博報堂DYグループのCSRは、生活者と社会の中に「新しい幸せ」を生み、つなげ、ともに広げていくことを基本理念として掲げています。このインタビューシリーズでは、生活者一人ひとりが、自分らしく、いきいきと生きていける社会の実現を目指し、日々の仕事の先に存在する社会課題に対して自らの「クリエイティブの力」「伝える力」「一人ひとりの個性」を主体的に発揮しながら取り組んでいる社員たちの声をお届けします。

ウェブマガジン「雛形」。地域暮らしの今を伝え、移住の入り口を提案。

【雛形サイトのトップ画面より サイトはこちらから】

『雛形』は、「地域で暮らす・働くこと」をテーマに、オズマピーアールが2015年1月より編集・運営するウェブマガジンです。移住者への「インタビュー」や、地域で暮らす人や地域文化に詳しい方の視点で地域の魅力を深掘りする「コラム」、地域のユニークな取り組みに注目した「レポート」、地域イベントの情報を掲載する「トピックス」などを通じて、地域の魅力を発信し続けています。

【2011年よりオズマピーアールにて地域ブランディングに携わり、2015年にオウンドメディア『雛形』を事業化。現在事業部ディレクターとして本サイトに携わる濱地徹に話を聞きました。】

もともとは旅にこだわる雑誌編集者。

学生の頃から一人旅が好きで、「旅を通じて、国内外問わずその地域の魅力を人に伝える仕事がしたい」と思い、出版社で旅に関する雑誌の編集に携わってきました。さまざまな地域に足を運び、地域の魅力を編集して雑誌で取り上げるうちに、「地域」に関する情報は雑誌だけでなく、あらゆるメディアのコンテンツとして活かせると感じるようになりました。そこで、2011年にオズマピーアールに転職し、地方自治体の広報誌の制作業務や地域と絡めたPRの仕事を少しずつ広げ、地域の仕事をより深めていきました。

【青森県八戸市のPRの一環として、2016年2月に「TANESASHI CAFE」を渋谷に期間限定でオープン。種差海岸を300羽以上の群れで飛ぶウミネコを表現したオブジェや風景写真を店内に飾り、種差海岸の自然を表現。】

そのうちに、「地域ブランドを確立させ、街を活性化させる」というオズマピーアールの強みと、これまでの編集者としての経験、ネットワークを掛け合わせることで、それぞれの地域に合った課題解決の方法をもっと生みだしていけると考えるようになりました。そこで、2014年に新規事業計画として会社に提案したのが、地域情報を発信するオウンドメディアの立ち上げでした。

新事業のコンセプトは「移住のニュースタンダード!」

提案が通った後は、すぐに編集部の体制づくりです。生活者に情報を届けるまでの導線づくりをきちんと考える編集者を見つけようと人探しに奔走し、現在の編集長と副編集長に出会いました。早速テーマについて議論を重ね、「旅」の先にある「移住」をテーマとして掘り下げていくことを決めていきました。なぜなら、地域を客観的に見つめる視点をしっかり持ち、地域社会や課題に向き合う生き方をしているキーマンやオピニオンリーダーがたくさんいるにもかかわらず、当時はメディアに取り上げられない限りは光が当たらない、という地方創生という言葉が生まれる前の現実があったからです。そこで、都市と地域に垣根はないという、編集部の視点を軸に、2015年1月に「移住のニュースタンダード!」をコンセプトとしたウェブマガジン『雛形』をスタートし、新しい生き方を実践している地域の人を取り上げていきました。

【地域で新しい生き方を実践している人たちへのインタビューを通じて、地域暮らしの今を伝えている。】

地域の内側に光が当たり、外側へ伝わっていくことが大事。

『雛形』というサイト名には、「移住された方のいろいろな生き方、暮らしの形、その雛形を描いていきたい」という想いを込めています。移住はその土地の人との縁や出会いがないと、そう簡単には実行できないことです。移住された方は時に闘いながら、地域社会・課題と向き合っています。その姿を伝えることこそが、表層的な地域情報とは違う、深みのある情報になっています。実際に住んでいるからこそ知ることができる情報や地域に深く関わることで見えてくる魅力をお伝えしているので、お読みいただくと、「へえ!」という発見や驚きがあるのではないかと思います。
また、兵庫県豊岡市では、移住者が中心となって市民ライターたちが「飛んでるローカル豊岡」という地域の情報を発信するポータルサイトを運営しています。その市民編集部へのサポートとして市民の皆さんと編集会議を実施し、編集や取材・ライティングのアドバイスなどを2016年より行ってきました。この取り組みを通じで、市民編集部は企画から取材編集、情報発信まで自ら行えるようになり、ほかにはない豊岡市の暮らしをお伝えする地域コミュニティとなっています。

【「飛んでるローカル豊岡」トップ画面より サイトはこちらから】
【兵庫県豊岡市の移住者が中心の市民ライターたちが発信する、移住ポータルサイト「飛んでるローカル豊岡」サイトの編集会議風景より】

確かな編集力とPR会社ならではのコミュニケーション力を
社会課題の解決に結びつけていきたい。

僕らが持つ編集力とPR会社ならではのコミュニケーション力を活かして、『雛形』のファンやさまざまな地域とのネットワークをこれからも大切に築いていきたいと思っています。そして、そのネットワークに地域の企業や自治体を巻き込みながら、地域の仕事はより大きく、あるいは掘り下げていけると考えています。

最近では『雛形』を見た官公庁から、観光促進に関するご相談をいただくようになりました。外国人観光客の需要が東京・大阪・京都の次なる目的地に向かっていて、『雛形』からは、外国人観光客が求めている各地域の深い魅力を知ることができて、本当の意味での日本人らしい暮らしぶりに触れることができるとおっしゃっていただいています。地域で暮らす人の生き方や想い、日々の暮らしに光を当て、その地域の魅力を『雛形』が広く伝えていくことを通じて、それぞれの地域が向き合う課題の解決や、社会全体の課題解決に少しでも結び付けていけたら言うことはありません。

濱地 徹(はまぢ・とおる)

編集者として出版界に10年近く身を置き、旅やカルチャー系雑誌の編集者として地域の取材・執筆に携わる。2011年オズマピーアールに入社後、地域の業務を中心に外務省、復興庁、秋田県、静岡県等を担当。オウンドメディア『雛形』発起人であり、現在、コミュニティ開発部 兼 『雛形』事業部部長。