こんにちは。ヒット習慣メーカーズの宇平です。

悪天候からの猛暑、からの台風シーズン到来で、日本はどの季節も屋外で過ごしにくい気候になりつつある気がします。日に焼ける機会、風に当たる機会が減り、気づけば青白い不健康な感じに・・・

というわけで、今回のテーマは、「生命力ビューティー」です。

美容トレンドがどんどんナチュラルメイクに偏る中、とにかくなじみが良く使いやすいブラウン系のアイシャドウ以外は売れない時代と言われています。ナチュラルメイクに偏るほど問題になるのが、「ナチュラルメイクの中で、いかに自分を魅力的に見せるか」。ベースメイクは自然な薄づきに、アイシャドウも陰影を醸し出す程度で色は乗せず、となると、結局元の素材勝負なんじゃないか・・・?と思ってしまうことも。モデルさんはもともとスタイルが良いから、白Tにジーンズでもめちゃくちゃかっこいいよね、という感じに近いかもしれません・・・

そんなナチュラル全盛の昨今、ビューティー雑誌やサイト、メイクブランドのうたい文句によく見られるのが、「表面を飾る」「欠点を隠す」のではなく、「生命力を強調してくれる」アイテムやメイクメソッドの紹介です。

たとえば、「オイル美容」。スキンケア、ヘアケア、ボディケアとビューティー領域のすべてにおいて、オイルが覇権を握っています。スキンケアでオイルの保湿力を使うだけでなく、リキッドファンデーションやチーク、リップにオイル成分が配合されていると、手軽にツヤ肌が演出できます。ファンデーションはとにかく薄く、あまりカバーしすぎないほうがよいのだ!と言われている今、ツヤがあれば多少の欠点もごまかせます。何より、オイル成分で醸し出されたツヤが本来の肌の水分量からくるツヤに誤認され、水をたたえた美しく健康な肌に見せられちゃう効果が期待できるのです。

出典)Googleトレンド 2013/8/9~2019/9/9 「ツヤ肌」

また、「血色チーク」「血色リップ」も、生命力を感じさせるビューティーの大きな流れとして挙げられます。ハイブランドもプチプラブランドも次々に出して話題になったのが、唇に乗せると体温やPHに合わせて「自分だけの色」になってくれるタイプのリップグロスやティントリップ。韓国発で全世界でブームになったティントリップは、色が乗る感じではなく、じゅわ~んと自分の唇自体が染まったような発色で、「色っぽくなる」「にじみ出るような発色」と日本でも大人気になりました。

出典)Googleトレンド 2013/8/9~2019/9/9 「ティントリップ」

眉毛メイクもずっと主流だった「眉マスカラでカラーリング+パウダーで補填」から、「自眉の色のままで透明マスカラで濡れ感」にシフトしつつあります。「毛」の質感をわざと強調することで、手をかけていないけど健康的でぴちぴちしている感じが出るとのこと。今はおしゃれな人ほど透明マスカラだけにしているそうで、眉毛ひとつ見れば時代の先端にいるか、フォロワーか、フォローもしていないか分かってしまうとのこと・・・恐ろしい・・・

ではこの「生命力ビューティー」の流れは、なぜ起きているのでしょうか。ひとつには、「盛り疲れ」があるかと思います。メイクで、フィルターで、自分を「盛る」ことでよく見せることにだんだん飽きて、疲れてきているのかもしれません。もっと根本的には、美しさの基準が「いかに生き生きと自分らしく生きているか」にシフトしてきたことが背景としてあると思います。どんなに顔のつくりが整っていても、幸せそうでない人、生命力が感じられなさそうな人はきれいと思えない・・・そんな気分があるから、女性は「生命力ビューティー」に惹かれるのではないでしょうか。

今回ご紹介した「生命力ビューティー」の流れは、ナチュラル&サステナブルトレンドの中でさらに強化されていき、様々なビジネスチャンスの可能性が出てくると考えています。

◎「生命力ビューティー」によるビジネスチャンスの例
■自分の顔色や体温、健康状態に合わせて色を調節してくれるチークやリップ
■内側から生き生きと生命力がありそうな顔色にしてくれるサプリやドリンク
■歩数や睡眠状態等のライフログと同期した、生命力ビューティー度診断アプリの開発
など。

一時期若者の間ではやった「病みメイク」もだんだん鎮火されてきましたし、きらびやかなメイクではなく、健康的になりたい、生き生きした感じになりたい、人間らしさを出したい!という思いが反映されたこのトレンドは素敵だな~と思っています。人間だもの!

宇平知紗(うひら・ちさ)
第3プラニング局
ヒット習慣メーカーズ メンバー

2009年から博報堂のストプラ。女性の肩の荷を下ろし、もっと生きやすい社会になればと日々奮闘中。日本のロックとアイドルが好き。息子のブームは電車とオクラ。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。