
――AIアバターによる対話型コミュニケーション「AIあんの」サービス(YouTube LIVE/電話)を利用した一般生活者はどんな人たちが多かったのでしょうか?
安野:「AIあんの」を利用された方々は、大きく2つの層にわかれました。まずは、「新しい試みだから面白そう」と関心を持ってくださった方たち。どちらかというとテックドリブンで、技術に興味を持っていただいた印象です。
もう1つは、「自分の意見を伝えたいけれどこれまでそういった場がなかった」と感じていた方たちです。なかには「初めてYouTube LIVEを使って意見を表明してみました」という方もいらっしゃいました。
参考:「AIあんの」をシニアの方々に体験していただきました #安野たかひろ 事務所(公式)
――今回の活動を通して、選挙におけるデジタル技術の活用にどのような影響を与えたと感じていますか?
安野:ワシントンD.C.の法律はすでにGitHubで管理されており、デジタル技術が公共領域や政策領域の分野でも使えることはわかっていました。
ただ、AIアバターを使って大々的に選挙活動をしたのは(AIあんのが)ほぼ世界初の事例だと思っています。同時期にイギリスで、実業家のスティーブ・エンダコットさんも「AIスティーブ」を使った選挙活動をされていました。イギリス総選挙は7月4日開票で、東京都知事選は7月7日。本当に同じタイミングでのチャレンジでしたね。その後、日本でも国政政党の党首レベルの人たちがAIアバターを用意するようになり、国民民主党の玉木雄一郎さんの「AIゆういちろう」、立憲民主党の泉健太さんの「泉健太AI」などがありました。

どこまで影響したかは分かりませんが、おそらく「こういうのをやっても大丈夫だよね」という空気感は作れたのではないかなと感じています。
――デジタルに苦手意識がある人でも、「AI あんの」の電話というUIは接触しやすかったのではと推測します。
青山:はい、良い反応が多かった印象です。「電話でAIあんのと話したら、AIに言われているのに自分の感情が動いた」という趣旨のXの投稿を読んだとき、単なるAIチャットボットではなく、コミュニケーションの相手になれているんだなと感じました。
電話という手段を用意したことで、安野さんが伝えたい「テクノロジーで誰も取り残さない東京へ」というメッセージを強く伝えられた感覚もありました。
安野:それは私も強く感じました。印象的だったのは、「毎晩、『AIあんの』と喋っていたら徐々に安野がわかってきた」という投稿です。
単純な接触回数も関係しているかもしれないですが、少しずつコミュニケーションを重ねていきながら相手のことを分かっていく……。その感覚をAIに対して持つ方がいるのは、非常に興味深いなと思いました。
