博報堂生活総合研究所 上席研究員
伊藤耕太
コロナ禍を機に、人流データなど人の移動に関するビッグデータに注目が集まっています。無数の携帯端末から発信される位置情報のおかげで、以前は不可能だった水準で生活者の移動の実態を観測することが可能になってきました。生活総研ではもともと考現学(注1)に由来する“行動観察”の手法を研究に取り入れてきましたが、今回は“携帯電話の位置情報”という高い解像度を持ったデータを通じた行動観察と、“生活者の幸福度をたずねる意識調査”を組み合わせて研究を行いました。
分析に使用したのは、ドコモ・インサイトマーケティングが提供する「モバイル空間統計®️」です。いつ/どんな人が/どこから/どこへ/何人移動したかがわかる携帯電話の位置情報などのビッグデータを利用した人口統計情報です。

今回はこの統計情報の分析に加え、東京都在住者から抽出した1,314人の生活者に対して定量調査を実施し、幸福度をはじめとした意識を聴取して、回答結果にその方々の「移動データ」をつなげた分析を行いました。
意識の聴取に際しては、10点満点で尋ねる幸福の実感度などを質問しました。
