
宮井 美咲
TBWA HAKUHODO
Trend Chaser / Insight Strategist
王 澤
TikTok for Business Japan
Creative Strategy Manager / Data Analyst
王:私はこれまでTikTok for Businessのファーストパーティーデータを活用し、プラットフォーム上のトレンド分析やレポート作成を行ってきましたが、第三者の視点でTikTokでのミームや流行、話題などが生まれ、盛り上がっていくのかを調査したいと考え、本レポートを発行することとなりました。今回は、65dB TOKYOさんと共同で制作したレポート「最新データで紐解く『TikTokトレンド徹底解剖』」をもとに、いくつかのトピックを深掘りしていきたいと思います。
まずは「ハッシュタグトレンド」です。
TikTokでは新しいトレンドが“毎秒”生まれていると言っても過言ではありません。そこで、2023年から2024年にかけて急激に増加した1000を超えるハッシュタグを厳選し、直近のトレンドを図のように「再現しやすい要素」と「乗っかりやすい要素」に分類しました。

宮井:「再現しやすい要素」の中で紹介したいのは、ミーム化した「#フーフー飯店」です。ミームとは、インターネット上でユーザーが真似したりアレンジを重ねたりしながら広がっていくコンテンツのことで、「#フーフー飯店」は「TikTok上半期トレンド大賞2024」ホットワード部門賞を受賞するなど、大きく話題になったので、ハッシュタグ自体は聞いたことのある方が多いかもしれません。
王:「食事の風景を真上からの画角で撮影する」のは、非常に面白いと思います。2024年1月4日に初めて投稿され、2月15日からは急激に投稿数が伸びていることがわかりました。宮井さんにお聞きしたいのですが、「#フーフー飯店」はなぜ一気に話題化したのでしょうか。
宮井:以前は、華やかで“映える”ような日常が流行っていましたが、最近では、よりリアルで飾らない自然体の様子をSNSやプラットフォームに投稿するユーザーが増えてきています。こうした背景があるなか、「#フーフー飯店」が盛り上がった理由として2つのポイントがあります。

1つ目は「撮影手法の新しさと手軽さ」です。真上から撮るだけという誰でも簡単にできることから、様々に使いやすかったことが挙げられます。もうひとつは「唯一無二のネーミング」だったことです。「#フーフー飯店」というキャッチーさも、多くの投稿でハッシュタグが使われた要因だと言えるしょう。
他プラットフォームと比較すると、Googleトレンドを参照すると、TikTok上で話題化した後に検索されていることから、TikTokが流行の起点になり他のプラットフォームや検索エンジンにも広まっていったと分析できます。
王:TikTokを運用している企業が、新しいトレンドを生み出したい場合に抑えておくべきポイントは何かありますか?
宮井:まずは「誰でも気軽に真似できる仕組みを作る」ということです。「#フーフー飯店」は頭上から撮影するだけという、簡単に取り組めるものだったからこそ大きな話題化につながったので、「景色を綺麗に撮る方法はこれ!」といった撮影手法を用意するなど、再現しやすさを作ることがトレンドを生むための重要なポイントです。
また、頭上画角は、他にもエレベータープリクラなど韓国発のトレンドも大きく影響しており、こうした潮流も意識していくことが必要になってくるでしょう。