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メタバース生活者たちと共にデジタル世界のこれからを考える Vol.2メタバース生活者と『消費』~現実世界とは異なる消費の鍵~

2025.03.06
#生活者インターフェース市場
博報堂は、2024年11月に、メタバース空間における新しい生活者価値の創出と、イノベーションを生み出すことを目指し、研究員全員がメタバース生活者当事者によって構成されたコミュニティ型プロジェクト「メタバース生活者ラボ™」を設立しました。
本連載では、メタバース生活者ラボの理念に共感いただいている、メタバース生活者当事者でもあるゲストとの対話を通じて、メタバース生活者の未来を探求していきます。
第二弾は、IPを活用したXRコンテンツの制作を行う株式会社Gugenka 代表取締役CEOの三上昌史さんをお招きし、「メタバース生活者×消費」をテーマに、バーチャルの中で生活者が「お金」や「時間」をかけたいと思う瞬間やその機微についてディスカッションしました。
※本ラボにおける「メタバース生活者」は、「バーチャル空間上で、自身のアバターやキャラクターを通してコミュニケーション等の行動を実施する」すべての生活者を対象としています。

メタバース生活者がつい夢中になってしまうバーチャルの魅力

瀧﨑
皆さんはメタバース生活者として、つい「時間」をかけてしまったという体験談はありますか。

和田
僕の場合は、友達と一緒に綺麗なワールドに行った際に、風景や自撮りの写真を撮るのに時間をかけることが多いですね。

※メタバースプラットフォームの1つである「VRChat」内で自撮りをする和田研究員の様子

瀧﨑
ちなみに、現実世界ではよく自撮りするわけではないんでしょうか?

和田
そうですね。ではなぜバーチャルの中だと写真を撮るのに時間をかけるかと言えば、自分の理想とするアバターの姿やなりたいイメージにこだわりたいのと、景色が綺麗なワールドの中で友達と一緒に遊んでいる記憶を残したいという思いがあり、それがモチベーションになっているからです。


私はMMORPG (※Massively Multiplayer Online Role-Playing Gameの略で大規模多人数同時参加型オンラインRPGのこと)で、家づくりにハマった時期があります。現実生活ではすごく質素な家に住んでいましたので、ゲーム内では「将来お金を稼げるようになったら住みたい家」を想像していましたね。家づくりに100時間くらいかけていたかもしれません。

瀧﨑
なるほど。三上さんは当事者として体験されたことはございますか。

三上
私の場合はお二人が話されたみたいに、普段はやらないことをバーチャル空間上で楽しむというよりも、まだバーチャルを体験されていない取引先の方をご案内することが多いですね。そうなると、よく起こるのが「すぐにバーチャル内で集まれない」ということ。合流するのに3時間くらいかかったりするんですよ。

やはりバーチャル空間であっても、海外旅行に行く時と同じように事前準備や予備知識がないと気軽に集まれないと感じています。

瀧﨑
確かに、バーチャル空間の案内はプラットフォームにおいて重要なコンテンツだと思っています。私自身も、初めてのプラットフォームで初心者のような挙動をしていると、誰かしらに声をかけてもらえるんですよね。

案内役の人は、誰かを案内することにモチベーションを感じているのでしょうか?

三上
そうですね。最初の出会いが楽しくないと、メタバースにはまってもらえないじゃないですか。どこのワールドに案内し、誰を紹介しようかなどを考えながら初心者の人を“おもてなし”したいと思っているはずです。

メタバース体験をしたことがない人は、バーチャル空間にまさか綺麗な風景が広がっていて、思わず写真を撮りたくなる体験が待っているなんて、想像もつかないと思うんですよね。

瀧﨑
言葉にすると、もう現実の話をしているみたいだなと感じました。

三上
おっしゃる通りで、バーチャル空間で写真を撮るのが好きというのは、別に現実とさして変わらない話なわけですしね。

瀧﨑
佐野さんはVRChatで案内人にワールドを案内してもらった経験があるとのことですが、実際どのように感じましたか?

佐野
一番初めがいい出会いでないと、その先はやろうと思わないじゃないですか。いきなり威圧的に来られても怖いですし。VRChatの中には、“自称案内人”の方たちがたくさんいらっしゃって、「一緒に踊れるワールドに行きませんか」とか「景色が綺麗なワールドはいかがですか」という風にお声がけいただき、まるでツアーのような感じで連れて行ってもらったのがすごく印象に残っていますね。

瀧﨑
次は自分が案内人になろうとは思わないですか?

佐野
自分もサービスしたい気持ちはあったりするので、機会があればやってみたいなと思っています。

三上
しかも皆さん、無償でやっていらっしゃるんですよね。

瀧﨑
本当にそのモチベーションがすごいなと思っていて。渋谷にいても誰も案内してもらえないですからね。

目黒
バーチャル空間は親切な人が多いですよね。自分は海外で暮らしていた時期があるのですが、街中で知らない人から話しかけられる経験がよくありました。距離感が日本よりも少しフランクというか。「今何時?」と聞いてきて、そこから「これからどこいくの?」という風に会話が発展していくのを感じましたね。

でも日本に帰ってくると、そんな雰囲気は全くありません。一方で、バーチャル空間はそうした海外の感じに近くて、相手が日本人であっても物理的な空間よりも気軽に話しかけやすい空気感がありますよね。

瀧﨑
バーチャル空間に行ったら、少し自分の振る舞いが変わるのは皆さん実体験として感じている気がします。先ほどの案内人のようなモチベーションは、単純にサービスを盛り上げたり、感謝されたいという思いによるものなのでしょうか。

三上
「喜んでもらいたい」、「好きになってほしい」という気持ちは確かにあると思いますね。でも対戦型のゲームの場合は相手を倒すのが目的なので難しいじゃないですか。その一方で、VRChatのようなソーシャルVRに関しては誰かを倒しに行くわけでもなく、レベルが強いとか弱いは関係ないわけです。

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