THE CENTRAL DOT

国内企業×スタートアップの連携で“健康・長寿・人生100年時代”に新提案を。
AgeTechX、初のMeetupで浮かび上がるウェルビーイングの重要性

2024.08.30
世界で最も長寿が進んでいる日本。現役を引退しても、アクティブに人生を楽しむ方々はもはやめずらしくありません。そうした方々に新しい価値を提案し、先例として世界にも広げていくことを見込んで、昨年秋に博報堂とスクラムスタジオはグローバル事業共創プログラム「AgeTechX(エイジテックエックス)」を始動しました。
国内企業とスタートアップの連携による事業共創を推進する一環で、5月14日に「Well-BeingX/AgeTechX 2024 Meetup!」を開催。博報堂社内のUoC(UNIVERSITY of CREATIVITY)キャンパスに、企業や自治体などを含め約100名の参加者を迎え、計16社のスタートアップによるブース出展もにぎわいました。本稿では同日のセッションより、各3名のゲストを迎えた「Mandalaサロン1」および「2」をレポートします。

ちょっとした会話やつながりも「豊かさ」のひとつ

Mandalaサロン1では、JT(日本たばこ産業)の中井博之氏、ロート製薬の西原麻衣氏、サンクリエーションの太田明良氏のお三方を迎え、「100歳まで生きたい!と心から思える暮らしや社会のあり様」をテーマに意見を交わしました。実は日本では「100歳まで生きたい」と思う人の割合が、諸外国と比べてかなり低いそうです。長寿を全うしたくなるには、どのような環境や技術が必要でしょうか? モデレーターは、博報堂 シニアビジネスフォースの安並まりやが務めました。

安並
人生100年時代といわれて久しいですが、日本は世界でいちばん早く超高齢化を迎える国ながら、長生きしたい意欲は低く、他国は50~60%なのに27.4%なんです。個人的には、80代90代になっても毎日の楽しみやワクワクがあったらいいと思うのですが、それは少数派で、企業の視点では楽しみなどを提示しきれていないのが現状です。

(100年生活者研究所 100年生活者調査~2024年国際比較編~)

安並
今回はお三方にひとつずつ質問を用意してきました。まず太田さん、サンクリエーションでは「えがお」というブランドで、シニア女性向けに写真館や美容室などを展開されていますが、昔と今とでシニア層の楽しみやワクワクすることはどう変わったでしょうか?

太田
僕たちの経験でいうと、お客様をきれいにして差し上げると、どなたもすごく喜ばれます。ただ、どんなモノやサービスを提供して喜ばれるかは、年代によって違います。例えば洋服のテイストなら、ご自身が育ったカルチャーに影響されるので、70-80代の方が気に入るものでも50-60代の方は買われません。

シニア層の楽しみが変わったというより、"シニア”とひとくくりにせず、もう少し細分化してそれぞれの方に合うものを考えることが大事だと思います。

安並
提供側の意識のアップデートが重要ですね。次に、年を重ねるとどうしても病気や要介護になるなどの状況が出てきますが、それも含めて生涯豊かさや楽しみを見いだすにはどうしたらいいでしょうか。ロート製薬では今、食の分野などにも事業を拡げられていますが、西原さんいかがでしょう?

西原
当社は「医食同源」の考えに基づいて、お客様のウェルビーイングを叶えることを目指しているのが現状です。私はその中でマーケティングコミュニケーションに携わっており、お客様の状況や課題に向き合う傍ら、また自分自身が年を重ねて不調や病気を抱えたらどう感じるかと考えたりします。すると、まず思うのは「いくつになっても自分らしくありたい」ということなんです。

では、その自分らしさはどこからくるのかというと、周囲とのかかわりを含めた日々の積み重ねで形成されるものじゃないかな、と。それなら、助けが必要になったときに手を差し伸べてもらいやすい人であることが、年を重ねたときの豊かさや楽しさにつながるのではないか……と考えています。

安並
たしかに、周囲との関係が良好かどうかは、年を重ねるほど大きく影響しそうですね。

最近、私たちのチームで「リタイア後の男性の孤独」が話題に上りました。会社を離れるとすべてのコネクションが絶たれてしまい、本人から接触してくれないと周囲も手を差し伸べられない。男性には、周囲がかかわりやすいような環境づくりを早い段階でサポートすることが必要になるかもしれないです。一方で、定年まで仕事をする女性も増えていますし、一概に男女でいえないことにも注目すべきだと思いました。

FACEBOOK
でシェア

X
でシェア

関連するニュース・記事