経済効果約4000億円の「女子会」 攻略の基本は「あ・い・う・え・お」

「女子会」は、魔法のワードである。「お花見女子会」「肉食女子会」「おうち女子会」等々、女性だけで集まる会をそう名付けることで大きな経済効果が生み出すことができるからだ。とはいえ名前さえ付ければいいというものではない。どうすれば「女子会」を征することができるのか。その実態と拡がり、攻略法について解説したい。

文=博報堂研究開発局 主席研究員 大高香世

※ダイヤモンド・フリードマン社「Chain Store Age」2012.5.1号より転載

 

米国ドラマが発端
読者モデルがブログに掲載

女子会とは、文字どおり「女性だけで集まる会」だ。

その発端はアメリカの人気ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』(日本では2000年に放送開始)にある。ドラマでは、ニューヨークをしたたかに生きる女性たちがとびきりおしゃれな食事会や旅をしている様子が描かれた。そしてドラマ放送と合わせて08年には映画も公開された。

日本では関西地方のファッション雑誌の読者モデルが女性同士の華やかな集まりを「女子会」と名付け、ブログにその様子をアップしたことが始まりと言われている。

「女子会」を商業的に使い始めたのはクーポン誌『ホットペッパー』だという説があるが、それが本当かどうかわからないくらいに08年頃からさまざまな業界で一気に使われ始めた。

社会的な現象として認められたのは10年の「新語・流行語大賞」のTOP10にランクインしたことがきっかけである。発表式では、居酒屋チェーンを経営するモンテローザが「笑笑女子会」を成功させたとして受賞している。

さて、女子だけで集まって何をしているのかというと基本は「おしゃべり」である。

仕事、恋愛、趣味が話題のTOP3で、キーワードは「キラキラとセキララ」。自分のちょっとした夢や日常のポジティブでハッピーな話題を共有する“キラキラトーク”と、男性には聞かせられない女性ならではの本音トークでストレスを発散させる“セキララトーク”だ。話に結論など出なくとも「わかるぅ~」を連発し、共感しあうその場は女性にとってはひたすら心地いいことが人気の要因だ。

女性・OLのための情報サイト《オズモール》のアンケートによると、90%近くの女性が「女子会は合コンより楽しい」と回答しており、当たり外れの大きい合コンよりも、確実に毎回楽しい女子会に軍配があがっている。

グルメ情報サイトの《ヒトサラ》の調査(※1)によると、女子会に参加したことのある女性の割合は90%以上で、そのうち3人に一人は月1回、1回当たりの平均単価が約3500円であることから、ざっくり見積もっても年間で約4000億円の経済効果を生んでいると考えられる。

それだけに飲食、ホテル、エステなどを中心に各社競って目新しい「女子会プラン」を考案し、さらには女子会を専門にしたWEBポータルサイトも誕生しているのが現状だ。

また、女子会で繰り広げられる「情報交換力」に目を付けた企業は、たとえば「カメラ女子会」と称したイベントに協賛。キレイな撮り方のレッスンやカメラ選びのポイントなどを披露して商品アピールの場として活用しているケースもある。

 

年齢やライフステージを超えて
「女子会」が定番に

今後、女子会はブームを超えて定番となっていくと考えられる。そしてそこには、2つのカギが存在している。

1つめは“女子”という言葉の持つ魔力。“女子”は若い女性限定に聞こえるが実はそうではない。女優の小泉今日子さんやタレントのYOUさんに代表される「大人女子」という言葉があるとおり、年齢が上の世代もこぞって“女子”を表明している。

最近では「ママ女子」という新語も生まれるほどその範囲は広い。年齢や役割を超えて使えるとても便利な言葉で、“女性”というジェンダーを表わす十把一絡げ感から一歩進んで、“女子”はいつまでも若々しく前向きな様子をうまく言い当てていることから、今後もますます浸透していくことが推測される。

2つめは、「女子会」は「リア充」の象徴となっていることである。リア充とは、バーチャルに対して、「リアルの生活が充実していること」の略語であるが、女性同士で楽しくワイワイしている様子をツイッターやフェイスブックにアップして「いいね!」を押されることに喜びを感じている。

「リア充」は今の時代の女子にとっての最高の価値観であり、ブログやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の普及によって「リア充」欲求はますます高まることから、女子会はまだまだ勢いを増すと考えられる。

 

集まる人と目的が拡がり
多様な「女子会」が生まれる

これまで、基本的には職場や学生時代の友人などリアルの知り合いをベースに、集まること自体が目的化されていた女子会だが、最近はそれにとどまらない新しい拡がりが生まれている。

