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「社会課題解決プロジェクト」が目指すもの【Vol.6】高岡交通と考える、これからの地域交通と交通事業者が担う役割

2025.05.02
#生活者インターフェース市場
これからの日本社会が直面する交通課題。特に地方部では、地域交通の再編が求められ、マイカー交通やデマンド交通等、新しい交通サービスが生まれています。これまで富山県朝日町を中心に、公共交通やまちづくりの課題解決に取り組み、地域交通プラニングやソリューション開発を行ってきたメンバーが、高岡市のマイカー交通「ノッカル中田」の運行管理、地域乗合タクシー「もりまる」「のむタク」の運行を担う、株式会社高岡交通のみなさまと共に、交通事業者から見る地域交通の現状と将来像について語り合いました。

常廣:最初に高岡交通の皆さんの簡単な自己紹介からお願いいたします。

渡辺:高岡交通代表取締役社長の渡辺です。高岡市を中心としたタクシー事業の他、介護や観光など、幅広い分野で地域の足を支えるためのサービスを展開しています。

手崎:高岡交通常務取締役の手崎です。入社したての頃は介護タクシーの立ち上げに携わっていて、その後事務、人事系と担当してきました。デマンド交通やノッカルの立ち上げにはあまり深くかかわっておらず、そこら辺の経緯は現場の方が詳しく話せるかなと思います。

廣上:高岡交通営業本部長、タクシー部長の廣上です。平成の終わりに入社し、観光部門で大型二種免許を取って、タクシーではなくてバスの仕事をしていました。そのあとタクシーに移り、今の役職という形になっております。
タクシーという形で地域の皆さんとどのように携わっていけるか、地域の足をどう担保していくかを考えながら一生懸命やっております。

地域主体の交通サービスに、交通事業者としてどう関わるのか?

堀内:まず、高岡交通さんの事業について簡単にお伺いできますでしょうか。

渡辺:高岡交通は元々「高岡地方交通」という社名で、昭和20年7月に設立されたタクシー会社です。タクシー事業を中心に、観光タクシー、空港送迎などの事業も展開しています。

堀内:今、我々博報堂と高岡市と一緒に取り組ませていただいているのが、デマンド制の乗り合いタクシーや、ノッカルのようなマイカーを使った交通ですが、高岡交通さんから見た地域交通の状況、またノッカルの状況を教えていただきたいです。

廣上:私は高岡市内の各地域の交通会議に参加しているのですが、民間企業を誘致したり、手を挙げた交通空白地に対して高岡市が支援したり、それぞれの地域課題に合った形で動いているという印象を受けています。鉄道やバスといった既存の交通網と共存する形で、どう地域交通を築いていくかが課題ですね。

堀内:交通空白地域が市内各地に広がっているのは、路線バスの撤退によるところが大きいのでしょうか。

廣上:そうですね。中田地区はバスの本数が少なく、野村地区は路線が撤退したという経緯があります。その地域の中の交通網がなくなっている状態で、地域のみなさんの移動に関してお手伝いをしたいという思いです。

堀内:人口1万人規模の自治体ですと、地方交付税交付金等、いわゆる国からの補助で公共交通を維持している場所が多く、民間路線バスの撤退後に自治体がコミュニティバスを自前で運行しているところが大半です。しかし、高岡市の規模になると、民間の力で自分がやっていこうだとか、地区が自力で何とかやっていこうという機運がすごく強いのかなと感じています。
先ほど、地域で移動の足が不足している場所をサポートするとおっしゃっていましたが、高岡市の考えていることと、高岡交通さんの考えていること、そのあたりの兼ね合いは地域交通会議で話されるのでしょうか。

廣上:高岡市では、困っている地域が手を挙げて、既存交通と共存する形で交通事業者が応募し、市の了解を得る、という形で運営が進んでいます。事業者協力型になるのか自家用有償運送になるのか、というのは募集の時点で決まっていますね。

常廣:守山地区のデマンドタクシー「もりまる」は、地域にどういう交通が必要か、という最初の議論から高岡交通さんも参加されていたのか、ある程度地域で内容が固まってから運行をお願いされたのか、どちらの形になりますか。

廣上:最初から我々も会議に入らせてもらって、事業者として、地域にとって適正な交通の形はなにか、デマンド型という手もあるし、路線型か区域型か、という議論をしました。

常廣:運行形態については、地域からのニーズもあれば、高岡交通さんからご提案されることもあるということでしょうか。

廣上:基本的には運営に係る経費を見ながら本数を決めるというのが多いです。運行コストの見積をベースに、行政の方で試算したものを何パターンか交通会議で提示して、地域に選択いただいている形です。

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