
(写真左から)
博報堂 ショッパーマーケティング事業局
トレードマーケティング推進グループ グループマネージャー
井上 元作
博報堂 ショッパーマーケティング事業局
トレードマーケティング推進グループ マーケティングプラニングディレクター
細矢 大帆
博報堂 ショッパーマーケティング事業局
トレードマーケティング推進グループ マーケティングプラナー
岡田 昂衛
――まずは自己紹介をお願いします。
井上
トレードマーケティング推進グループの井上です。2022年6月に博報堂に入社しました。もともとはコンサルティング会社から飲料メーカーに転職し10年ほど勤務しており、当時はチャネルマーケティングやブランドマネージャーを務めました。博報堂では、トレードマーケティング領域における戦略立案やコンサルティングなどの業務を行うチームのグループマネージャーをしております。
細矢
同じくトレードマーケティング推進グループの細矢です。2023年1月に博報堂に入社しました。前職は日用品メーカーに在籍し、大手ドラッグストアを中心にカテゴリーキャプテンとして、カテゴリー全体の売上を伸長させるための提案をしておりました。現在はその時の知見を活かしながら、リテールメディア等を含むトレードマーケティング領域の支援やIMC(統合型マーケティング・コミュニケーション)戦略の策定などの業務を行っています。
岡田
同じ部署に所属する岡田です。2022年12月に博報堂に入社しました。前職は日用品メーカーで、当時は日々の商談に加えて販売計画の立案、販促の企画から実行に至るまでを営業として提案しておりました。博報堂においては、トレードマーケティング領域に関する提案のサポート、メーカーのリテールメディア活用のサポート等を担っております。
――皆さんメーカーのご出身ということですが、当時はリテールメディアに関してどのような認識を持っていたのでしょうか。
岡田
メーカーの営業部側としては、小売の方からDSP広告、アプリ、サイネージといったリテールメディアの3つの手法についてご案内いただくことはあったので、存在自体は認識していました。ただ、メーカー営業の立場では、それを効果的に活用するにはどうすればいいのか等については、まだ理解しきれていませんでした。活用してはいましたが、まだまだ知見が少なかったと今では思います。

井上
事業部目線でも現在ほどリテールメディアという言葉自体にあまり馴染みがなかったし、注目度は高くなかったと思います。ただ、消費財メーカーにとって一気通貫でコミュニケーションできる点は魅力的だと認識していました。しかし、小売流通個社の販促施策に広告宣伝費を使うと、各小売流通営業担当に対して不平等感が出てしまうという難しい観点がありました。また、個社のアプリ等をはじめとするリテールメディアは、市場全体を見てメディアプランを検討する事業部側としては規模の観点から出稿することが難しいという実情もありました。当時は事例が少ないために「本当に効果があるのか?」という疑念も一部にあり、リテールメディアに対する価値は感じつつあったものの、そのような理由から躊躇する意見もあったかなと思います。

細矢
実際に営業部側としても事業部側としても、ブランドや売上の成長を考える際に、当時はまだまだリテールメディアが想起されるケースというのは少なかったと思います。事例も少なかったですし、どの程度効果を発揮するのかわからなかったのもあると思います。事業部のメディアプランにおいては、規模感という観点で影響の大きいマス広告やデジタル広告が優先されていて、営業部の販促プランにおいては、小売商品部との商談ではチラシやEDLPといったものが想起されるケースが多かったですね。

――そのようなメーカー側の課題に対し、博報堂はどのように手助けしていくのでしょうか。
細矢
先ほどの話からも違いがあるように、メーカーがリテールメディアを有効活用しきれない理由の一つには、そもそも営業部と宣伝部・事業部は組織としてのミッションも違えば予算の出どころも異なるという背景がありました。そういう意味でリテールメディアに特化したワンストップ統合窓口 「リテールメディアONE™」を創設した当社が間に入っていくことで、リテールメディアも含む統合的なメディアプラニングを推進し、効果を発揮することができるのではないかと考えています。

井上
リテールメディアを“個社の流通施策”と捉えてしまうと、やはり広告宣伝費からの出稿が難しく営業部予算の範囲に留まってしまう現実はあると思います。そこで、私たちは広告会社という立場を活かし、サイネージやオウンドアプリなどの個別のリテールメディアを統合してメニュー化するといった試みも進めています。複数社の統合による「ボリューム感」を生み出すことで、メディアとしての価値を生み出せる。個社のメディアではなくなるので、メーカー側も営業部予算だけでなく、広告宣伝費を活用する選択肢も生まれます。これによりメーカー内での予算分断の課題解消にも繋がるはずです。もっと言えば、既存のマス広告やデジタル施策にリテールメディアを組み込むことで、結果的に「フルファネル統合」が実現しやすくなります。そういったブランドマーケティングにトレードマーケティングを掛け合わせたプラニングを推進することで、より高度な次元で私たちがサポートすべきと考えています。
岡田
リテールメディアのニーズは確実に増えていて、当社内でのメーカー宣伝部・マーケティング部向けの調査でも『今後利用したいメディア』において、今やリテールメディアはインターネット広告、テレビ広告に次いで3位にランクインしています(博報堂自主調査「リテールメディア BtoB調査」より)。ただ、メーカーにしても今後取り組むべきメディアと認識はしつつも、どう踏み込んでいけばいいのかわからないというケースは多いと思います。リテールメディアと一括りに言っても、DSP広告、アプリ、サイネージ等多岐にわたり、どのタイミングでどのような生活者に向けて出稿すると効果的なのかなど、特徴もそれぞれ大きく異なる。その点も理解した上で、メディア戦略と合わせて統合的なプラニングを行うことが重要です。そのためにも、ぜひ私たちにご相談いただきたいと考えています。

井上
リテールメディアは比較的新しいメディアなので、まだメーカー側にも知見が蓄積されていません。そこに知見を提供することも、私たち広告会社がやらなくてはいけないことですよね。
細矢
その点、特にトレードマーケティング推進グループはメーカー営業・マーケティング経験者が多い部門です。そんな私たちであれば、リテールメディア等を活用しながら、小売との関係強化や中長期的な取り組みに繋げる施策についてもアドバイスができると思います。生活者との接点を増強しながら小売との関係値も強化することで、ブランドの成長にむけた好循環を作ることが私たちの使命だと考えています。