図をご覧いただきたいのだが、これまでの女子会を左下の「あつまり系女子会」と命名したとすると、左の上は知り合いをベースに特定のテーマを目的にした「サークル系女子会」、右の下は目的自体は集まることだが、知らない人との集いである「コミュニティ系女子会」、右の上は知らない人同士で特定のテーマについてアウトプットを目指す「ソーシャル系女子会」といった方向に「女子会」の拡がりが見られる。

「サークル系女子会」は、たとえばワインライフの向上を目指して定期的に持ち回りで講師を務めてテイスティング会を行う「ワインライフ女子会」、美とファッションと健康を目的にした「おしゃれランニング女子会」といったように、テーマが自己向上と結びついて明確になり、集まることで新しいことを生み出そうとしているところに特徴がある。

「コミュニティ系女子会」では、「韓流女子会」と称してリアルな知り合いではないブログのみのつながりの人と韓流のメッカである新大久保に集合する女子会ツアーなどが生まれた。昔でいうところの「オフ会」の発展版だが、女子限定にすることで、食品スーパー(SM)やドラッグストアで韓国食材や化粧品を買い漁ったり、イケメン店員のいる飲食店で洗練された韓国料理とマッコリをたしなむ女性ならではの楽しみが満載なところが会の特徴を際立たせている。

中でもまったく新しい動きとして萌芽した「ソーシャル系女子会」については、筆者が運営しているWEBサイト「年齢不詳倶楽部」の事例から少し詳しくご説明したい。

「年齢不詳俱楽部」は、 「いつまでも美しくいようとする女性を応援し、日本を元気にしよう!」というスローガンを掲げているフェイスブック上のバーチャル組織である。現在は4000人強の女性が部員として名乗りをあげている。サイトでは「あなたの美の秘密兵器をシェアしてください」というお題を投げかけ、独自の美容法や生活習慣、食習慣、精神論などさまざまな美に関する情報が投稿されている。

12年2月29日にリアルの場で集まる女性限定のMeetUP(ある目的を持って面識のない人同士が集まる会)を開催したところ、20~50代までの女性20人が集結。集まった目的は「これからの美」について語り合い、日本を元気にするプランを考えるというものだが、その場に集まったのはまったく面識のない女性同士だったにもかかわらず、3時間半にもわたり熱いディスカッションが繰り広げられた。

参加理由を聞いたところ「ちょっと社会的に意義のある女子会だと思った」と回答した人がほとんどであった。「想いを同じくする女性同士が集まり新しい何かを生み出していく」動きはこれからの女子会の新しいひとつの方向性になると考えられる。

 

「女子会」攻略の基本
「あ・い・う・え・お」

こうして拡がりつつある女子会だが、そもそも女性だけの集まりであればこれまでも数多くあった。ではよくある「女性限定プラン」などの企画とはどんな違いを打ち出せばよいのか。最後に「女子会」攻略に向けた基本原則の「あ・い・う・え・お」を述べておきたい。

 「がる」~気分が盛り上がるほどおしゃれであること

やされる」~ゆっくり気兼ねなくおしゃべりできる環境であること

 「つくしくなる」~単においしいだけでなく美しくなる何かがあること

 「らべる」~完全なお決まりではなく、何かしらの選択肢があること

 「とく」~たくさんのお得が散りばめられていること

たとえばこれからの季節に合わせて「野球観戦女子会」などはいかがだろう。

:籐のバスケットに入れたディスプレイで気分をあげて
:会話を楽しむためふんわり甘めのノンアルコールカクテルで
:それえぞれの美容効果の書かれたナッツのアソートをセットに
:美肌セットはアーモンドとくるみを組み合わせて、ぽっこりお腹解消セットはカシューナッツとピーナツを組み合わせで選べるように
:食べた後に手を拭けるようにポップでカラフルなナプキンと、自分で自由にデコれる観戦用の白い団扇がもれなくついてくる

みなさまにもぜひ「あ・い・う・え・お」の5原則を実践していただき、これからの「女子会」を盛り上げていただければ幸いだ。

↑年齢不詳倶楽部のMeetUpの様子。20~50第までの20人が参加し、「これからの美」について語り合った

 

↑フェイスブック上にサイトがある「年齢不詳俱楽部」。4000人強の女性が部員として名乗りをあげている
http://www.facebook.com/nenreifusho

 

※1 ヒトサラの調査
http://hitosara.com/scene/jyoshikai/enquete.html

 

※ダイヤモンド・フリードマン社「Chain Store Age」2012.5.1号より転載