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注目を集める「マーケティング・ミックス・モデリング」。その具体的な活用法とは
─Advertising Week Asia 2024より

2024.11.29
マーケティング&広告業界で最大級のグローバル・プレミアイベント「アドバタイジングウィーク・アジア2024」。昨年に引き続きリアルとオンラインで開催された今回も、各界の最新の知見に触れる刺激的で魅力的な数多くのプログラムが実施されました。
ポストCookie時代のマーケティング効果検証手法「マーケティング・ミックス・モデリング(MMM)」にあらためて注目が集まっています。MMMとは何か。マーケターはMMMをどう使うべきか。注意すべきポイントとは──。
本稿では、MMMを活用している事業会社、MMMの技術開発を行うプラットフォーマー、そしてMMMの導入と運用を支援する広告会社。そのそれぞれの立場の3人がMMMの実践について語りました。

佐藤 満紀氏
花王 DX戦略部門DX戦略デザインセンター
データマネジメント部長/データ知創戦略センター チーフデータサイエンティスト

田中 湧也氏
フェイスブックジャパン
マーケティングサイエンス/ マーケティングサイエンスパートナー

<モデレーター>
宮腰 卓志
博報堂 データサイエンティスト/チーフディレクター

マーケティング施策と成果の関係を明らかにする手法

宮腰
マーケティング・ミックス・モデリング(MMM)は、計量経済学から発展したマーケティング効果計測手法です。回帰分析、すなわち結果となる数値とその要因と考えられる数値の関係を明らかにする分析方法を応用したものがMMです。この手法を活用することで、どのようなマーケティング施策がどのような成果につながったかを高い精度で推定することが可能になります。

自社のマーケティングファネルやカスタマージャーニーを踏まえた上で、広告などのマーケティング施策と売り上げや利益との関係を測定し、マーケティング活動の最適化を実現していくのがMMMの活用法です。

MMMが大きな注目を集めている背景には、Cookie規制によって従来のような広告効果測定が難しくなっていること、ユーザーデータが個々のプラットフォーム内でのみ活用されるWalled-Garden化が進んでいることなどが挙げられます。

現在、各社がさまざまなMMMソリューションを提供しています。今回は、MetaのオープンソースMMMソリューション〈Robyn〉を紹介していただきたいと思います。

田中
Metaがオープンソースに力を入れているのは、技術をオープンにすることで利用者が増え、それによって技術がどんどん進化して社会のベネフィットになっていく、そんな考え方があるからです。〈Robyn〉もそのような思想に基づいて開発されたMMMソリューションです。オープンなMMMのユーザーコミュニティをつくり、ソリューションの質を高めていくことを目指しています。

〈Robyn〉には4つのポイントがあります。個人情報を守る「プライバシーファースト」、すべてのソースコードを公開して、誰もが無料で使えるようにする「MMMの民主化」、さまざまなMMMソリューションとの共創を目指す「既存MMMとの補完関係」、そしてユーザーからのフィードバックによってソリューションを改善していく「コミュニティと一体となった進化」です。

〈Robyn〉の特徴として、MMMをクイックに導入できること、コミュニティからのサポートを得られること、技術的な透明性が高いことなどが挙げられます。

あるオンラインゲーム会社は、〈Robyn〉を導入した結果、広告効果予測モデルの精度が従来比で95%向上し、ROAS(広告の費用対効果)が8%も改善されました。
〈Robyn〉を活用することで、ペイドメディアの費用対効果を明らかにすることが可能になります。その機能を使って月次の広告予算配分を行い、週次・日次のオペレーションはアトリビューションで調整していく。そのような方法で大きな成果を上げています。

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