にお客様も参加していただけるような形を目指すべきだと考えています。

例えば、「じゃがりこ」をさりげなくデザインした国産スニーカー「じゃがりこ と」スニーカーでは、二次創作の要素が強いデザインだったにもかかわらず、多くの人から「かわいい!」という非常にポジティブな声をいただきました。
また、「カルビーレトロ」というレトロ調のデザインを使った際には、ベビー服のロンパースに採用されたりするなど、当初は想像もできなかった分野にも広がりを見せています。このような二次創作的な動きについて、「カルビーらしさ」は残しつつも、新しい魅力的な形に変換されていることが多く、ここにマーケティングにおける大きな可能性があると感じています。

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