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メタバース生活者たちと共にデジタル世界のこれからを考える vol.4「メタバース生活者×働く」~自分の新しい可能性と出会えるメタバース空間~

2025.05.19
#生活者インターフェース市場
博報堂は、2024年11月に、メタバース空間における新しい生活者価値の創出と、イノベーションを生み出すことを目指し、研究員全員がメタバース生活者当事者によって構成されたコミュニティ型プロジェクト「メタバース生活者ラボ™」を設立しました。
本連載では、メタバース生活者ラボの理念に共感いただいている、メタバース生活者当事者でもあるゲストとの対話を通じて、メタバース生活者の未来を探求していきます。
第4回は、メタバース関連のライティングやバーチャル空間「cluster」内でのDJや雑談バーなどの活動を行う咲文でんこさんとクラスターの広報を務める西尾美里さん、椎名香澄さんをお招きし、「メタバース生活者×働く」をテーマに、バーチャル世界で働くことの意義や可能性についての座談会をcluster内で実施しました。
※本ラボにおける「メタバース生活者」は、「バーチャル空間上で、自身のアバターやキャラクターを通してコミュニケーション等の行動を実施する」すべての生活者を対象としています。

咲文 でんこ
フリーランスジャーナリスト・ライター

椎名 香澄
クラスター株式会社 広報アシスタント

西尾 美里
クラスター株式会社 広報

瀧﨑 絵里香
メタバース生活者ラボ リーダー
博報堂 研究デザインセンター 生活者発想技術研究所 上席研究員

和田 周
博報堂DYホールディングス 統合マーケティングプラットフォーム推進局
企画グループ研究員 テクノロジスト

黄 嘉驊
博報堂 グローバルストラテジックプラニング局

前田 彩花
博報堂 生活者発想技術研究所

佐野 めい
博報堂 生活者発想技術研究所

バーチャルの人格を持つことで、自分の個性やキャラクター性を打ち出せる

瀧﨑
今回は「メタバース生活者×働く」をトピックにして、皆さんと色々とお話できればと思います。

それでは最初に、咲文でんこ(以下、でんこ)さんの自己紹介とこれまでのメタバースライフの変遷を教えていただけますか?

咲文
もともとはMMORPG(※ Massively Multiplayer Online Role-Playing Game の略で大規模多人数同時参加型オンラインRPGのこと)などで遊んだり、人とコミュニケーションを取ったりすることから始まり、仮想世界での交流をずっと続けていました。メタバースプラットフォームのclusterに足を踏み入れたきっかけは、以前からずっと追いかけていたブロガーさんが「clusterをやっている」とのことだったので、その方の活動を追いかける形で2020年の年末にclusterをやり始めたんです。

最初はその方と遊ぶだけだったのですが、次第にclusterの世界へのめり込んでいき、そこからさまざまなことに挑戦するようになりました。今ではライティングのほかにもDJをやったり雑談バーを開催したりと、どんどん活動の幅が広がっているという感じですね。

瀧﨑
「でんこ」という名前で、メタバースの仕事を始めたのはどのような背景がありますか?

咲文
VR文化の発展や振興を目的に活動するNPO団体のアンバサダーに応募したことが大きなきっかけでした。そこから、「でんこという人格でさまざまな活動をしていきたい」という思いが強くなり、名前を統一するようになったんです。

瀧﨑
実際に「でんこ」という新しい人格で働くようになったことで、ご自身の人生に影響や変化はありましたか。

咲文
「でんこ」というハンドルネームで活動するようになったことで、大きな変化がありました。以前は本名でゲームライターとして記事を書いていましたが、数多くいるゲームライターの中に埋もれてしまい、特に目立つ存在ではありませんでした。それが、でんこという“完全に新しい人格”を持つことで、自分のキャラクターを明確に打ち出せるようになりました。

バーチャルの世界にはもともとキャラクター性があり、それを前面に押し出すことで、その他大勢のゲームライターとは異なる個性を確立でき、自分の存在感を高めることができたのです。

瀧﨑
本名の方がちょっと自分を出しにくかったというか、名前をでんこにしたことで、自分の殻を破りやすくなったという感覚なんですかね。

咲文
そうですね。違う人格として活動することで、より自分を表現しやすくなった部分はあるかもしれません。本名で連載を持っていたとしても、あまり目立たない存在だと思われていた気がしますし、バーチャルでさまざまな活動をしているおかげで、ある程度の認知が生まれ、本名の時よりも存在感が増した感じがしますね。

瀧﨑
デジタルの世界では、新しい人格の方が自分を表現しやすく、現実世界よりも活動しやすい部分があるんですね。本日はクラスター株式会社の方々もお招きしておりますので、クラスターのお二人にもお話を伺えればと思います。西尾さん、椎名さんもでんこさんと一緒にお仕事をされていると聞いているのですが、現実世界の本名ではなく、バーチャルの人格を持つ方とお仕事をすることの価値について、何か感じることはありますか?

西尾
クラスター株式会社CEOの加藤も話しているように、でんこさんには「私たちの世界観や仮想空間で生きるユーザーを深く理解しているからこそお願いしたい」という思いがあります。バーチャルネームだけでなく、アバターを含めたカルチャーを理解している点に大きな意味があり、アバター姿でのインタビューも大きな価値のひとつです。

でんこさんの言葉や記事、質問は、実際にバーチャル世界で生活しているからこそ生まれるものであり、取材の質もとても高いと感じています。そのため、私たちにとっては非常に頼りになる存在です。

椎名
私も同感ですね。メタバースの世界を深く理解していて、メタバース内でも多くの方々と日常的に接しているからこそ、さまざまな視点で意見をいただけますし、その中で感じたことや発言についても非常に参考にさせてもらっています。

瀧﨑
実際に本名でバーチャル空間で活動している方よりも、でんこさんというキャラクターの方が、どこか安心感や信頼感を感じやすい部分があるんですかね?

西尾
やはり、バーチャルネームを持ってメタバースの空間で実際に生活しているというのが重要だと感じます。本名に注目するのではなく、バーチャルの名前や姿が、その世界観をしっかりと理解している証明になるのがポイントだと思いますね。

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