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視聴者参加型web3キャンペーンによる新たなファンマーケティング―ダイナミックNFTを活用したテレビ番組の体験進化とは

2025.05.08
#生活者インターフェース市場
新たなマーケティング施策のひとつとして活用が進むweb3。博報堂ではNFTロイヤルティプラットフォーム「beyondClub」を運営するPONT社とともに、2024年7月にテレビ東京で放送されたドラマ『しょせん他人事ですから』の視聴者参加型web3キャンペーンを実施。ドラマの世界観と連動したロイヤルティプログラムによって、ファンの熱意や“推し”への想いを可視化し、テレビ番組と視聴者をつなぐ新たな可能性を示す一例となりました。
今回のプロジェクトに携わったキーパーソンたちに、視聴者参加型のweb3キャンペーンに取り組む意義や従来のキャンペーンとは異なる付加価値について聞きました。

(写真左から)
大嶋 崇晃
株式会社博報堂 コマースデザイン事業ユニットプロデュース局 アカウントプロデュース一部

原 悠仁氏
株式会社テレビ東京 マーケティング局 プロモーション部

佐野 拓海
株式会社博報堂キースリー 取締役 兼 博報堂 オープンインキュベーション局 チーフプロデューサー

脇山 雄気氏
PONT株式会社 代表取締役

「ドラマ×NFT」の新体験。視聴者参加型web3キャンペーンの仕掛けとは?

── はじめに、皆さまの自己紹介と今回のプロジェクトでの役割についてお聞かせください。

大嶋(博報堂)
私は2023年4月からweb3を活用した新しい取り組みの企画やビジネス設計に携わっており、主にプロジェクトマネジメントの役割を担っています。

佐野(博報堂キースリー)
私は元々商品開発やサービス開発など、web3とは関係のない領域でプラニングを行っていました。今はこれまでの経験を活かしつつ、web3などの新しい技術を組み合わせることで、どのような企画が生み出せるのかに強い関心を持ちながら、プロジェクトに関わっています。

脇山(PONT)
私はNFTを活用したロイヤルティプログラムを中心に、企業がニーズや目的に応じて簡単にNFTなどのweb3技術を活用した企画を実装できるプラットフォームを提供しています。今回のプロジェクトも基本的には開発をメインに担当させていただきました。

原(テレビ東京)
私は普段はテレビドラマや出資している映画案件、バラエティ番組の宣伝業務を担当しています。

── 2024年7月より実施した「視聴者参加型web3キャンペーン」の概要を教えてください。

佐野
毎週金曜夜8時から放送されたテレビ東京のドラマ『しょせん他人事ですから』と連動したweb3ロイヤルティプログラムを実装しました。ドラマの主人公がスイーツをこよなく愛していることから、「視聴者と一緒にデジタル上でスイーツを作り上げる仕組み」を考えました。
毎週ドラマを視聴し、ミッションに参加することでスイーツが少しずつ完成していき、最終的には豪華な巨大スイーツが出来上がる流れとなっています。そして、デジタル上で作られたスイーツをリアルでも再現し、実際にドラマ出演者に差し入れするという、デジタルからリアルへとつながる体験を生み出しました。
参照:博報堂キースリー、beyondClubと共同でテレ東のドラマ8「しょせん他人事ですから~とある弁護士の本音の仕事~」の視聴者参加型のweb3キャンペーンを実装

企画を考える際に意識したのは「推し活」の要素です。私もドラマが大好きなのですが、例えば好きなアイドルやタレントが出演しているクランクアップの映像などを見たときに、「お疲れ様!」という気持ちを込めて差し入れしたいというファンのニーズがあるのではないかと感じていました。そうした推しへの想いを形にするためにも、従来のような一方的にプレゼントを受け取るキャンペーンではなく、視聴者やファンが参加できる仕組みを取り入れることで、より一体感のある企画が実現できるのではないかと思ったのです。

大嶋
beyondClubが提供するweb3ロイヤルティプログラムを活用することで、視聴者を巻き込む形の企画を考えていきました。具体的には、参加者が増えるほど出演者に差し入れられるケーキが大きくなったり、手元のダイナミックNFT(※)が変化していく仕組みを導入しました。
(※)発行後も時間の経過や特定の条件に合わせてNFTの見た目や機能を変化させることができる、動的に変化するNFTのこと。

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