深谷 信介
スマート×都市デザイン研究所長 / 博報堂ブランドデザイン副代表 / 博報堂ソーシャルデザイン副代表

暑い暑い暑い暑い
いや〜っ 今年の夏は、特に暑かった
最近トコトコッというよりドタバタ感が否めないそんな日常のなか、なんと約30年ぶりにこの地に向かったのは、飛行機最終便。そう前回は1ヶ月の長期滞在となったっけ。なぜって?
語れないこともあるんですね、今となってはとてもいい思い出なんだけど・・・
空港からは、いつものように貸切状態でのバス移動、日頃の疲れが後押ししてか、バスの揺れは心地よく深い眠りへと誘う

<写真1|貸切バス?>

早朝
昨晩の喧噪が嘘のように、静かな落ち着いた朝だ
朝シャワーをと思って浴室になだれ込むと、随分とゆったりしたスペースに少し戸惑いながらも、サッパリできて幸せと部屋に戻って、またドギマギ。
昨晩は気がつかなかったけれど、どうもこのお宿、昔そういう系のホテルだったのをリノベしてビジネスホテルにしているようだ。そういえば、この間千葉に行った時も市役所オススメのお宿がそんな感じだったなあ。インバウンド客が急増し、宿泊整備の一環で業態転換するお宿がにわかに増えているそうで、逆にいろいろとデコレーションされた部屋の方が人気になるらしい。これも日本のユニークネスなのかな?
早めにチェックアウトし、どこかで朝食をと思い、駅へ向かった。
新しくすっきりしたモダンな駅舎、今年竣工したらしい。著名な外国人も加わって作られたもののようだ。

<写真2|0番線ホーム>

0番線。エスカレーターで駅舎に向かおうとしたところ、大きな標識が・・・
昔、駅は賑わいの拠点だったのに、地域ではすっかりポツンと存在するものになってしまっている。鉄道を利用する人もしない人も、もう一度ここを拠点にしてほしいって表れなんだろうな〜。こんなちょっとした仕掛けが根付くといいなあと感じながら、鉄道の上の自由通路を歩くと、足元に微妙な段差が・・・
おっレール、リアルなレールが敷かれている。プラットフォームがいくつもあった昔賑わっていた痕跡だ。地域の足跡を直接しかも足で感じてもらう仕掛け。ちょっと工夫を気づける、こういう造り手と使い手とを繋ぐ建物でありたいな〜
地域で大流行りと書かれた名物パンをいただき、懐かしいベンチシートのタクシーにぎゅうぎゅう詰めになりながら、年配の運転手さんの快活なガイドに耳を傾けつつ、一路目的地にむかった。

レトロなタイル張りの商店街の小道
人は見当たらない
空いているお店はまばら

<写真3|商店街・レトロな敷石>

そうかあ〜そうなんだ〜などと思って歩いていると
ふと気になるお店が目に飛び込んでくる
素敵な器がたくさん並んでいる
奥に強面そうなご主人、少しの緊張感を背中に感じながら、そっとお店の中に
こういう勇気は、なぜかある笑

<写真4−1|店頭でご主人と> <写真4−2|素敵な店内>

「好きなもんしか置いてないから、商売っ気ないんで」
確かに素晴らしいものが整然としかし親し気においてある
「これね〜、手に入んないんだよね なかなか
ここの人ら、こういうものの良さわからないから
観光?しごと?どこから来た?
あ〜見て行って、入ってもらっていいよ」

どうも受け入れてもらえたようだ。少し静かな小道を背景に、ハイブローなやりとりにしばし興じる。
こういう方がいるまちは、前に進めるんだよな
ちょっと勇気をもらって温かい掛け声に背中を押されて、もう少し商店街を歩いて入口に向かうことにした

<写真5|秋吉洞>

いつもだいたい17度です
薄暗い中、ガイドさんの声がまあるく響く
初めてかもしれない、洞穴に入るのは

ビシビシくる外の日差しとは対照的に
入り口近くから
ピリッとヒンヤリした空気に包まれ
川の水の流れにも涼を感じながら、洞窟に侵入する

いや〜 思った以上に広いし大きいなあ
天井もすこぶる高く、まるい巨大な球体の薄ぼんやりした光のなか、足元を探り探り歩いていく一行
すこーし時間が経って目が馴染んでくると
おーっ鍾乳洞・鍾乳洞
昔 竜が住むと言い伝えられていたこの秋芳洞
なだらかな登り勾配をゆっくり上がっていくと、いろいろな顔を見せてくれる

