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AIを活用した広告クリエイティブの新常識──先端技術を武器に現場から挑むZETTAI WORKSの動画広告

2025.05.22
博報堂DYグループの社内ベンチャープログラム「Ventures of Creativity(VoC)」から誕生し、AIを活用したアニメーションから実写まで多彩なクリエイティブを手がける会社「ZETTAI WORKS」。
現状のクリエイティブ制作における課題、ZETTAI WORKSの提供するソリューションの価値、そして今後の展望について、代表者と経験豊富な博報堂出身のクリエイターにその可能性について話を伺いました。

佐藤 拳
株式会社ZETTAI WORKS 代表取締役

小野 洋平
株式会社ZETTAI WORKS 代表取締役

山口 尚久
株式会社Hakuhodo DY ONE Executive Creative Director

博報堂DYグループから生まれたAIを駆使するクリエイティブ集団

── まずはデジタル広告制作における現状の課題感と会社設立の背景を教えてください。

佐藤
きっかけは、「どんな条件でも、動画広告をちゃんと届けたい」という思いでした。デジタル広告の現場にいると、いい企画ほど制作負荷やスケジュールの都合で、いつのまにか選ばれなくなってしまうんです。特にアニメ表現は、制作時間がかかるという理由で外されるケースが多いのですが、僕はそれを“どうしたらできるか”で考えたかった。その答えのひとつがAIでした。技術だけを語るのではなく、「AIがあるからこの表現が選ばれた」と言えるようにする。僕らが向き合っているのは、単なる省力化ではなく、“表現を通す”ための方法なのです。小野と一緒に、それを成り立たせる座組をつくり、今のZETTAI WORKSがあります。

小野
本事業の可能性を強く意識したのは、2023年の初頭でした。当時は、AIを活用したクリエイティブを実際の広告に導入しているケースが非常に少ない時期です。そのような中、先端技術への理解が深かったある大手クライアントとの企画会議で、AIを活用して生成したアニメーションや実写合成のビジュアルを提示したところ、予想以上の反応を得て、実際に屋外広告(OOH)として展開するまでに至ったのです。公開後の反響や広告効果も明確な成果があり、それは、AIの活用は単なる話題づくりや実験にとどまらず、クリエイティブの課題を解決するための実用的な手法になりうるという、ひとつの証明でもありました。そこから、事業としての成立性を見据え、佐藤や各所の方々と検討を重ね、現在のZETTAI WORKSの体制へと発展していきました。

── ZETTAI WORKSではどのようなソリューションを提供していますか?

佐藤
アニメーションや実写をはじめとしたAIを活用した広告クリエイティブやコンテンツ領域における動画制作を進めています。

従来の手法では実現が難しかった企画をAIで形にすることで、デジタル広告ではあまり見られない、例えば映画のワンシーンのような映像表現や、スタジオで撮影したようなビジュアル表現を用いた映像の制作が可能になっています。

小野
当初はAIによる映像表現を前提に、ある特定のビジュアルスタイルを軸にソリューションを組み立てていました。しかしプロジェクトを重ねるうちに、クライアントごとの具体的なニーズが見えるようになり、実写風からアニメーション調まで、さまざまなスタイルに対応できる独自の制作フローを構築しました。

https://www.youtube.com/watch?v=2nkmTJLeOy0

表現の方向性によってアプローチの手順や設計方針が変わるものの、どのプロジェクトでも共通しているのは1枚のビジュアルから始まり、数十回に及ぶレタッチを重ねながら、理想のイメージに近づけていくプロセスです。

キャラクター表現についても、顔の輪郭、髪型、衣装などの細部に至るまで一貫性を持たせ、物語の中で自然な存在として成立することを重視しています。最終的には、広告として十分な説得力を持つ映像になるよう仕上げています。

https://www.youtube.com/watch?v=9XHL4kimsaY

私たちは広告の企画や制作に長く携わってきた経験から、実写でもアニメでも、完成した映像の姿を最後まで手放さずに制作できることが強みです。限られた時間やコストの中でも「表現したいもの」を妥協せず実現できるよう、技術と手作業を最適なバランスで組み合わせています。

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