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【担当者に聞く】博報堂グループにVRAR専門ファクトリーが誕生。精鋭チームが見据える未来とは?

2016.12.22
#AR/VR/MR

今、大きな注目を集めている次世代プラットフォームVR(仮想現実)とAR(拡張現実)。博報堂と博報堂プロダクツでも2016年10月に、クライアントのプロモーションやマーケティングの新たな手法としてVR・ARの最先端技術を駆使する専門ファクトリー「hakuhodo-VRAR」を設立しました。
今回は、「hakuhodo-VRAR」のメンバー3名に話を聞きました。

(左から) 茂木 敦(博報堂プロダクツ)、秋田 功(博報堂プロダクツ)、佐藤 秀樹(博報堂)

最近、VR、ARという言葉をよく耳にしますが、VRARの現状はどうなっているのでしょうか。

秋田:VRはゴーグル等の機器、いわゆるハード面がものすごく進化しています。
中国等では、スタンドアローン型の機器が先行発売されており、これまでPC接続や、スマホをセットする等のひと手間が必要でしたが、これはWi-Fiにもつながるし、ネットにもつながるため、ゴーグル一つで完結できます。こういう機器ができることによって、企画そのものが変わっていくと思います。

佐藤:ARは、ポケモンGOで浸透しましたよね。あれで、現実空間にないはずのモノが張りつく、ということが実感できたんじゃないかと思います。やっとテクノロジーが追いついてきてスマホで簡単に体験できるので、プロモーション用途としても今後かなり拡がるんじゃないかと思います。

秋田:インドのキャンペーン事例では、紙幣の画像をスマホ上のアプリで画像認識させると、その紙幣の金額で購入できる商品が画面上に浮かびあがってくる。現実のものとバーチャルなものを兼ね合わせるという考え方ですね。そのほかにもチラシとARを連動させた住宅販売のチラシ等もあります。チラシ上の住宅を画像認識させることで、3DCGで制作した住宅の画像や動画を見ることができ、最近の技術では、その3DCGの住宅に入ったり、外観を360度で見ることもできます。

佐藤:ARは空間認識の技術も進化していて、今回「hakuhodo-VRAR」と提携したKudanさんのARエンジンは、相当高いレベルにあるんです。

秋田:しかし、今のARはスマホを通して画像認識させることが多い。スマホの機種も多様なため、3DCGの映像がリッチになっても、カメラの解像度が追いつかない等の課題もいくつかあります。今後、ARはハードウェア、デバイスが進化することによってもっと可能性が拡がると思っています。

そんな中、hakuhodo-VRARファクトリーを立ち上げることになったきっかけ、経緯を教えてください。

茂木:実は「VRやARを手掛ける会社」というものは、既に世の中に数多く存在しています。
しかし、それらの会社は、360度映像を専門に制作している、CGの分野でVRを得意としているなど、専門分野に特化していることが多いですね。
VR、ARというのは「体験」というものが重要であり、「VRの360度映像をつくりました」ということでは終わらないはずです。
その体験装置を考え、イベントなどで、どうVRを活用させようか等、プランニングやプロデュースワークも必要になってきます。それらを全てワンストップで提供できるチームをつくりたいと思ったことがきっかけです。

総勢で何名ぐらいのチームになるのでしょうか。

佐藤:現在、博報堂と博報堂プロダクツとあわせて34名となります。プロジェクトベースとしては大所帯となりますので、全体のプロデュース機能が重要になってきます。博報堂と博報堂プロダクツ両社からプロデューサーとなる人をたてて調整するようにしています。

秋田:VR、ARは、映像にVRを使って何かをやりたいだとか、デジタルプロモーションの企画やイベントでVRを活用したいなど、様々な企画の手段でしかありません。
そのため、依頼元からの入口が多様になることが多く、これまでもCM、イベント等の事業本部に相談がきており、それぞれの部門で個別に対応していました。
まずは、それらを集約して、コアとなる事業本部(CM、イベント、デジタルプロモーション)の中から精鋭部隊を集めました。

佐藤:博報堂でもプランニング部隊として、プロモーション、デジタル系の専門部署から経験者にメンバーに入ってもらっています。

茂木:VR、ARの制作領域のノウハウをもち、博報堂グループの各専門領域のトップクリエイター、プランナーがこれだけの規模で集まったということは十分な価値になると思っています。

「hakuhodo-VRAR」ファクトリーの強み、今後の目標を教えてください。

秋田:大きな部隊なので、プランニングから広告プロモーションのアウトプット、イベント運営まで全てワンストップで対応できるというのは、相当な強みだと思います。
しかも、トップクリエイター、プランナーが集まっているため、「何かVRでやってみたい」「ARって何?」という漠然とした相談でも、何でも解決できるチームです。

茂木:やはり、CG映像からイベント運営まで、全てグループ内で内製できる、というのはかなりの強みだと思います。今までは、博報堂も博報堂プロダクツも個別に相談を受け、CG映像等、制作部分を外注することも多かったと思います。
これだけ市場が拡大している中で、博報堂グループとして内製できないというのは致命的です。
こういうチームをつくり、内製することは、ものすごく大きな意味がある。知見の共有もできるので、事故も防ぐことができます。技術が急速に進化している中で、共有レベルをグループとしてどうあげていくかもこれからの課題だと思っています。

佐藤:ファクトリーを立ち上げたことで、技術側からの売り込みもたくさん頂戴して、どんどんノウハウが集まってきています。

茂木:僕らは、ハードをつくるということはありませんが、今回このファクトリーを立ち上げて、最新情報が集まってきて、実際に試すことができるのは、広告プロモーションの設計にも役立ちますね。

秋田:進化のスピードも速い業界なので、あそこに相談すれば常に新しいことができる、と思ってもらえるような、常に最新の情報が入っているファクトリーでありたいですね。

佐藤:最近では博報堂DYメディアパートナーズでもVRの専門チームが立ち上がっていたりしますよね。グループ内で連携して得意領域を受け持って取り組んでいく、というのも始まっています。どんどん事例も知見もたまっていく、良い循環になるといいと思っています。
今後は、これだけの最強メンバーを集めていただいているので、広告プロモーションの一部で終わるものだけではなく、「体験装置」をつくっていくような、大きなアウトプットを目指していきたいと思っています。

<終>

秋田 功
博報堂プロダクツ
デジタルプロモーション事業本部 本部長補佐

茂木 敦
博報堂プロダクツ
CM制作事業本部 本部長補佐

佐藤秀樹
博報堂
MDビジネスインキュベーション局
MDビジネスプロデューサー

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