<写真6−1〜6−5|秋芳洞内>

石灰岩が一面に堆積するこの地域
雨水や地下水によって石灰岩が溶かされ、この巨大な空間が出来上がり悠久の時間のなかで、いろいろなカタチに変化していったそうだ
その石灰岩は、あのサンゴ礁の成れの果て
一滴また一滴と石灰を含んだ水滴が落ち、それが2センチ伸びるのに数百年の年月を費やすらしい 超ゆっくり時が流れている

ここは、日本で二番目の長さ、実は岩手県の安家洞が日本一なんです
全長約11kmもあるのに、こんなに歩いてきてるのに、どうも日本は洞窟が多いようだ
ほんとうに薄暗い洞内を、ウイットを混ぜながら軽快に、時に実直なガイドしてくださる。こういう方がいるからこそ、見学が思い出深い体験になるのだな〜と改めて感激。

<写真7|素晴らしいガイド>

洞穴って
なんか神秘的
見えない世界でいろんなものが見えてくる・感じられる
常に水の音が、爽やかな風を感じながら
自然がつくったものって、なんて凄いんだろう
そう、ここは特別天然記念物

天然
都会にいても地域にいても、ついぞ出会うことが少なくなったな〜
などと思いながら、登り切ること小一時間、ひろ〜い暗闇異空間を抜けて
地上に舞い上がりました

<写真8|秋吉台案内所Karstar>

今回も晴れ
天気予報に反して、嬉しいことにご縁のあるところはいつも天気に恵まれる
では今度は、カルスト台地へ ということで
少し曲がりくねった道を抜けると
うわ〜 今度は360度の大景観
抜けるくらいの青空が球体のように見渡す限り広がっている
そこに、うわ〜っと広がるグリーンカーペット
大地は背の低い草むら
そして羊の群れしか見えない、石灰岩がそこここに

<写真9|秋吉台>

ブルー・グリーン・ホワイト
なんか絶妙のコントラスト
でっかいどう〜秋吉台

ここって野焼きしてるんですよ
そうなんだ、ひとの手が入った素敵な景観なんだ

<写真10|秋吉台野焼き>

秋吉台、こちらも特別天然記念物
そしてまとめて国定公園
そう、景観の美しい後世に残したい・残すべき場所は、日本にたくさんある
そのたいせつな1つなんだな

1つなんですよ
えっ
さっきまでいた秋芳洞の上が、いまわたしたちの立っているこの秋吉台・カルスト台地なんです
え〜っ
洞と台が、上下だなんて、1つだなんて

石灰岩は、悠久の時を経て、こんな素晴らしい台地を洞窟を、どこにもない地形を作り出したんだな

う〜ん、こまった、わたしの限界か?
ひとがつくった2次元画像や映像技術ではとうてい表現できない、独特の空気感を持つこの地域
でも限界あってよかったな、インスタ映えを超えてるってことだ
行かないと体験できないって一番すてきなことだから

なつ、とってもよかった洞と台は、いよいよ、あきを迎えてトップシーズンに

いつも17度の洞は、
なつ涼しくて、ふゆ暖かいはず
ということは
秋吉台は、夏よし秋よし、
そして冬も春もきっと素敵なところなんだろうな
しかも趣き異なる洞窟は、実は3箇所もある

すっかり秋らしくなった東京で
名物瓦そばをたべながら、そんな想いにふけっていた
そういえばごぼううどん美味しかったな〜

次回は、わすれもの です。

にっぽんトコトコッ
トコトコカウンター* ただいま237トコトコッ

*トコトコカウンター:2016年4月より訪れた場所ののべ数

山口県美祢市秋吉台国定公園観光情報

URL:https://karusuto.com/spot/akiyoshidai/

*写真10は、一般社団法人美祢市観光協会さまよりご提供頂きました。